表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/42

最終話 帰還(挿絵あり)

手描きの挿絵があります。

苦手な方はご注意下さい。


最終話です。

「二人共!!今だッ!!!」

「『いっけえええええええええ!!!!!』」


 水色の光を纏った赤い光線は、トライスシが羽交い締めで押さえたウリョクに直撃する。


「何だ?何なんだ、この威力は。

 能力スキルを3つも使って守っているのだぞ!」

「シナンの光線の威力にワタシの絆の力を付与させたのだ。

 シナンやスケタロウ、ワタシの力だけではない。

 我々が出会ってきた者達の絆が強い程、その威力は増すのだ。」

「お前は効いてないのか!?...、そうか神だから。」


 光線はウリョクの守りを貫く。


「私と同じ神だから、私だけに効く効果ぐらいは可能か。」


 ウリョクの黄金の装甲を貫いた。


「…私の負けだ。やるじゃないか。」


.........、


 しばらくして光線が止まる。


「フー、フー、どう?」


 シナンが息を切らし、膝を着く。


「よく頑張ったな。シナン、スケタロウ。」


 トライスシが地上に降りてシナンに駆け寄る。

 天使形態のシナンは表情は変わらないが、どこか嬉しそうだ。


「えへへ、ごめん、そろそろ、変わって...。」


 シナンは助太郎と交代する。


「お疲れ様、シナン。

 トライスシさんもお疲れ様です。」

「うむ。」

「それで、ウリョク、さんは?」


 トライスシが自身の後ろを向く。

 そこにはウリョクが大の字で倒れていた。

 黄金の装甲もその身もボロボロだが、致命傷では無さそうだ。


「やっぱりあの水色の光に、殺傷力は無いんですね。」

「ああ、元々命までは狙って無かったからね。」

「そんな制限を設けられて、負けたのか、完敗だよ。」


 ウリョクの表情は満足気だった。


「こんなにも楽しませてくれて、ありがとう。

 お礼 で は 無 い が、もう暇つぶしに人攫いやらはしないと約束するよ。」

「信じていいのだな?」

「ああ、私の、〈スキルの神〉の立場に懸けて、約束しよう。」


 ウリョクは満足した事でもう悪さはしないと誓った。


「だが、これまでの被害者の者達への反省や償いもして貰うぞ。」

「ああ、何だって、しようじゃないか。」

「『よかったあ。』」

『あれ、そういえばスケタローの言ってる言葉が分かる。』

「あ、俺もだ。」

「ン私がここに倒れた時点で再度、地球人に[言語翻訳]の能力スキルを付与したからね。

 元いた場所へ帰すまでは、付与してておくよ。」

「『なるほど。』」

「あれ、帰して、くれるんですか?」

「当然だ。今からでもすぐ可能だよ。」


 ウリョクは助太郎を地球の故郷へ帰す事も約束した。


「念のため、帰す際はワタシも見張りとして着いて行くが、構わないな?」

「構わんさ。何なら移動中までは君らと一緒にいればいい。

 さ、どうする?すぐに帰るか?」


 ウリョクは回復関連の能力スキルで完全回復し、起き上がる。

 そして助太郎に問う。今、地球に帰るかを。


「この星の皆さんには、これ以上なく助けられましたし、別れの挨拶はして回りたいとは思うけど、

 …故郷には心配させてる人がたくさんいるから...!」


 助太郎は今地球へ帰る選択をした。


「決まりだ。さ、これに乗りたまえ。」

「『うおっ!?』」


 ウリョクは突然巨大な乗り物を生成し出した。


「これは?」

「私の能力スキル、[万物創造]で作り出した宇宙移動用乗り物だ。

 こいつを使って攫った人間をこの星に連れて来てた。」

「…。」


 ウリョクが先に入り口へ入る。

 それからトライスシ、助太郎の順番に乗り物へ入った。



 中は乗り物の外見通り広く、明るい。

 窓の景色から既に宇宙へ飛んでいるようだ。


「この内部はアマノの環境にも沿っているから、新米天使君が外へ出ても安全さ。」

『えっ。』


 シナンは助太郎と分離し外部へ出る。


「あ、本当だ。苦しさを感じない。」

「そうだろう?」

「そういえば今思い出したんですけど、貴方会った時は銀色の装甲ではなかったですか?」

「ン色を変えて変装してたんだよ。

 神の気配を出さなければ身内だろうと対面しない限りバレないもんだったのさ。」


 トライスシは疑惑の視線を向けるが、


「今のウリョク殿からは敵意がないどころか、友好的な情しかないな…。

 怪しいが、ひとまず信じよう。」


 トライスシの絆を感じ取る能力では、ウリョクは確たる絆の情を感じ取れるため信じる事にした。


「地球にはもう間もなく着く。

 別れの挨拶でも済ますんだな。」


 ウリョクは部屋の隅へ移動した。



「シナン、トライスシさん。

 何度言っても足りないですが、助けてくれて、本当にありがとうございました!」

「私もだよ。

 スケタローやトライスシがいなかったら、救えなかった人もいたし、私自身も生き続ける事が出来なかったよ。

 ありがとう!」

「ワタシの方こそ、シナンとスケタロウが助けてくれなければ、何も出来ずに人知れず消滅していただろう。

 ありがとう。」


 助太郎、シナン、トライスシは円陣を組み、それぞれ手を出し合わせる。



「離れ離れになっても、」

「私達はずっと繋がっている!」

「この絆はずっと続く、」


「俺達は、」

「私達は、」

「ワタシ達は、」


「「「最高の親友だ!!!」」」


 こうして、参橋助太郎の忘れられない9日間の体験は幕を閉じた。


挿絵(By みてみん)



 助太郎は地球に降り立つ。

 辺りはすっかり暗い夜だが、見覚えのある光景だった。

 助太郎は知っている道を進む。

 アスファルトの大地を踏み込み。


 着いた先はよく知っている、家族の住む自分の家だ。

 助太郎は深呼吸して、インターホンを鳴らす。


『……はい。』

「えっと、助太郎、です。」

『………え!?』


 インターホンから慌てて走る音が聞こえる。

 扉の鍵が開けられ、勢いよく開く。

 中から大人2人が出て来る。


「えっと、…ただいま!」


 その日、深夜に大人が大きく嬉し泣きする声が響き渡った。


 後日、元々行方不明の事件が大きく話題になっていたのもあり、助太郎の帰還は更に大きな話題となった。



 シナンは衛星:アマノで神となる為に、〈絆の神〉トライスシの下で指導されている。

 神へ進化するのも時間の問題と言われる程、優秀なのだとか。


 ウリョクは他の神の見張りが常に付き、せめてもの罪滅ぼしの活動を行なっている。

 意外にも真面目に活動をしている。


 助太郎にはしばらく報道陣が押し寄せていたが、月日の経過で段々と落ち着いていき、大学生活へ復帰した。

 そしてその顔付きは、以前よりも立派になったと知人は感じていた。

これにてこの作品は完結です。


色々とツッコミどころは多いと思いますが、

ご覧頂きまして誠にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ