★大御門彦乃(オオミカド ヒコノ)
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前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!
『転生者』
『バレる!』
『仲がよければ問題ない?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
ある『あちら』の世界に存在する屋敷。
その屋敷は天の頂きに存在する山頂の街。
その街の名を天空の大城『アメノミナ』。
その屋敷にはある二人の人物が椅子に座って対面していた。
一人は桃色の髪を持つ『妖人族』の少年。彼は不知火姫希を敬愛する第一の従者であるミラ。
もう一人は、濡れた様な艶やかな灰褐色で毛先が黒い髪に白銀の目を持つ長身の美女。凹凸は無いものの、その和らげな雰囲気は母性を感じる事だろう。その者の頭部には狸の耳、臀部には狸の立派な尾。どちらもその者の髪色と同じ色である。
狸の『獣人族』なのはわかるだろう。しかしただの狸の『獣人族』ではない。
その者の名は大御門彦乃。
……薄々勘づいている方々はいるかもしれないが、その者は男である。因みに身長は189㎝、体重は65㎏。男性でも身長が高い方だ。しかもスタイルも手足がスラッと細く、美容とかやっているのではないかと思うほどにハリがあり艶がある。まあ、年齢は不知火姫希と同年代なので、身体がピチピチなのは当たり前なのだが。
ここで、彼女……彼には問題がある。
それは、着ている服装が女性ものなのだ。
しかも違和感がない程の出来栄えである。
因みに今、彦乃が着ているものは和柄で、踊り向きの衣装である。
「体調は大丈夫なのですか?」
「ええ。もう問題はありません。ですが、流石に『ベヒーモス』との戦いは大変でしたねぇ」
口調は完全に母親っぽい彦乃は少し疲れた様子で手を頬に添えていた。
数ヵ月前、ある三体の超巨大モンスターが衝突したのだ。
それは、大規模な震災になるかと思われた。
しかし、その超巨大モンスターの内の1体『ベヒーモス』の相手を彦乃ただ一人で請け負ったのだ。
結果は討伐はしなかったものの、何かから解放されたかの様に『ベヒーモス』自ら何処かへ去ってったのだ。もし、彦乃が相手をしなければ震災は大規模に広がっていただろう。
といっても、彦乃は偶々その三体の超巨大モンスターの衝突に出くわしたので彦乃本心からしたら何とも面倒な相手だったかもしれない。
「……で?貴方から私に訪ねてくるなんて……どういうことなのでしょうか。あっ。あの不知火姫希の事ならば知りませんよ?というか知りたくもありませんし?」
「……ぅ」
実は彦乃と姫希は仲が悪い。
お互いに顔を合わせれば、何故か自然と喧嘩をしだすのだ。そして何故か何かしらの勝負をする事になってしまう。
その勝負の内容はバラバラ。
例えば、カラオケで最高点を競ったり、料理の腕を競ったり、プールに行って泳ぎを競ったり、ゲームで勝負を競ったり、ダンスで勝負したり等々。殆ど勝負を競う事は全てやっているのではないかと思ってしまう程勝負をこの二人はしているのだ。
この様な勝負を数多行っている為か、二人は数多くの特技を身に付けてしまっている。
そんな事をしているので、実際は仲が良いのではと思われるかもしれない。が、それを本人達に言えば……怒る。
凄く、怒る。
端から見てみれば仲が良いと思われているかもしれないが、彦乃と姫希は真剣に勝負をしているのだ。
周りからこの二人は好敵手同士と思われていたりする。
ミラは主である姫希の話をしようとしたのだが、先に釘を刺されてしまった為に仕方がなく用件を述べることにした。
「御結婚おめでとうございます。これは主である姫希様が不在の為、変わりに祝い品を」
「あらまぁっ!あの姫希の名を言ったのは非常に不愉快でしたが……ありがとうございますね」
完全に姫希の名前だけでも嫌がっていたが、祝い品となれば無下には出来ない。
現在、姫希は行方不明なのだ。
なので、代わりにミラが結婚をした彦乃に祝い品を持ってきた。
この祝い品を姫希が持ってきてきたとしても、受け取りはするだろう。例え嫌っている相手からの祝い品を受け取らないという対応はしない。だが、小さな喧嘩はしそうだが。そこが少し……というかかなり彦乃と姫希の変わった関係である。
祝い品を渡したミラは、彦乃の元へ置いてある刀を見ながら染々と呟いてしまう。
「やはり……いつ見ても大きいですね……」
「あらあらまぁまぁ。この子の事ですか?」
そう彦乃は易々と非常に使いやすそうにしながら、その刀を持ち上げるのだが、その刀は太刀にしてはとてつもなく規格外な長さ。4メートルを越えているだろう。
彦乃が持つ刀の名は『破邪の御太刀』。
彼の愛刀の一つ。
その破邪の御太刀の刀身を天上に向けるが、そもそも今いる屋敷全体が天井が非常に高く造られているので破邪の御太刀を使った素振りでも問題なく行える程。そもそも屋敷自体が大規模なのだが、ミラからすれば姫希の実家とそれほど分からないので別段驚きはないが、初めて訪れる者からしてみれば驚愕するだろう。
「貴方も大変ですねぇ、ミラさん」
そう彦乃はミラに言う。
彦乃が言う大変、というのは勿論不知火姫希の事だ。
といっても、不知火姫希が何か問題を起こしたとかそういうのではない。
問題なのが、不知火姫希を求めてやってくる客人である。
その客人というのが、王族や貴族、中には誰も知らぬ者はいない有名な冒険者、国々の重鎮だったり。王族であれば、次期・候補の『天王』や『魔王』、『聖王』達。その次に各国の貴族達の訪問してくるのだ。
さて、改めて『天王』・『魔王』、『聖王』の名を挙げていこう。
『天王』は『ミカエル』・『ガブリエル』・『ラファエル』・『ウリエル』・『メタトロン』・『サンダルフォン』・『ラジエル』・『アーサー』。
『魔王』は『サタン』・『ルシファー』・『ベルゼバブ』『レヴィアタン』・『ベルフェゴール』・『マモン』・『アスモデウス』・『オダ』。
『聖王』は『メシュラ』・『ティアムス』・『リカーン』・『ドゥンラサ』・『ニラテス』・『シュタイア』・『ヴィダーチ』『ダルク』。
その中でも、訪問が多いのは次期『天王』である『ラファエル』の少年に『魔王』である『サタン』の少女だ。勿論従等の護衛を連れてなのだが。
ここで何故、次期『天王』の『ラファエル』と『魔王』の『サタン』が不知火姫希の実家に訪問しているのか。
簡潔に説明するならば、不知火姫希だけでなく、その母親の柚希、そして祖母のソフィアが、『天王の資格』『魔王の資格』を有しているからだ。だが、三人は『天王』、『魔王』に興味はないので、王族の仲間入りするというのはない。
次期『天王』と『魔王』は、自分の従者として不知火姫希を勧誘しているのだ。
彦乃の場合であれば、彼も『魔王の資格』を有している。その『魔王の資格』は『魔王の資格』。なので、次期『魔王』が彼の勧誘をしているのだ。他にも『天王』や『魔王』からも勧誘を受けている。
これほど、大御門彦乃と不知火姫希が人気なのか。
これにはある原因がある。
その原因は決して親ではない。
実は、彦乃と姫希がある勝負をしたのだ。
勝負内容が、『執事としてどけだけ主を尽くせるか』という事を行ったのだ。これは軍からの直属の依頼で彦乃と姫希の二人が受けた。
彦乃も軍に所属している。今は結婚したので休暇を貰ってゆっくりしている。
話は戻るが、その依頼とはある『魔王』からで次期『魔王』である子が他の『魔王』や『天王』、『聖王』達が集って社交界をする為に護衛として参加してほしいという事だったのだ。
そこで、丁度手が空いていた彦乃と姫希がその依頼を受けて執事として護衛を行った。勿論ではあるが、他にも実力者の軍人も護衛として参加している。
二人が全身全霊の執事の役目を全うした結果、そこで参加していた『天王』・『魔王』・『聖王』達に絶大な注目を集めたのだ。二人は万能の執事と認識されてしまい、是非我が従者になってほしいとその時から勧誘されはじめたのであった。
因みに勝負は、引き分けである。
『天王』・『魔王』・『聖王』や貴族達からしてみれば次期『天王』・『魔王』・『聖王』、当主である子達と年齢が近しい彦乃や姫希が従者、執事になってくれればと思っていたりするのだろう。
そして彼等は彦乃と姫希を同時に欲しているのだ。
片方だけでも心強いが、彦乃と姫希。
この二人が従者になってくれるのが、理想的。
表には、全く知られていないが、上層の階級の立番の者達なら知っている。
彦乃と姫希の実力を。
二人の実力は軍の元帥レベルとも思われている。
その事を知っているミラは、その対応に少し困っているのだ。まあ、最近はその対応に慣れている。しかし、こう月に一回次期『天王』・『魔王』・『聖王』や貴族などが来られるのも面倒だ。
しかし、我が敬愛する姫希の為、ミラは頑張るのだ。
あの時。
姫希に救われてから、この命は主のもの。
彼がそう言った訳ではないが、ミラはそう決めているのだ。
ミラ自身、周りから中性的な容姿をしているので昔から男女共に告白される事があった。なので、自分は異性からだけでなく同性からも惚れる程の容姿なのは自覚している。
しかし、そんなのに興味はない。
それよりも、姫希の方が遥かに美しく麗しい。
その姫希の美貌は、目の前にいる彦乃と同等レベル。
ミラからすれば、姫希の方が勝っていると思っている。
そんな優しくも麗しい主に仕えるだけでも光栄だ。例え、この世の全てが姫希の敵になったとしても、自分だけは姫希の味方。敵対する、主に危害を加えるのであれば容赦しない。
「姫希様の為なら、苦ではありません」
だからこそ、ミラはこう言い切るのだ。
そんな様子を見た彦乃は、ミラの、髪を見ながら言う。
「……アホ毛、切ってもよろしくて?」
「駄目です」
そう彦乃が言ってしまうのは無理はないかもしれない。
ミラの頭部には髪色と同じく、ピョッコリと立派なアホ毛がピコピコと動いていた。そのミラのアホ毛は、ミラが機嫌が良いときにピョコピョコと動いてしまう。先程ピョコピョコとアホ毛が動いていたのは姫希の事を思っていたからだ。だが、そんな大きく主張するアホ毛には、人によっては切ってしまいたいと思う者は彦乃以外にもいるだろう。姫希はミラのアホ毛を可愛いと評価しているので、尚更切る気にはない。
ミラは自分のアホ毛を両手で守っているのだが、怒られて頭にゲンコツを落とされない様に身を守っている子供の様に見えてしまう。そんなミラは、その態勢で彦乃にある話を訊ねた。
「彦乃様も地球に……というのは事実でしょうか?」
「あら?誰から……というのは大体予想はつきますね。はい、事実ですよ?」
「それは……何故?」
「これはルイスから聞いたのですが、どうやら新たな問題が起こった様です。」
「問題……?」
「どうやら新たな組織が現れたそうです。その組織の名は……『エリニュエス』でしたか?それだけならよかったのでしょうけど、今回は地球で1週間、ある調査をしてほしいと頼まれたのです」
「その調査は……よろしければ、御伺いしても?」
「そうですねぇ……貴方ならいいでしょう」
彦乃は、ミラに言う。
その調査というのは、<WAO>からの要請でもある。軍からはルイスや峯長に頼めばいいと思われるかもしれないが、他に≪理想≫・≪粛清≫・≪悪戯≫という巨大な組織だけでなく、新たに現れた<報復者>の対応で手が離せないらしい。なので、代わりにそのある調査を行ってほしいという事なのだ。
そして、その調査というのが……
「最近、地球に出現しているらしい『マリス』のです」
【くえすちょんっ】
Q.姫希と彦乃の二人は殴り合う喧嘩とかするんですか?
A.殴り合いはありません。どちらかというと武術の組手の様な模擬試合をして勝負していますね。最近は互いが戦うと周りに被害が出てしまう為に周りに迷惑がかからないスポーツやゲーム、カラオケ等をしているのです。なので、歌が上手かったり、スポーツ、球技が上手かったり等々二人の趣味は趣味の領域を越えていたりします。
ようは、負けず嫌いで最初は下手でも練習して努力しているのです。
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