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35: 準々決勝:オルフェウスの心臓


全国大会準々決勝。チーム・ペクウォン高校アリーナの運命を懸けた三つの戦いが、今幕を開ける。キソンの予想外の敗北、ジウンの鮮やかな逆転勝利、そしてスンヒョクの冷徹な最終決戦——一つひとつの対決が、それぞれの覚悟と戦略をぶつけ合う熱い舞台となった。勝利の歓声が響く中、スンヒョクは静かに一つの決断を下す。国家代表でも優勝でもなく、自分だけの道へ。カードゲームという舞台を通して描かれる、一人の少年の静かで熱い旅立ちの物語。

第35話 – 準々決勝:オルフェウスの心臓


全国大会準々決勝。ソウォン市00コンベンションセンター。

「みんな、昨日伝え間違えたことがあって……」

キソンの表情が固まっていた。

「国家代表フリーパスは、ベスト4進出者のうちチーム内1位だけがもらえる。チーム内2位、3位は国家代表選抜戦の受験資格しかもらえないって」

静かな沈黙が流れた。

「あ、そうですか」

スンヒョクは冷ややかに答えた。無表情のままスマートフォンをいじりながら付け加えた。

「俺のHP、17,000です。キソン兄さんは?」

「俺は15,900……わ、お前が上がるじゃないか」

キソンは苦笑いしながらうなずいた。

「今日はお前を押し上げてやるよ」

「あ、ありがとうございます」

口では丁寧に答えたが、スンヒョクの内側は妙に昂っていた。

全国ランキング37位……もうここまで上がってきたのか。

少し前に手に入れた神話級カード「オルフェウス」と「ネプトゥヌス」は、彼のデッキを一段階引き上げてくれた。かつてランキング1000位圏外に留まっていた自分が、今や全国ベスト8の舞台に立っているとは。

いよいよ、見せてやる番だ。

スンヒョクの眼差しが鋭く光った。


三本勝負の二先勝制でチームメンバーが一対一で対戦するこの形式は、選手たちの集中力と戦略がなにより重要な局面だった。

まず、チームコリアの一番手、体育大学出身のエース、パク・ミンスが姿を現した。直角に張った肩と鋭い目つきが観客席に映し出された瞬間、観客たちは一斉に歓声を上げた。パク・ミンスは堂々とした姿勢でデッキを整えながら、張り詰めた雰囲気を一瞬和らげた。

それに対峙するペクウォン高校アリーナの選手はチームキャプテン、チョ・キソン。落ち着きながらも冷静な表情で、フィールドの中央に立った。周囲の応援の声は彼の集中を乱すことができなかった。チョ・キソンはゆっくりと三枚のカードを取り出した。

「ローマの黄金の盾!」

チョ・キソンの声は断固としており、その自信は会場全体を包み込んだ。


ミンスは迷わず手に持っていた二枚の強力な攻撃カード、ローランとリチャード二世を同時にフィールドに召喚した。観客席から歓声が上がった。どちらも伝説級の英雄と評されるカードであり、チョ・キソンの黄金の盾を突き破るには十分な戦力だった。

「行け、ローラン——リチャード、突破しろ!」

二人の英雄が同時に剣を振るい、黄金の盾へと突進した。しかしその瞬間、キソンの目が冷たく光った。

「ローマの黄金の盾、発動。ダメージ反射、二倍」

華々しく砕けたかに見えた盾が瞬く間に再構成され、強烈な黄金の波動を巻き起こした。その光はローランとリチャード二世にそのまま反射され、二枚の伝説カードは悲鳴も上げることなく粉々に砕け散り、フィールドの外へと弾き飛ばされた。

「二倍の反射ダメージだと……」

パク・ミンスの表情が歪んだ。観客席の雰囲気も急速に冷え込んだ。

しかしチョ・キソンは止まらなかった。

「オルフェウス、召喚」

黒いマントをなびかせた男が笛を吹きながら登場すると、フィールドの空気が一層暗くなった。オルフェウスは相手の防御力を弱体化させ、毎ターン継続ダメージを与える強力なフィールド支配カードだった。キソンはふっと笑った。

「これで終わりだ」

しかしミンスはすぐさま次のカードを取り出した。

「防御カード五枚、展開」

『エトナの岩』、『ヴァルハラの城壁』、『ツァーリの鉄門』、『神聖文書封印』、『雷霆の結界』。

彼が展開した防御カードたちがフィールドを固く包み込み、オルフェウスの演奏を阻んだ。オルフェウスの効果は無効化された。キソンの眉間が動いた。

「今度は……俺が見せる番だ」

パク・ミンスは右手をまっすぐ伸ばし、自らもオルフェウスを召喚した。片方は金色、もう片方は深い紺色のマントをまとったオルフェウスが二人、フィールド上で向かい合う光景は、戦場の緊張感をさらに高めた。

「オルフェウス、チョ・キソンのフィールドを攻撃」

深い音色が広がり、キソンの残りのカードたちが揺らいだ。続けてパク・ミンスは最後の決断を下した。

「シャルルマーニュの十二騎士、連続展開」

『オリヴィエ』、『ネーム』、『ゲラン』、『ベランジェ』、『アンセリ』、『ユーグ』……伝説の騎士たちがフィールドに一人ずつ姿を現した。チョ・キソンは目を見開いたが、防御カードはすでに底をついていた。

「全員突撃」

十二騎士が一斉に突進した。チョ・キソンの残り体力ゲージが急速に削られ、ついに0を刻んだ瞬間——

「チョ・キソン選手、敗北!」

審判の宣言とともに、観客席が爆発するように沸き立った。

パク・ミンスは軽く息を整えながらデッキを片付けた。

「一本取ったな」

その声は低かったが、戦場の余韻のように長く、強く残った。


チョ・キソンの予想外の敗北は、チーム・ペクウォン高校アリーナに冷や水を浴びせた。ベンチの空気は一瞬にして通夜のようになり、誰も口を開かなかった。

その中、ベンチの端に座っていたスンヒョクは、固い表情で拳を握りしめた。

俺のドイツ行き……揺らいでいるわけじゃないよな。

心の中で怒りを抑えていたそのとき、隣に座っていたジウンが静かに彼の肩を叩いた。

「スンヒョク、心配しないで。うまくいくよ」

スンヒョクは短くうなずいた。

「誰が先に出る?」

ジウンは頷いた。

「私が先に出る」

観客席のざわめきが大きくなると、実況の声が続いた。

「はい、ペクウォン高校アリーナの二番手は、チェ・ジウン選手です。果たして彼女の相手は誰でしょうか——あ、なんと……出てきました。チームコリアのキャプテン、パク・ヒョンボム選手!」

会場に再び緊張が走った。一方は崩れかけたチームの流れを食い止めなければならない唯一の希望、もう一方はチームの精神的支柱にして全国ランキング23位、パク・ヒョンボム。

「これは……絶対に楽な対決にはならないでしょう」

実況の声はさらに真剣みを帯びた。


「初心者だからって手加減はしない」

パク・ヒョンボムは冷ややかに言った。

「手加減しないでください」

ジウンも目一つ瞬かせずに切り返した。

ヒョンボムは即座に五枚のカードを展開した。

「代表攻撃カード展開。シーザー、李舜臣」

観客席から歓声が上がった。ローマの名将と朝鮮の水軍提督が同時に登場すると、フィールドは瞬く間に炎に包まれた。

「さらに連続召喚。淵蓋蘇文、乙支文德、金佐鎭」

ヒョンボムの手捌きに迷いはなかった。韓民族の伝説的な将軍たちが次々と登場し、戦場を占領していった。

「全員突撃」

巨大な波が押し寄せるように攻撃が降り注いだ。しかしジウンは慌てなかった。

「ローマの黄金の盾、三枚展開」

三枚の黄金の盾が次々と召喚され、前方に堅固な防衛陣を形成した。シーザーの剣も、淵蓋蘇文の槍も、すべて反射されて散った。

ヒョンボムが眉をひそめた。

「黄金の盾を三枚も?」

その瞬間、ジウンの頭の中に、ほんの数分前の会話が浮かんだ。

「パク・ヒョンボムの弱点はカードがほとんど国産なんだ。だからHPが低い。防御力は強いけど、体力が弱い」

スンヒョクは小さな箱からカードを取り出し、ジウンの手に握らせた。

「この三枚を使え。オルフェウス、ハインツ・グデーリアン、フィリップ・ペタン。忘れるな、ジウン。一気に畳みかけなきゃいけない。隙を見せたら即座に反撃される」

ジウンはうなずきながら、そのときの戦略を胸に刻んだ。

「私の番だ」

一枚目はオルフェウス。ヒョンボムの戦場全体に暗い旋律が広がり、敵の防御力と速度を低下させた。

二枚目はハインツ・グデーリアン。機動戦の鬼才。彼はそのまま側面から突破し、シーザーを引きずり倒した。

そして最後、三枚目、決定打。

「フィリップ・ペタン、登場」

第一次大戦の塹壕戦指揮官が召喚され、一時的なフィールド固定効果を付与した。ヒョンボムのカードたちは一時的に行動不能状態に陥った。

ジウンは微笑んだ。

「今だ……全員攻撃」

暗い旋律と突撃、フィールド固定の三重連携が完璧に機能し、パク・ヒョンボムのカードたちが一枚ずつ倒れていった。観客席から張り詰めた息づかいが漏れ聞こえた。ヒョンボムの体力ゲージが目に見えて減っていった。


ジウンは手に握った最後のカードを取り出した。息を整え、ゆっくりとテーブルの上に展開した。

「隠しカード……ジョージ・ワシントン、展開」

その瞬間、戦場の空気が変わった。力強い軍楽が鳴り響き、フィールドの上にアメリカ独立戦争の英雄が姿を現した。ワシントンの能力はただ一つ——相手フィールドで体力が最も低いカードを即座に消滅させる特殊技。

その視線が金佐鎭へと向いた瞬間、ヒョンボムは咄嗟にそれを悟った。

「あ……」

ドン!

金佐鎭のカードが粉々に砕け散り、消滅した。

ジウンは微笑みながらベンチに向かって叫んだ。

「スンヒョク——勝ったよ!!」

観客席の一角、ベンチでそれを見届けていたスンヒョクは、席から勢いよく立ち上がった。一瞬驚いた顔が、すぐに明るい笑みへと変わった。

これを勝ってしまうとは……!

ヒョンボムは敗北を認めるようにうなずいた。

「やはり……国産カードが多すぎたか。俺の負けだ」

彼は笑いながらジウンに手を差し伸べた。

「よく戦った」

ジウンはその手を取りながら頭を下げた。

「ありがとうございます」

フィールドはこれで一対一。最後の決着を前に、緊張感はじわじわと高まっていった。


チョ・イェビンが静かに歩み出た。瞳は揺れることなく澄んでおり、指先には固く結ばれた覚悟がにじんでいた。

「スンヒョク……」

彼が顔を上げると、彼女は穏やかに言った。

「全力を尽くそう」

スンヒョクは短くうなずいた。

「はい」

彼はゆっくりと自分のカードデッキを広げた。最初に触れたカードを取り出しながら、口の中で静かにつぶやいた。

ハインツさんのためじゃない。自分の人生のためだ。

カードが一枚ずつ展開され始めた。

オルフェウス。グデーリアン。マンネルヘイム。

三人の伝説的な戦略家たちがフィールドに立つと、戦場は冷たい機械音と軍歌で満ちた。機械のように正確な動き、そして素早い前進。

イェビンは落ち着いていた。

「ローマの黄金の盾、三枚展開」

黄金の盾たちが次々と広がり、一時的な壁を形成した。

しかしその瞬間、スンヒョクの眼差しが変わった。極限まで集中した結果、周囲の音がすべて消えていくような感覚に陥った。観客席の歓声も、実況の声も、何も聞こえなかった。

ただフィールドだけが見えていた。

ここで崩れてはいけない。たった一試合だ。たった一回だけ。

彼の手が次のカードへと伸びた。


チョ・イェビンは、スンヒョクの怒涛の猛攻に耐えきれなかった。

オルフェウス、グデーリアン、マンネルヘイムが率いる連携攻撃は、まるで軍事作戦のようだった。体勢を立て直す間もなく、彼女のカードが一枚ずつ崩れていった。

一枚目——ローマの黄金の盾が破壊され、二枚目——キュロス大王が消滅、三枚目——唯一の回復カードだったテミストクレスまで除去され、イェビンは手に何も残せないまま敗北した。

「ペクウォン高校アリーナ、準決勝進出確定!」

実況の叫びがコンベンションセンターに響き渡り、観客席では一斉に歓声が爆発した。

スンヒョクはゆっくりと席から立ち上がった。歓声が耳元で鳴り響いたが、その表情は淡々としていた。

終わった。

その二文字だけだった。

ジウンが駆け寄り、彼の腕を掴んだ。

「スンヒョク……やり遂げた。私たちがやり遂げたんだよ」

スンヒョクは黙ったまま彼女の手をしばらく見つめてから、静かにうなずいた。

彼の瞳は、すでに別のところを向いていた。


そしてその頃、ドイツ・ベルリン。

ハインツはノートパソコンの画面の前に座り、静かに試合結果を確認していた。ルネが隣でコーヒーを置きながら言った。

「あの韓国の選手、上がりましたね」

ハインツは画面を見つめながらゆっくりと言った。

「正しい選択をしたよ……チェ・スンヒョク」

しばらく沈黙が流れた。彼はコーヒーカップを持ち上げながら、低くつぶやいた。

「十年前の俺を見ているようだ」

ルネは彼の表情をちらりと見てから、何も言わなかった。ハインツがあんな眼差しをするときは、すでに心の中で何かが決まった後だということを、彼女は知っていた。


数日後、冬の終わりのように冷たい風が吹き込んでいた日。

チェ・スンヒョクは静かに体育館の片隅でチョ・キソンを訪ねた。キソンはいつものように黙々とデッキを整理していた。スンヒョクは何も言わずに近づくと、耳元に低くささやいた。

「俺……今年高校三年になります。全国大会ベスト4は……棄権します」

キソンは一瞬固まった。目が大きくなり、ゆっくりと振り返ってスンヒョクを見た。

しかしスンヒョクはすでに頭を下げたまま、持ってきたカードの箱を差し出していた。

「代わりに……俺のカードデッキ。キソン兄さんとジウンが使ってください。オルフェウス、グデーリアン、ハインツ……全部入ってます」

その言葉にキソンは言葉を失った。少しの沈黙の後、低く言った。

「……本気か?」

「はい。俺は……自分のやるべきことは全部やったと思ってます。その先は……キソン兄さんが締めくくってください」

後ろで聞いていたジウンが近づいてきた。

「スンヒョク……なんで急に? あのとき言ってたじゃない。優勝するって」

彼女の声には複雑な感情が絡み合っていた。戸惑い、悲しみ、そして不安。

スンヒョクは目を閉じて、小さく笑った。

「その気持ちは今も変わらない。でも……もっと遠くを見たくなったんだ。自分自身のための道。今は……それがドイツなんだ。高校を卒業したらすぐ発つ。そのためには今から準備しなきゃいけない」

ジウンは静かに彼の手からカードを受け取った。

キソンはしばらくその場に立ち続けた。やがて彼の口から、重く絞り出した言葉が漏れた。

「……必ず戻ってこい。お前はまだ……終わってない」

スンヒョクは答えの代わりに、一度だけうなずいた。

そうして彼は静かに競技場を後にした。


その日以来、キソンとジウンはスンヒョクのカードデッキを目の前にして、長い間何も言うことができなかった。

そのカード一枚一枚に、誰よりも激しく燃えていた一人の少年の熱望が、そのままそっくり込められていたから。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。今回の話を書きながら、一番難しかったのはスンヒョクの「棄権」の場面でした。勝てるのに、あえて降りる。それは弱さではなく、むしろ誰よりも遠くを見ている強さだと思っています。キソンとジウンにカードを渡す場面では、言葉ではなくカード一枚一枚に彼の気持ちを込めたつもりです。伝わっていたら嬉しいです。次回からはいよいよ新たな章へ。引き続きよろしくお願いします。

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