3年前の…
バスに乗って、会社へ向かっている間…ボーっとしていた私は、あの日を思い出していた。
3年前-
『今日まで、ありがとうございました。』
メガネをかけた可愛い顔の男の子が、皆へ向かって頭を下げた。
私は、何だか泣きそうだった。
今日でいなくなってしまうなんて…苦しい…。
せめて、最後に想いを伝えよう。
そう思った私は、その人へ話し掛けた。
『あのっ、長瀬くん!!』
呼ばれて振り向いた長瀬くんの目は、冷めていた。
『何…?』
あまりお話もした事がなかったからなのか、素っ気なかった。
だけど、前に話した時と全然違う…。
『あ…の…今まで、ありがとう…。』
『…僕、あなたに何もしてないよ。じゃ…さようなら。』
そう言って、どこかへ行ってしまった。
『えっ…。』
この時、私の想いは一瞬にして砕かれた。
転校する前に、想いを伝えようとしただけなのに…。
その後、私はお気に入りの公園へ行き、二度と恋をしないと決めた。
二度と、辛い想いをしたくなかった…。
あの時、“私が好きになる人はどこかへ行ってしまう”…なんて思っていたけど、本当は“心”がどこかへ行ってしまったのかもしれないね…。
「…っ…。」
今でも、まだ泣きそうになってしまう。
もう3年も経っているのに…。
大野さんは、そんな長瀬くんに似ているの。
だけど、全然違う人…。
そんな事を考えていたら、いつの間にか目的地へ着いていた。




