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☆忍び寄る、混沌の影

感想ありがとうございます。


誤字脱字報告ありがとうございます( ノ;_ _)ノ



そして、1日はやく投稿しました。


普通に今日木曜日だと思ったんです。


ごめんちゃぃ




大御門彦乃は日本の首都、東京へ赴いていた。


勿論、彦乃だけではなくゴウキとミラも同行しているのだが現在は一人である。<WAO>の戦闘員達も彦乃達の護衛をしているらしいが、当然居なくなった彦乃を捜索中。何とも迷惑、と思われるだろうが彦乃はこの日本を観察という名の警戒に当たっている。


今の日本───だけではなく、世界中が突如現れたモンスターや異能者が現れた事により、混乱しているのだ。あの超巨大モンスターの三巴の戦いからはや数ヶ月経過しているものの、メディアはそのモンスターの事で話題持ちきりである。その次に異能を有する者達が現れた事。


人々は異能者を"新人類"と呼んでいる。


そんなニュースをスマホ片手に映し音を流しながら、彦乃東京で最も高い塔から下を見下ろしていた。



「("新人類"は我々国民を支配しようとしている、ですか。そんな情報よりも何処が危険かどうかを知らせるのが先決だと思うんですけど……困りましたねぇ)」



やれやれ、と疲れたお母さんの如き仕草をする彦乃。


彦乃の言う通り、現在"新人類"と総称された者達は国民───一般市民からすればモンスター同様の危険視をされているのだ。だが、そう思うのは仕方がない話である。手から火を出したり電気を発すれば誰でも危険視するのは仕方がないのだ。だが、そんな何もせずに炎などを生み出す実力者は"新人類"でも極少数。だが、一般市民からすれば超人的な身体能力等を有しているのは間違いない。


だが、"新人類"と呼ばれているこちらからすれば、365日24時間そんな一般市民の生活を守る為に奮闘しているのだ。だからこそ、そんな危険視されるような目で見られると悲しいものだ。


日本の国民を守る筈の自衛隊の気持ちがよく分かる。



「("新人類"のせいで世界はメチャクチャになった……?与党は"新人類"に媚を売っている……?野党の議員、そして政治家に大学の教授等は何を言っているんでしょう。そもそも世界がメチャクチャになったのは、深海調査を強引に進めた海外の研究者が。<WAO>と自衛隊、警察と連携を取って避難活動をしているんですけどねぇ……)」



被害が大きかった県は海沿いに近い場所。日本は震災には敏感であり、直ぐに避難を警告させたお陰で被害は最小限に抑えられている。


が、助けられなかった命もあった。


<WAO>の戦闘員達や彦乃達によってモンスター達は確実に抑えられている。既に殆どのモンスターは山や海に戻っているが、決して安全ではない。



「(どんな状況に成ろうとも、己の事だけ───それが、人間ですから、仕方がありません……戻りましょうか)」



彦乃がゴウキの元へ戻ろうとした瞬間、彼の背筋に何か良からぬ悪寒が走ったのだ。そして次の一歩を踏み出す事をせずに、己の後ろにいるであろう存在に向けて警戒をする。



「人間は愚かでしょう?」


「……はぃ?」


「私は何故、こんな人間(汚物)達の、罪の身代わり(・・・・・・)をしていたのかとバカらしく思えるのです」


「はぁ……」


「人間は醜い生き物です。たった一つの違いで差別し、虐げる愚かな生物。こんな生き物がいるから、世界は狂ってしまうのです。そしてもう(・・)取り返しのつかない事態ですから……貴方もわかるでしょ?」


「……この惑星(ほし)の状態を理解しているのですね。やはり、只者ではありませんか」



彦乃が振り返って見るとそこには黒い靄によって全体が隠された人のような者が存在していた。シルエット的には女性らしく、声もノイズの様な音が同時に発しているので耳障りである。



「(『マリス』……?いぇ、似てはいますが、何か違う───)」


「そんな熱い視線、嬉しいわ♪」


「何を仰有りますか、馬鹿ですか貴女」


「ふふっ♪相変わらず(・・・・・)、優しい口調で毒を吐くのね?」


「あらあらまぁまぁ……(わたくし)を知ってる様な口癖を。一体何者なのでしょうか、貴女は」


「───酷いわ、彦乃(・・)。わたしの顔、忘れたのかしら?」



黒い靄が薄れる様に消えていく。


そしてその者の全体像が漸く姿を現したのだ。



薄紫の長いストレートの髪に、青紫の瞳。


白い指揮官らしき軍服を纏った10代後半の少女だ。


背中に身の丈程あるエンブレムの盾を背負い、左右の腰には剣と銃剣を携えている。その風格から戦士の様にも見えるが、それ以上に上に立つ存在にも感じてしまうだろう。


だが、彦乃はその彼女の顔、姿に驚きを露にするのだ。



「え……あ……な、ぜ……?」



彼女を知らぬわけがない。


彦乃が最もよく知る人物。


だが、彼女は死んだ筈なのだ。



「"リエル"様……」



『リエル・テケタクア』。


かつて大御門彦乃と不知火姫希の二人が仕えていた主である。下級貴族の長女であり、次期当主だった人物だ。彼女の実力は当時の彦乃と姫希を凌駕する程の実力者。更には大貴族や各国の王達からは『全能』と称させる程、凄まじい力を有していた。


しかし、彼女の最期は"不治の病"が原因で命を落とした(・・・・・・)のだ。


リエルの最期を彦乃と姫希、そして当時他に仕えていた者達も目の当たりにしていた。


だからこそ、目の前で息絶えた彼女の姿がここにある事自体が信じられなかったのだ。



「あら、彦乃どうしたの?」


「───何者ですか」


「何者って……貴方の主、リエルよ。リエル・テケタクア」


「……リエル様は死んだ筈です。リエル様の姿をする、貴女は何者ですか!!!」



彦乃は『破邪(はじゃ)御太刀(おんたち)』を手にし、その刃をリエル?に向けながら叫んだ。


彼にとって、死んだリエル()の姿をする彼女が何より許せなかった。もし、ここに姫希がいたならば同じ反応をしていたのかもしれない。


彦乃の激情した様子に、リエル?は先程まで暖かな目をしていたのだが、急に一変して冷たい無情の表情へとなってしまう。そして静かに、呆れた声でリエル?は言うのだ。



「───リエルリエルリエルって……あの女が、貴方の主ではないの。貴方の主は、この私(・・・)なのよ『ルシファー(・・・・・)』?」



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