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第40話 俺は、栗栖に偶然出くわす。

俺はつつがなくバイトを終え、バイト先を出る。

家に帰る道すがら小腹がすいたので、帰る道中にあるファストフード店に寄る。

注文するメニューを決めてカウンターに並んだ瞬間、俺は店員に声をかけられる。



「いらっしゃいm、あれ、健一郎?」

「ん?」



突然名前を呼ばれて見ると、制服を着た栗栖が、そこにいた。



「やっぱり。あ、オーダーお決まりですか?」



店員、もとい栗栖から聞かれ、俺は注文をする。



「お時間いただきますので、こちらの番号札をお持ちになってお席でお待ちください」



俺は栗栖から番号札を受け取り、そこらへんの席に座る。

それから少しして、注文してた品を栗栖が持ってくる。

それを置いたあと、栗栖は当然去っていく。



「健一郎、あとでL〇NE送るね」



ただし、そう耳元で囁いて。





小腹を満たした直後、栗栖からメッセージが来る。



"もうちょっとで終わるんだけど、これから時間ある?"



メッセージを見た俺は、少しなら、と返す。

するとすぐ、15分後に終わるからと返事が来る。

なので、俺はコーヒーを追加で注文し、店の中で時間を潰す。


15分くらいたった時、私服姿の栗栖が俺の前に現れる。



「お待たせ」

「いや、別に待ってない」



栗栖は、ふぅん、と俺を見る。



「隣座っていい?」

「それはいいが」



俺が言うと、栗栖が本当に俺の隣に座る。



「びっくりした。まさかこんなとこで偶然会うなんて思わなかった」

「それは俺もだ」

「だよね。そういえば、あたしバイトのことを言ってないもんね」

「ああ」

「そう。で、さっき見た通り、あたしはここでバイトしてるんだ。

そういえば、健一郎は前バイトのこと聞いた時、はぐらかしたよね?

今でも、それは教えてはくれないの?」



しまった。

あのときは別にどういう関係でもなかったから、教えないとはっきり拒否できた。

だが今は、未来が見えるとはいえ、栗栖は俺のカノジョだ。

ここで言わないと、十中八九栗栖は不審がる。

まずいな、と思うが後の祭りだ。

仕方なく、俺は栗栖の質問に答える。



「そう、だな。教えるよ。

俺、整備士の見習いしてるんだ」

「整備士?それって確か、車直す人のことだよね?

そんなバイト、見たことないけど本当なの?」



ぐ、当然そう思うよな。

仕方ない、嘘ではないギリギリの回答をしよう。



「訳あってさ」

「ふぅん。でも、珍しいバイトをしてて、そんなことができるなんて、あたし知らなかった。

健一郎のこと、また一つ知れてよかった」



栗栖が笑う。

俺は、栗栖の予想外の反応に驚く。



「そ、そう」

「ん?」

「どうした」



俺が栗栖の答えに反応すると、栗栖が突然俺の顔を覗き込む。

少し俺の顔を見た後、栗栖が少し不服そうにする。



「もしかして、引かれるとか思った?」



俺は栗栖に図星を突かれる。

しかし、俺は心理を探られることを避けるため、平静な気持ちで答える。



「いや、別に」

「そう?」

「ああ」

「そっか」



栗栖は、俺に疑いの目を向けた後、普段の顔に戻る。

ふと時間を確認すると、結構な時間が経っていた。

そろそろ帰らないといけない時間だったため、栗栖にそのことを伝える。



「悪い。もう帰らないと時間だ」

「え?あ、ほんとだ、結構時間経ってる。引き留めるようなことしちゃってごめんね」

「いいよ。栗栖はどうする?」

「うーん、あたしも帰る」

「そうか、じゃあまた」

「うん、また」



栗栖に挨拶をして、俺は店を出る。

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