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第5話「シニアたちの逆襲」

【冒頭:地域イベント会場・朝】


 駅前のホールには、地域のブースがずらりと並び、家族連れや学生の姿もちらほら。

 その一角、「やすらぎ荘投資ファンド体験ブース」は、他にない異彩を放っていた。


 紅白幕の下、テーブルには手作り資料や模造紙、そしてなぜか名倉お手製の“カレー味ポップコーン”。


 誠:「……場違い感すごくないですか」


 春香:「大丈夫です、今のところ、浮いてますけど」


 老人たちは真剣な顔で準備中。小倉が資料を再チェックし、山根は練習の台詞をブツブツ唱えている。


***


【中盤:プレゼン開始】


 司会者が「やすらぎ荘投資クラブの皆さんです!」と紹介。


 トップバッターは中西。


 中西:「……我々は、人生経験という“時価総額”を持っております」


 客席から笑いと拍手。


 続いてトミ、山根、小倉が次々に「自分の選んだ銘柄」と「理由」を熱く語る。


 ・トミ:「年寄りはね、金を使わないと思われがち。でも、健康のためなら財布は開くのよ」

 ・山根:「オレは“夢”で失敗したが、今度は“人間”に賭ける。ゲーム企業の“人材戦略”を信じる!」

 ・小倉:「株は生き物です。人と同じで、浮き沈みの中に規則性があります」


 真剣で、ちょっと変で、でも心に残る発表。


 会場には笑いと感嘆が混ざった拍手が広がる。


***


【後半:ブースに人だかり】


 講演後、やすらぎファンドブースに若者や親子連れが次々訪れる。


 「おじいちゃんたち、かっこいい!」「なんか元気出た!」

 「うちの祖母にも投資勧めてみようかな」


 誠と春香が対応に追われながら、嬉しそうに目を合わせる。


 そのとき、背後から声がかかる。


 「いやあ、立派なもんだ」


 自治会長・大竹が現れ、誠に頭を下げる。


 大竹:「佐藤くん、正直、最初は“どうせ続かん”と思ってた。でも見てごらん、みんな生きてる顔してる」


 誠:「……ありがとうございます。でも、僕より皆さんがすごいんです」


 大竹:「その“すごさ”を引き出したのが君だろ」


 大竹はポンと誠の肩を叩き、名倉のポップコーンを一つつまんで「しょっぱ……うまい」と呟いた。


***


【ラスト:やすらぎ荘・夜】


 イベント後のやすらぎ荘。老人たちは疲れながらも満足げに談笑している。


 名倉が夕食の鍋を運びながら一言。


 「今日はカレー鍋。刺激的な一日には、刺激的な締めが必要だろ」


 誠がふとつぶやく。

「なんか……みんな、投資家の顔してきましたね」


 春香が微笑んで応じる。

「佐藤さんも、ですね」


──次回へ続く。



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