7. 兄貴が敵のボスだった……てゆーか兄貴居たの?説
どうも。
誤字・脱字ありましたら、ご指摘よろしくお願いいたします。
「あんたが俺の兄貴!?っていうか兄貴いたっけ!?」
驚きのあまり声が裏返りかける。
おかしいなぁ、俺の家族は俺、母、父、カナメの四人だけだったはずだろ?
「ああ、おまえが三歳の時に死んだからお前は知らんだろうな。」
え?
「なんで死んだのに生きてんだよ、じゃあ。」
と聞くと、「は?」って言いたそうな顔をされた。
「お前と一緒だよ、ハヤト。俺もアルカナ・ロザリオに殺されたんだ。それでこっちに来た。」
誰だっけそいつ。
あ、腹をブッ刺しやがった妖精少女か。
「じゃあなぜ殺された後にこっちの世界に飛ばされてんだ?」
「単純な話さ。彼女の能力、仮に『異世界転移』と呼ぶが、まぁ名前のとおり異世界に生物を召喚する能力だ。それの発動条件が『転移対象を殺す』というものだとすれば、つじつまが合うだろ?」
なるほど。敵ながらあっぱれな推理だ。
頭の良さは明白だな。
「んじゃ、本題に入らせてもらう。なぜあんたは、俺を待ってた?」
これが今一番聞きたい質問だ。
アルカナの刺客として送られてきた男を殺したければ、わざわざここに連れてくる必要はなく、その場で殺せばいいのだ。
なのに彼は殺さず、ここに連れてこさせた。
きっと何か狙いがあるはず。
「あんた……か。兄貴って呼んでいいんだぜ?ハヤト。」
「おい、話を逸らすんじゃあ……」
と言いかけた所で扉がノックされた。
「入れ。」
扉が開く。
そこにはボロボロになった兵士がいた。
「も……申し上げます……クロマチエ支部、〈聖者〉の一人〈錬金術師〉ニコラス・フラメルによって潰されました……申し訳ございま」
恭介は深いため息をつき、言った。
「はぁ、使えねぇな……もういいや、お前……」
何かを悟ったのか、その兵士は焦り始めた。
「お許しください、どうかお願いs」
「いらね」
その瞬間、恭介の体が豹変した。
体は肥大化し、皮膚の色は紫色、目は黄色に変色し、角が生え、まさに〈魔王〉という言葉を具現化したような風貌だった。
「《アクションスキル》魔王の一撃」
腕が黒いオーラをまとい、兵士にパンチをくらわせる。
瞬間、兵士の体が破裂する。
「この技は職業〈魔王〉がLv.99になった時覚えられる技で、この攻撃が直撃した相手は100パーセント死ぬっていうチートスキルさ。」
いつの間にか元に戻っている恭介が言った。
そして地図の映像を出して、クロマチエ地方にバツ印を押し、「くそッ」とつぶやく。
「また1支部潰されたッ……俺はな、ハヤト。この世界をゼロに戻したいと思っているんだ。そして俺が最初から世界を作り直す。正しき世界にな。それには【禁術】を行う必要がある。それには各地のポイントに拠点を立てて魔法陣を組む必要がある。だから、それぞれの場所に支部をおく必要がある。だからそれを潰されちゃあ困るのさ。」
一息ついて、続けた。
「お前をここに呼んだのはほかでもない、支部を置くのを手伝ってくれ。お前のような優秀な人材が今の〈黙示録協会〉には必要なんだよ。」
そう言って肩に手を置く。
が、すぐに振り払う。
「なんだ?何か不満でもあるのか?ハヤト。」
「ああ。生憎アルカナから、〈黙示録協会〉を潰せってご注文があるんでな。お前らに手を貸す気はねぇよ。」
そう堂々と言い、口元に笑みを浮かべる。
「……そうか。ならば……」
「人生初の兄弟げんかってか?いいぜ、やってやるよ!!」
いったん距離を置き、宣言する。
「〈転職・魔王〉」
転職はその職業についている人を見ればその職業に就くことができる。
なので当然魔王になることももう可能だ。
体が肥大化し、魔王に転職が完了する。
「さぁ、いくぜ!!クソ兄貴!!」
恭介に向かって殴りかかる。
恭介も魔王になり、殴り返す。
「ヘッ、くらえ兄貴!!〈転職・無職〉!!」
転職スキルを使い、恭介を無職にする。
「どうだよ、無職Lv.1になった気分はよぉ!!」
そして追い打ちをかけ__
「そっくりそのまま返してやるよ。〈転職・無職〉」
ハヤトも無職になる。
なぜ、お前も使えんだよ……
「それと訂正だ。俺は無職Lv.1じゃない。」
あっという間にハヤトとの距離を詰め、
「Lv.MAXだよ。」
そう言い、右ストレートをかます。
「がぁッ!?」
みぞおちに入った。
ふらつくハヤトに追い打ちをかける。
「ほらほらどうしたぁ、さっきまでの覇気がねぇぞ!!」
脇腹、再度みぞおち、アッパーカットのコンボでハヤトを翻弄する。
ハヤトはふらつき、その場に倒れる。
「Lv.MAXって……どういう……ことだよ。ゲホッ……無職はレベルが……上がらない……はずなのに……」
それに対して恭介が答える。
「俺も昔はそう思ってたよ、ハヤト。でも実際は違う。パラメータが上がるのは理解してるよな?そのパラメータが限界値を越えた時、無職Lv.MAXになれるんだよ。」
そしてハヤトに近づく。
「つーか……なんで転職が……使えんだよ。」
「それはお前と同じで、アルカナにもらったのさ。」
そうして、目の前まで近づく。
「さぁ、考えは変わったか?」
含み笑いで、ハヤトに訊く。
もちろん、ハヤトは首を縦に振ることはない。
手を貸す気はないという気持ちは変わっていないということを理解した恭介は顔色を変えて、ハヤトの顔を殴った。
「お前が手を貸すと言うまで、何度だって痛めつけてやるよ、ハヤト。そう、何度だってなぁ!!」
足でハヤトの顔を蹴り飛ばす。
その場に転がるハヤト。
そろそろヤバい。
視界がゆがんできた……
「おらぁぁぁぁぁぁ!!」
蹴り二発目を放とうとした。
その時。
扉が突然開いた。
「申し上げます!!何者かが侵入しました!!」
扉を開けた向こうから騒音が聞こえる。
「……騒々しいな。」
ちょうど恭介がイラつき始めたとき、
扉の向こうから何人かが走ってくる音がした。
そのシルエットから誰が来たか分かった。
「なんだよ……マリシア……そして」
ローブの見た目からすぐわかった。
「ロドルフ。」
扉の向こうから部屋に飛び込んできた、マリシア、ロドルフ、+α。
「助けに来たよ、ハヤト!!」
マリシアが声を上げ、
「このごみカス共が……」
と恭介が彼女らをにらんでいた。
いかがだったでしょうか?
兄貴ドSですね。
どうしてこうなったんだろう……
次回もお楽しみに!!