隻眼の銀
どうも!
意外とはやく執筆できたので、今日投稿します!
そして、今回は……あの彼が参戦しますよ?
ユキ・シャドー・『神聖帝獣ナテアクナラ』が仮面女に敗北から少し遡る。
倭国カグヤの学園、『グランディセウム学園』。
そこでは、女神クシャルの眷属等が二手に分かれて攻め込んできていた。
シキ等教師と『静寂の戦車』シャルロット……倭国カグヤ第二王女『シャルロット・カグヤ』とは別に『勇者』等がいる場所へ攻め込んでいる。場はかなり緊迫した状態だ。
「ほぉぅ、『七天魔皇』の『黄昏の魔女』とあろうお方が……そんな『勇者』を守るか」
「馬鹿だねぇ、神の眷属。『勇者』とて、彼等は子供同然だよ。そしてこの学園の生徒だ。ならば……守らなければならないでしょ?」
「ふ……笑わせてくれるなよ『黄昏の魔女』よ。そんな綺麗事が我々に通用するとでも?」
「ハッ!別に君達に理解してもらおうとは思ってはいない。ただ私は学園を、生徒達を守るのさっ!」
『七天魔皇』の『黄昏の魔女』こと、『ビティーカ』と相対するのは彼女と同じく魔女らしき女性だ。残念ながらコスプレの様には思えない程の地味さがあるので地球人からすればかなり本格的に思えるだろう。
その魔女は女神クシャルの眷属にして、最高戦力の一人だ。
ビティーカの後ろには『勇者』等を含めた生徒達がいる。『勇者』等の中にはあちこち怪我をしているが、別段命の危険はない軽傷だ。何故、怪我をしているかは魔女による襲撃で反撃した結果である。
「な、なんだよ……なんで全然効いてないんだ……」
「……くそっ」
天海翔貴と光城直人の二人は己の『勇者』という力に過信した結果怪我をしたのだ。それを島崎美春と桜間真紀と真理が回復魔法等で傷を癒していた。
そんな己を過信する『勇者』二人を見ながら魔女は鼻で笑う。
「……呆れたな、これが『勇者』。こんなのが『勇者』とするならば世の末だ。で、『黄昏の魔女』よ。また悲劇を生み出すつもりか。なんと、愚かだ『黄昏の魔女』。貴様には幻滅したぞ」
「……勝手に言うがいいさ」
魔女からの発言に一瞬言葉を詰まらせてしまう。
そんな侮辱する発言をされたことに天海と光城等は魔女に食らいつく様に反論する。
「お前、こんなことして、許されると思っているのか!」
「そうだ。お前達はどう思っているかは知らないが、俺達『勇者』は選ばれた存在!その証拠に『女神の加護』があるんだ!こんなことして、お前らどうなっても……」
「……貴様等、何もわかってないのだな?」
魔女は心底呆れた表情で、まるで其処らに転がっている汚物を見るかの様に眺めていた。
「いや、わかっているが認められないのか?己が選ばれた特別な存在だと優越感に浸るため、か……なんとも愚か。貴様等は夢を見すぎているな。ならば、抹殺してやろう貴様等の夢幻を」
魔女は懐から、見た目が四角の箱を取り出した。
四角の箱は魔女の掌サイズで、その掌で開かれる。
箱の中からは何か小さなビー玉の様な宝石が。
それがキラリと光輝くと、先程まで大きなシェルターとなっていた場所から大きな空間へ変わってしまう。
そこは四角に囲まれた窓も一切ない閉じられた空間。
「これは……」
「あぁ、『黄昏の魔女』よ。貴様を殺す為に作り上げた空間だ。『黄昏の魔女』さえ倒せば、『勇者』等は終わる」
「なるほど、ね……」
魔女の狙いは薄々勘づいていたビティーカ。
もし、ビティーカが討たれればどうなるか。
『七天魔皇』の『黄昏の魔女』でも倒れたのならば『勇者』等もお手上げである。問答無用で殺されるだろう。
『勇者』達の各面々は戦慄が走る。
あの魔女は、自分達が総出で仕掛けても闇討ちしても確実に全滅されることを。
しかも明らかに魔女が使用したこの空間はある仕掛けが施されている。それも、自分は『黄昏の魔女』を倒せると確信している様にも見えるのだ。
今この状況は、ビティーカにとっても下手に動けず危うい状況である。この空間を作ったのは恐らく魔女等の主である女神クシャルなのだろうか。
「この空間は、『黄昏の魔女』の為に我らが神から承ったもの。幾ら『七天魔皇』の『黄昏の魔女』とて、致命傷は避けられぬぞ?」
「うわぁっ、私の為にこんな馬鹿げた空間を作るとか……暇なの、君らのカミサマは?」
「っ!キサマ、我らが神を愚弄する気かっ!!!……まぁいい。この空間は対『黄昏の魔女』、キサマを倒すためのものだ。武器・魔法……それらは我らの神の加護が無ければ攻撃できない。わかるな、この意味を!『黄昏の魔女』、キサマの最も得意とする魔法は一切使えん!!!」
「……確かに、これは部が悪いね」
女神クシャルが作り出した空間は、ビティーカにとって致命傷であった。魔女の言う通り、『黄昏の魔女』ビティーカは魔法を主力としているのだ。それを封じられるというのはかなり痛い。
しかし、ビティーカは全く焦ることもなくただ辺りを見渡すだけ。
それを癪に触った魔女は、鈍器にも確実に使える杖をビティーカに向けて言い放つ。
「ビティーカ!!!かつて、神をも下したとするキサマはここで死ぬ!!!」
「あ~、何か勘違いしてるっぽいけど」
「……は、勘違い?」
「君の相手は、私じゃないってこと」
そうビティーカは何処からともなく光の剣を取り出す。
その光の剣というのは、剣の束に護符と刃には幾つもの魔方陣が彫られている様にも見える。何故彫られている様にも見える、と表現したのかは、その光の剣は光で出来ていたからだ。確かに魔方陣は光の剣に彫られているが、実際はそんな事が出来ないからこそ、そう認識してしまうのだ。
光の剣をビティーカは自分の正面に放り投げる様にして、そして斜めに突き刺さった。
刺さった直後、円を描くように新たな光の剣が幾つもの現れ突き刺さっていく。
そして円を描いて斜めに刺さった光の剣は、まるで花が開いた花弁の様に。
その円描く光の剣の中心に一人の人物が現れた。
銀髪を持ち、顔は鼻と口、そして右目を白い布で隠した人物。歳は不明だが、背は少し低くも感じる。服装は白を基準とし、金色の線が施されているのに加えて動きやすくしているのか腰には太い帯の様な、ベルトでしっかりと締められた服装。
「頼んだよ、『葵』君」
「……」
「伏兵か……!」
さて、誰かはわかり…ましたよね?(笑)
次回は戦闘です。




