第135話 3人が、同じ店に入る。
4月の頭。
桔梗の誕生日を祝ってすぐくらいだ。
「あ、エンジンオイルがない」
俺が通学に使うバイクの整備をしようとしたら、オイルのストックを全部使いきったことに気づく。
「え、健くんも?」
「ん?てことは静のほうも?」
「うん、こっちもオイルが足りなくて」
練習走行や俺とデートに行くときに使う車を整備してた静も、俺と同じく困った状況になったらしい。
「うーん、しょうがない。
背に腹は代えられないから、買いに行こうか」
「そうだな」
俺と静は、整備を一旦中止して、別の車で買いに行く。
(side:典史)
「おや、これは困ったねぇ」
ぼくがいつも使ってる車を今日も使おうとしたら、セルモーターがうんともすんとも動かない。
見ると、ヘッドライトスイッチが点灯の位置のままだ。
どうやら、昨日のぼくは、ヘッドライトを切り忘れてしまったらしい。
「仕方ない。こうなっては、バッテリはもう使い物にならないし、取り外して新品を急ぎカー用品店で買うとしよう。さすがにバッテリ交換でディーラに行くのは、ばかばかしいからね」
ぼくはバッテリをさっさと取り外して、別の車で代わりのバッテリを買いに行ってから、本来の用事を済ませることにした。
「さて、ここに売ってるかな、ん?」
ぼくがときどき使っているカー用品店へ行くと、見たことのある顔を見かける。
「あれは、健一郎くんじゃないか?
隣にいるのは、健一郎のお姉さんかな?」
こんな偶然、あるものなんだね。
「しかも、こんなところで堂々と恋人つなぎで親密そうにしながら、店に入っていくよ」
健一郎くんとお姉さんが店に入っていくさまを見て、ぼくは確信する。
「ふむ、やはりあの二人は、恋人同士か。
義理の姉弟だから付き合っても倫理的に問題ないし、結婚も法律上可能だからねぇ。
まぁ、あのお姉さんの美貌じゃ、そうならないほうがおかしいよね」
ぼくは、冷静に2人のことを考察する。
「とはいえ、脅威ではあるけれど、2人が結婚するとは決まったわけじゃないし。
それに、健一郎がお姉さんと付き合ってるのをわかってて、桔梗は彼と付き合ってるんだろう。
下手に口出ししても、何にもならないことは目に見えてるね。
ま、ぼくは違法でない限り、桔梗が幸せになれると考える方法で幸せになってくれれば、別にそれでいいからいいんだけど」
ぼくはそんな風に思いながら、2人が店に入ったのを見てから、店に入る。




