リゼットとリミリィ
どーも!!!
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リゼットとリミリィ。
二人の容姿は髪の長さと瞳の色を除けば同じ。
端から見れば双子に見えるだろう。
リゼットが姉でリミリィが妹。
本当にそう見えてしまう。
これだけ言えば、二人は仲良しになるのではないかと思われるだろう。
……が。
「おいゴラ。だから王女だかしらねーけどいい加減にしろよ?」
「いっ、いいじゃないですか!私ももふもふさせてください!」
「だーかーらぁ!オレの旦那なんだって、何度言えばわかるんだよ!!!誰が他の女に触らせるかよっ!」
「嘘をつかないでください!何処をどうみても女性じゃないですか!」
「ふーざーけーるなよぉっ!?こいつは女じゃなくて、男だ!!!喧嘩売ってんのか、てめぇ!?」
「そっちこそっ!!!」
と、いった感じにシキの九つの尾を巡って言い合いになっているのだ。シキを挟んで、ソファーに座ってでだ。一方、シキはというとリゼットがリミリィに触れさせぬように抱き締められていた。
学園長であるビティーカは、ここが学園長室にも関わらず口喧嘩……騒ぎをするリゼットとリミリィに表には出さないが、苛ついていたりする。いや、それが普通なのだろうが。
「いい加減にしなさい、二人とも……」
「「シキ(貴女)は黙ってろ(黙ってて)!!!」」
流石のビティーカの様子にそろそろ止めなければならないと感じたシキは言い争うリゼットとリミリィを止めようとする。のだが、争う勢いのまま彼女達はそう言い放った。流石のこの怒りように本来なら止めるのを放棄されていただろう。
しかしながら、シキは……。
「……今はやめろよ、な?」
全く笑っていないその目で彼女二人へと、改めて問う。
この場にビティーカ学園長が不在ならばこのまま流れるがままであっただろう。しかし、この学園の最高責任者ビティーカがいるのにこの様子は非常によろしくない。なのでシキはとりあえず怒ることにした。
別に喧嘩が悪いとはいっていない。
だが、TPOを弁えなければ、申し訳無いが止めるしかない。
「わ、わりぃ……」
「ごっ、ごんなちゃっ!?……ごめんなしゃぃ……」
流石のリゼットとリミリィの二人もシキの静かに怒る様には真っ青になっている。サ~ッと血が引いてしまっていたのはビティーカにも目に見えていた。ビティーカは「うんうんっ」とやはり時には怒れるシキに内心褒めていた。リゼットは滅多に怒らないシキに度肝を抜かされた様子で、リミリィはシキの笑ってるのに笑ってない恐ろしい微笑みに思わず舌を噛んでしまいながらも怖がりながら謝罪してきた。
「申し訳ありません、学園長」
「あ、いいよいいよ~。ちゃんと君が言ってくれたし……そして、二人も反省してるみたいだし……」
ホッと安堵をつくシキ。
「でも、もっとはやく叱るべき、かな?」
ズドドンッ!と音が響き渡りそうな、そんな威圧がこの学園長室を支配する。
リゼットは、思わずその威圧に反応し腰に携えた二本の刀に手を添える。そして三匹のリゼットの『契約モンスター』達は牙は見せないものの、少し唸った声を出す。
リミリィはというと冷や汗をかきながらも、その場で耐えていた。しかし、その威圧は学園長ビティーカが警告と前にする様なものであり、それを知るリミリィは何も言えることはない。
そしてシキは、威圧を受けながらもそのまま謝罪する。
「ごもっともです」
「わかってるならいいよ~」
威圧はシャボン玉が割れる様に完全に消えていく。
学園長ビティーカも別に怒っていた訳ではない。だが、これが彼女の威厳なのだろう。あの威圧は魔法等ではない。彼女自身の"気"なのだ。これこそ、『七天魔皇』、『覇王』の次に畏怖される存在『黄昏の魔女』。
「『七天魔皇』件については、残念だけど諦めるよ。でもね?」
「でも……?」
「頼みたい仕事があるんだけどねぇ?」
どうやらシキ個人に仕事があるらしい。保健室の先生以外で。
内容にもよるのだが、騒いだ謝罪として出来る限りの範囲で、ということでビティーカからの仕事を受けることにする。ビティーカからは無理なら無理でいいよ?という軽い感じだったので、シキにとっては簡単な仕事らしい。まだ決まったわけではないが。
「で、その仕事、いうのは……」
~~~~~
学園長室から保健室へと戻ってきたシキ達。
今いる保健室は、シキともう二人で仕事をする場であるのだ。
この様な保健室は各階と校舎によって細かく分散されている。保健室一つにつき、3人が勤務しているのだ。
だが、現在のこの保健室の職員は二人とも学園の模擬戦や魔法の実技等で出払っているので不在である。
「もっ、申し訳ありませんっ!!!」
そうシキに頭を下げるリミリィ。
リミリィはシキに二つの事に謝罪していた。
一つは、学園長室で騒いでしまい自分達の代わりに謝罪させてしまったこと。
二つ目は、騒いでしまった事によるシキの仕事を増やしてしまったのだ。その仕事の内容が学園内の、そしてとある一人の生徒の事でもある。それを聞いたときに無理難題だったのだ。
最初は学園長は何を言ってるのかと言いかけてしまった。それほど、その生徒に関してはリミリィ自身もよく知ってるし、どれだけ問題児なのかを理解している。そんな負荷を押し付けられたシキにどうしても申し訳無く思っていたのだ。加えて盛大にシキを女性だと勘違いしてたことも。
「それに、先生を女性と間違えて……」
「次から気を付ければいい」
「はい……」
別に気にしてない、といえば嘘になるが既に間違えてしまったことは仕方がない。正直、次から気を付けてとしか言いうしかないのだ。
まあ仕方がないとはいえ、学園長ビティーカから与えられた仕事はまあまあ面倒な事であった。
この学園でトップクラスの実力者である生徒に、指導してほしいということである。
しかも、その生徒は中等部1年でありながら高等部の先輩でも太刀打ちが出来ないほど剣術のみであれば学園最強とされている。
因みにこの学園は小学部・中学部・高学部が存在する。
学年と年齢は以下の通りである。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
小学部
・1年……4~5歳
・2年……5~6歳
・3年……6~7歳
・4年……7~8歳
・5年……8~9歳
中学部
◎1年……9~10歳
◎2年……10~11歳
◎3年……11~12歳
高学部
●1年……12~13歳
●2年……13~14歳
●3年……14~15歳
●4年……15~16歳
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
この様な感じである。
勿論、飛び級だったあるのだ。
その問題児というのは中学部1年であり、しかもこの国の副将軍の息子であるのだ。
シキからすれば最近ここで働き始めたばかりなので、その問題児については無知に等しい。
さてさて、どうしたものかと考えていると学園の鐘が響き渡る。
どうやら授業が終わったらしい。
「あっ、ごめんなさい。私はこの後予定が……」
「気にしなくていい。行きなさい」
「は、はい!失礼しました、シキ先生」
リミリィ王女はどうやらこの後に履修している授業があるらしい。だが、リミリィ自身はシキの尾からゆらゆらと揺らめく九つの尾を触れられなかった事に惜しみながら保健室から出ていった。が、その前にリゼットと目が合うと互いに敵対するかの様に睨み合うとそっぽを向いていたのだ。
一応リミリィはリゼットがシキの妻である事は理解はしたらしい。
リミリィが退出した後、シキはリゼットに何かを言おうとしたのだがその前にクィクィっと袖を弱めに引っ張っていた。それはいつものリゼットとは異なり、落ち込んでしまっている様子である。
「リゼ?」
「……ごめん、なさい。オレがバカして」
「あー」
どうやら先程の一件について、リゼット自身もやり過ぎたと感じていたらしい。汐らしくなっているリゼットをシキは苦笑いをしながらも頭をポンポンと軽く撫でた。
「……ほんと、わりぃ」
「許す」
「あんがと」
許してもらえることが、当然だとはリゼット自身全く思っていない。自分がした行いにシキが代わりに責任を背負わせてしまった。
それが許せない。
自分自身の甘さが。
それと同時にリゼットは、自分はまだまだ未熟だと思い知らされた。言い訳を言う気もないし、言うつもりもない。だが、リミリィと出会った時、まるで自分の姿を鏡に写していたかのようだ。
一方のシキは、あの時リゼットとリミリィの口喧嘩していた様子は互いに心を許せる相手同士……まるで姉妹同士のささいな喧嘩を見ている様であった。
リゼットは、自分自身で深々と反省を心でした後に一度深呼吸をして、切り換えた。一々落ち込んでいる訳にはいかない。
「なぁ……アイリスとマシロは、どうだ?」
自分達の娘であるアイリスとマシロはシキがこの学園に着任と同時に途中入学したのだ。学年は小学部4年生として。
よく家でアイリスとマシロから学園での話は聞いてはいるが、やはり気にしてしまうのだ。実際はどうなのか、と。
「元気にやってるよ」
「そっか……よかった」
「ちょっと覗いてみよっか?」
「……は?」
さて、リゼットとリミリィについてですが私個人的には本当の姉妹の様にしちゃってます(笑)
何故二人は喧嘩しやすい?のかは自然とお互いに心を許せるというより、素で相手をしやすい相手だからでしょう。見た目はどちらも瓜二つだから余計にかな?
さぁーって、次回はアイリスとマシロのお話です。
あまあまに、ほんのりと書いていこうと思います。




