神の呪い
|ω・`)ちらりーの……………
《神の呪い》。
かつて、人類を生み出した内の一柱が最初の男が裏切った行為により生み出された呪い。恐らく、この世で最も強力な呪いだ。そんな強力な呪いになったのも、呪い自体が成長し、神をも喰らったのが要因だ。
呪いは、意思を持ち、世界中だけでは飽き足らず他の異世界にも侵食していったのだ。その結果、《神の呪い》は個体一体一体が強力。更には人に擬態、或いは人間に寄生し、己のモノとする存在もいる。
それ故に、それらを危険視し排除する組織も結成されたのだ。だが、《神の呪い》は決して消えない。裏切った男の末裔だけではなく、人類そのものが滅びるまで消えはしない。
他の神々は何をしていたのか。
何故、この世に神々が降臨しないのか、と言う理由と繋がってくる。
逃げた、というより神々は避難したのだ。
神々の王である主神達は、即座に地上から神々だけの世界を生み出し、自ら封印したのである。
理由は、先も述べた通り―――――《神の呪い》は神を喰らい、己の糧とする。一柱の神が喰われれば、その神の能力までもを吸収するのだ。神々からすれば、神喰らいという、神の天敵にも成り得る。
もし、万が一にでも神々を喰らい続けたら最悪の事態になるのは必須。故に、即座に判断し避難させたのだ。
神の中でも土地神は、《神の呪い》によって汚染する大地を消化する為に主神によって遣わされた対《神の呪い》である神。そして世代交代をしながら、《神の呪い》と戦う事になった。
しかし、それは地球での話。
何故、この異世界に紛れ込んだかは不明。しかし、《神の呪い》はその異世界の神々達の目を欺き、慎重に身を潜めていたのだ。
神々は、発見が遅れてしまった。
神々を数体を喰らい、更には最強の武器に[超越者]の肉体を得た存在はあまりにも危険過ぎる。
あまりにも誤算。
生み出した張本人であるこの惑星も予想外だったのだろう。何せイレギュラーである『神の呪い』、『マリス』が加わったのだ。
惑星としても、本来異世界の強力な存在に対抗する為に力を授けた[魔王]――――――『七天魔皇』が、自らこの惑星を滅ぼしかねない。
――――だが、惑星は傍観する。
そのままどうなるかを、見極めるのだ。
惑星だって、馬鹿ではない。
そのまま人類を、目障りな神々をも滅ぼすのならば、それはそれでいいのだから。
生え過ぎた雑草を程々に狩り終える頃には、惑星も動き出す。
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「おもしれェ……おれを倒す、かァ」
酒が入った大樽を片手に、その大男は嗤う。
『七天魔皇』最強『覇王』、またの名を『金剛』。
この世界最強というべき存在でありながら、他の『七天魔皇』や『魔王』の抑止力となる存在でもある。
単なる戯れか、異世界の存在でありながらこの世界の代弁者の一つでもある。が、この世界―――――この惑星の命令を程々にこなし、程々に無視をするのだ。
だが、惑星にとってもなくてはならない存在。
「―――――――ったく、あの『神の下僕』は全く話にならねェ。それに、“アイツ”の名を語るにしても弱過ぎたァ。そもそも……」
「俺等で十分だぜ、頭」
女神クーディアの眷属、酒呑童子――――――――と自称する鬼は、金剛に大敗した。
厳密には、金剛に大敗した訳ではない。
金剛を支える四人の大幹部。
包帯の男、ジャズを初めとした強者共が、酒呑童子を撃退したのである。金剛程ではないとさ言え、大幹部。大幹部一人一人は、この世界の『魔王』を凌駕し金剛と同じ『七天魔皇』をも退ける程だ。
中には、『七天魔皇』を討った者もいる。
そんな存在が、相手が神の眷属であっても恐れずに敵対するのだ。それ故に、『七天魔皇』最強の『金剛』だけではなくその組織自体の恐ろしさを理解が出来るだろう。
「で、どうするの頭様。『悲劇の英雄』ディーレ・オンラートの妹ヘムンドゥ・オンラートって娘。明らかに普通じゃないわ」
「同じ[超越者]……グハハッ!殺そうぜ、殺そうぜ!あんな借り物の力、見合ってねぇ力、敵じゃねぇ!」
「しかし、相手は『マリス』。[超越者]の肉体も手に入れたあの小娘には得たいの知れない気配もした」
大幹部四人は話し合う。
新たな『七天魔皇』ヘムンドゥの事は、金剛と共に配信された映像にて目撃はしていた。そして、ヘムンドゥの発言―――――金剛を倒すという発言は金剛本人は面白そうにしているものの大幹部達にとっては無視出来ない。
しかし―――――。
「おれを狙うんだろぉ?なら、自ら来るだろォ」
と、全く気にしていない。
来るなら来い、という姿勢で金剛は再び大樽の酒を呷る。非常に愉快そうに、愉しそうに。
「―――――で、ソイツどうする頭」
ジャズが向ける視線の先には、厳重に封鎖と封印を施した檻の向こうだ。
この場は宴会場の奥にある金剛が君臨する覇王の間。しかし、あるのは数多の酒の数々とこれまで挑んできた元『七天魔皇』や『魔王』、『勇者』が使っていたであろう武器がありふれていた。それらは勝利した戦利品だ。
そんな場所に檻は異質に見えるだろう。
「ぐ……がはっ……!」
檻の中には倒れる一人の鬼。
神の眷属である自称酒呑童子であった。
ボロボロになっており、既に戦闘不能。
ここで間違ってはならないのは、先も述べた様に金剛がしたのではない。大幹部達が叩きのめしたのだ。
「放っておけェ……何処の神かは知らねぇがァ―――――敵対するなら容赦はしねぇ……っ!誰でもいいんだぜェ?おれをォ倒すとか抜かす小娘でも、そこで寝ている神の眷属でもよォッ!!!」
金剛は雷鳴を、轟かせる。
そして、新たな戦いの幕がシキ達が知らぬ場所で起ころうとしているのであった。




