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27話 蜥蜴男の営む老舗床屋でクラシック散髪、髭剃り、極上シェービング 〜それを見つめるもの〜【12】


【木こり:薬草の翁】



シャワー室に立ち込める蒸気の中から現れたのは……クサナギ!!

そう、我が愛しの娘!!

ワシの元へ光の薬草をもたらし、見るもの全てを魅了する完璧超人のクサナギが全裸で目の前に!!

なぜじゃ!?

どうして、魔王じゃなくてクサナギがココに!?

激辛料理かと思って鍋を開けたら、デコレーションケーキが入ってたような驚き!


はっ、そうか!

魔王め……!

なんという恐ろしいことを考えるのか!

さすが、魔族の王というべきか!

人間のことなど、はなから下等生物としか認識しておらんのじゃ!



どういうことかというと魔王のやつは、やはりワシの正体を見破っておった!!

ワシの変装は、完璧にクサナギになりきっておった。

まさに娘と瓜二つと言って過言でなかったじゃろう。

しかし、魔王はきっと特殊能力。

おそらく体の内部に流れるオーラまで見抜ける魔眼のようなものを駆使して、ワシの正体がクサナギではないこと、すなわち女装をしたジジイであることに気づいた!

さらに魔王の魔眼は、それだけに止まらず、ワシ個人の生体情報であるクサナギの保護者であり、オキナブランドのCEOということも見抜く!

もしかしたら、ワシの魔王暗殺計画までも認知したかもしれん。


そこで魔王は自身を騙そうとしているジジイ、つまりワシに制裁を加えるべく計画を組み立てた。

それはワシをワンパンで葬るとか、そういう暴力に訴える単純なものではなく、もっと精神的な追い込み。

ワシを絶望の淵に突き落とすための悪魔の所業。



それはクサナギをワシが見ている前で、つまり……その……ううう、言えん!!

とてもじゃないが、クサナギが目の前で魔王にエッチなことをされるなんて!!



あああああ、しまった!

言ってしまった!

いや、実際に口には出してないが、もはや頭の中はベッドの上で魔王に好き放題されるクサナギの姿が走馬灯のように駆け巡っておる!!


そう、これこそ魔王の悪魔的所業!

姑息な計画を立てたワシに復讐するべく魔王は、ワシをここへ連れてきた。

そしてワシが眠ってる間にクサナギを、きっと「そなたに見せたいものがある」などと巧妙なことを言って、この部屋に呼んだに違いない。

あるいは、部下に頼んで無理矢理?


いずれにせよ娘がココにいるのは、魔王にエッチなことをされるためじゃ!

この部屋の官能的な装飾。

そして、クサナギがシャワーを浴びていることが何よりの証拠。

そうして、いよいよバスルームから出た娘を満を辞して魔王はベッドで!

さっきまでワシが寝ていたベッドで!

ワシが見ている目の前で!!



あああああああ!!



そんな場面を実際に見た暁には、発狂必至。

もはや魂の抜け殻のような廃人になり、日常生活もままならず、CEOを退かざるを得ないじゃろう。

そうなれば、クサナギを手籠にした魔王が名実ともにオキナブランドを掌握。

光の薬草を使った世界征服への一歩を踏み出すというわけじゃ。


魔王にとって女装して近づいてきたワシは、まさに渡に舟。

というか自らドラゴンの餌場に、ふらふらと足を踏み入れたバカな酔っ払いのようなもの!

くううう、それなのに夜通しでメイドたちを総動員して、



「もっと、メイクを濃くするんじゃ!! 馬鹿者! 本物のクサナギが、そんな踊り子みたいな衣装を着るはずがないわい!!」



などと必死にクサナギに変装していたのが今にして思えば恥ずかしいわい!

にしても、恐るべきは魔王の判断力!


魔眼を持っているにせよ、ワシの変装に騙されることなく、すぐさまワシの目の前でクサナギとエロエロNTR計画を立案。

人員を手配し、クサナギを部屋に呼び寄せ、シャワーを浴びさせる手際の良さ。

きっと自身は今頃、別室でワシから会社を乗っ取り、光の薬草に関する全権を掌握した後の人類征服計画を立ててるに違いない。

その計画も、今まさに行われようとしているクサナギをワシの前でペロペロずっぽん計画と同様に綿密に練られた壮大なものであるはずで。



ううううう、それに比べたらワシの計画。



女装をしたり、体に闇の薬草をペタペタと貼り付けたりというのは、あまりにも稚拙。

まるで近所のガキが、悪戯で落とし穴を作るレベルの、魔王に痛くも痒くもない嫌がらせで、それだけで済めばいいが、逆に正体を見透かされ、利用されるハメになってしまった。


ええい、自分の無能さに腑が煮えくりかえるわい!

いや、まだじゃ!

まだ間に合う!


だってクサナギは、まだ魔王にエッチなことをされてないから!

そうじゃ!

確かに魔王の行おうとしていることは、極悪非道。

考えるだけで、身の毛もよだつほどじゃが、幸いにもその計画をワシは事前に知ることができた。

今は、それを目の前にいるクサナギに告げて、一刻も早くここから逃げ出すことじゃ!



「聞いておくれ、娘よ!!」



【続く】



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