5. クールビューティー魔術師がなかなかお強い説
どうも。こんにちは。
誤字・脱字などありましたら、ご指摘お願いします。
「なぁマリシア、《アクションスキル》の発動方法ってどうすんの?」
「ずいぶん急だね。」
冒険者が集う街〈クロステリア〉へ移動中。
馬車の中でふと思ったことをきいてみた。
「ていうかハヤト、君使ってたじゃん《アクションスキル》。」
「いや、あれはそれっぽくやってみただけで……マリシアがやってたみたいなの、あれどうすれば出来んの?」
実はこの間の決め技、まぐれで打てたのだ。
あの焦げた小男が発動していたのをイメージして、それっぽく盾で殴ったらなんか勝手に発動した、ということだったのだ。
_____でも使えんなら訊かなくてよくね?
と、思った方もいるのではないだろうか。
だが考えてほしい。
あの時、動作とか力の入れ方とかまぁよくわからんけどそういうのが、ほんとにたまたま正しくできていただけ、だとして。
ピンチの時に確証もない動作をして、もしも発動しなかったら。
……ダサくね?
というかダサいとかなんとかよりも、まず死ぬよね?僕ちん死んじゃうよね?
それを避けるため、訊いているのさ!!(キリッ)
「私、〈狩人〉の《アクションスキル》しかわからないし。」
「俺、狩人に転しょ___」
「転職出来たとしても、Lv.1からなんでしょ?〈狩人〉の《アクションスキル》はLv.3でやっと闘いに通用するスキルを覚えられるの。今の君には特に教えることは……」
マジか。
「とりあえずレベル上げから始めようよ。めんどくさいけど。」
「そっすね。」
そんなこんなしているうちに……
「あ、見えてきたよ。」
冒険者が集う街〈クロステリア〉に到着した。
「んじゃ、がんばってね~」
「おつかれした~」
「ありがとね!!」
馬車に乗せてってくれた村人に手を振る。
「…………で。どこいけばいいの?」
「田舎者の私に訊かないでくれるかな。」
え、ぇぇぇぇえええええええええ!?
「まさか、来たことないとか?いやそれはないか。さっき『見えてきたよ』って言ってたしそんなことは……」
「ないよ。『見えてきたよ』ってのは街の門に〈クロステリア〉って書いてあったからわかっただけ。」
どうするんだよこれぇぇぇぇ!!!!
いや待て、落ち着けハヤト。
こういう時こそ試験勉強以外においては良いと評判のこの脳みそをフル回転させるんだッ!!
異世界ものの主人公は街についたときどうしてた?
「……そうだ、ギルド(的なところ)に行こう……」
わが素晴らしき脳みそは、答えを導きだしたのだった。
「さぁ、いくぞマリシア!!まずは情報収集だ!」
「え?あ、うん」
話しかけても良さそうな人を探す。
「ん?お、美女発見!!いくぞマリシア!!」
「はいはい」
そこにいたのは、ローブをかぶっていて「きっとクールでビューティーなのだろう……」と一目見てわかるような女の人だった。
「すんませーん、そこの人。あの、ローブのあなた?」
いざ、出陣。
早速ハヤトが先制攻撃を仕掛ける。(声をかける)
「……ん。なんだ、私のことか?少年。」
ぐっふぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!
ハヤトの心に9999のダメージ!!
ハヤトは倒れた!!(綺麗すぎて)
「あの~、ギルド(?)ってどこにあるの?」
茶番をしているハヤトそっちのけで、マリシアが訊いた。
「ギルド?集会所のことか?それならこっちだ。案内しよう。」
「ほらハヤト、案内してくれるって!は~や~く起きて~!」
ペチペチとハヤトの体をかるくたたく。
気絶していたハヤトが目を覚ます。
「ハッ!?俺はいったい何をしt___」
「は~い行きましょ~」
五分後。
「ここか~!!すげー!!」
「何ここ?」
アニメで観たことあるものを生で観て、興奮しているハヤト。
得体の知れない建物を前に、呆然としているマリシア。
「さぁ、中に入ろう。」
そう、クールビューティーガールが言った。
中は思っていた通りの見た目だった。
無駄に広い洋風の建物。
人が沢山。
まぁそれはいいとして。
来たのはいいものの、これから何をすればいいのだろう。
訊けばいいか。
「ここって何をするとこなんすかね、えーっと……」
「ロドルフ。ロドルフ・ガーバルだ。ここは集会所といって、クエストの依頼・受注や、冒険者同士の会合などに使われている。他にも道具・装備の売買、情報交換などにもよく使われるな。」
ふ~ん、大体理解。
要は何でもありの場所ってとこね。
「さて、他に何か訊きたいことは?」
「じゃあ、まずここに暮らすにあたって、どこに泊まればいいか。あとは、クエストの受け方等のクエスト関係のことについて、お願いしやす。」
とりあえずこの二点を知っとけば何とか生きていけるはず。
情報収集は、こっちの生活が安定してからだな。
「よし、まず泊まるところについては、私が泊っているところがあるからそこを紹介しよう。クエストの件は……実際にやってみた方が早いな……じゃあ、こっちに来てくれ。」
ついていくと、そこには巨大な掲示板があった。
その掲示板には、様々なチラシが貼ってある。
「ここにあるチラシの中から……そうだな……『剣の素材のために、ホワイトコバルトの爪求む!!』、なんてどうだ?報酬金も割ともらえるぞ。」
よくわからないので、取り敢えずうなずいておく。
「ホワイトコバルトが生息しているのはアグル洞窟だ。さぁ行くぞ。」
うぇ!?
「クエスト受注をしに行かないの!?」
すると、こう答えた。
「基本的にセルフだからな。このクエストの場合、ホワイトコバルトの爪を勝手にとってきて、カウンターの人に渡して報酬を受け取る感じだ。 」
へぇ、モン○ンみたいなカンジじゃないんだ。
気楽でいいね!!
「じゃあテレポート使うから近づいて。」
ロドルフの近くに近づく。
「〈かつての地へ・我らをいざない給え・いざアグル洞窟へ〉《転移魔法》テレポーション」
目の前が真っ白になった。
気づくと、とある洞窟の入り口の前にいた。
「さぁ行こうか。お二方。」
さっさと進んでいくロドルフ。
遅れて二人もついていく。
洞窟の中____
中はかつて入った人が灯したのか、松明が所々にあった。
空気はひんやりしている。
「そういえば、二人の職業とレベルってどうなんだ?」
ロドルフが訊く。
「私は……あ、マリシア・ハールドっていうんだけど、職業は〈狩人〉で、Lv.25だよ。」
う~ん。
俺も言うんだよね。
何て言えばいいんだろう。
「う~んと、あ、ハヤト・チドリだ。職業は、まぁ〈無職〉なんだけど、〈転職〉っていう能力があるから大抵の職業にはなれるというか、説明しづらいやつだ。今のとこ全部Lv.1。」
ロドルフは「ほぉ~」とは言ったものの、特に突っ込んだりはしなかった。
そしてこちらを向き、声を小さくして言った。
「これからホワイトコバルトの縄張りに入る。おそらく倒せるだろうが、決して油断はするなよ。いいな。」
念を押してきたので、二人ともうなずいた。
「よし。じゃあ、行くぞ。」
足を踏み入れる。
その瞬間。
暗闇の奥から赤い目が光っているのが見えた。
「早速お出ましだ。私は後方支援をするから、二人は無茶はせずに戦ってくれ。」
「「了解!!」」
二人同時に暗闇に突っ込む。
そこには、無数のホワイトコバルトが、よだれを垂らしながら剣を構えていた。
「〈転職・戦士〉」
ハヤトも〈戦士〉に転職し、剣を抜く。
「さぁ、行こうぜマリシア!!」
「うん、ハヤト!!」
マリシアがナイフを抜く。
同時に踏み込み、戦闘が開始した。
特に闘い慣れしていないハヤトは。
《アクションスキル》シールドスマッシュを、前の感覚を基に起動を試みた。
すると、盾が輝いて、起動が確認された。
「よっしゃ!!吹っ飛ばしてやるぜ!!オラァ!!!」
ブンブン盾を振り回し、ホワイトコバルト達をなぎ倒していく。
「おぉ……よし、私も……」
それを見て、マリシアも《アクションスキル》を起動させる。
刃を敵の群衆に向ける。
ナイフが輝き、体ごと突進する。
ホワイトコバルト達が返り討ちにしようとした、その時。
その攻撃を軽やかにかわし、懐に飛び込み、体の急所を的確に切り裂いていく。
《アクションスキル》ピンポイント・スライサー。
相手の攻撃をすり抜け、的確に部位を切り裂いていく、近接攻撃型の中でもかなりの技量を有する《アクションスキル》だ。
その攻撃に、急所を切り裂かれて散っていくホワイトコバルト達。
すると_____
遠くからなにやら、ズシン、ズシン……と聞こえてきた。
「なんだ……?」
よく目を凝らしてみると、そこには普通のホワイトコバルトの約五倍の大きさの、巨大な狼がいた。
その目は赤く光り、こちらをにらんでいる。
「あれは……ここの縄張りのボスだね。通称『シルバー・ファング』。討伐可能予測レベルは……大体30くらいだな……そこで持ちこたえててくれ。」
そう言うと、ロドルフは魔導書をパラパラとめくり始めた。
「どうゆうこと?」
首を傾げたマリシアに、ハヤトが説明する。
「まぁ、要は必殺技ぶちかますから、詠唱分の時間稼げってことだな。」
「その通りだ。理解が早いな少年。」
ハヤトの説明に、ルドルフがぺージをめくりながら言う。
「ンじゃ行きますか。あいつの攻撃を俺が受け止めるから、お前はそのすきに攻撃を。」
「了解!!」
『シルバーファング』が拳を振り下ろす。
「重ッ!?」
その攻撃を、なんとか盾で防ぐ。
そしてマリシアがその瞬間、空中に跳び、ナイフで首元を切りつける。
が、びくともしない。
「うそでしょ……って、うわぁ!?」
「グロォォォォォォアアアア!!!!」
マリシアを殴り飛ばす。
マリシアは何とか受け身はとったものの、壁にたたきつけられた。
「マリシアッ!!」
ハヤトが目線をそらす。
その瞬間を見逃さず、盾ごと殴る。
ハヤトも壁にたたきつけられた。ハヤトは受け身を取ってないのでマリシアよりも衝撃が激しく脳に伝わる。
「くッ……!!」
そして、シルバー・ファングの矛先はロドルフに向く。
「逃げろロドルフッ!!」
そう叫ぶハヤト。
だがロドルフの手から出ている巨大な魔法陣をみて、そういったことを馬鹿だと思った。
その魔方陣からはいかにも強そうなオーラが放たれていた。
「二人ともお疲れ様。詠唱は完了した。この魔法はなかなか詠唱が長くてな。すまない。」
そう謝罪し、魔術を起動させる。
「《雷電魔法》ライトニング・ディザスター」
その魔方陣から、強大な雷が地面を駆け抜ける。
そして、直撃。
やった、と思ったが、まだ立っていられるほどの体力があるらしい、その場に立っていた。
そして、直進。
その時、ハヤトは悟った。
やばいと。
おそらくさっきの魔法が最大威力なのだろうから、割とくらっているようだからもう一度それを打てば勝てるのだが、もう一度それを詠唱する時間がない。それに、もっと短時間で打てる魔法があったとしても、最大威力でも立っていられるのだから通用しないだろう。
つまり、彼女はこのまま何もできず殺されてしまうのだ。
「ほう、立つか。なかなかタフネスだな。一発では死なぬか。……だが、これが連続だったらどうだ?」
そう言い、手をかざした。
「《特殊スキル》魔術連射」
そう言うと、さっきの今消えかけていた魔法陣がまた現れ、そこからまたライトニング・ディザスターが放たれた。
さっきと違うのは、それが連射されているのだ。
「《特殊スキル》魔術連射は、一度起動させた魔法を魔力が許す限り何発でも連射できる。さぁ、この攻撃を食らってまともに立っていられるか?」
バチバチバチバチ……と。
シルバー・ファングを感電させていく。
「グ……グオァ……」
そうして、シルバー・ファングは耐えられず、その人生に終止符を打った。
それを見て、呆然とする二人。
「あんた……一体……?」
そう聞くと、彼女はこう答えた。
「私は攻撃魔術を得意とする〈魔術師〉、ロドルフ・ガーバル。上級魔術師でレベルは53だ。改めて宜しく。」
次の投稿は遅くなるかもしれません。
ご了承ください。
これからの展開に期待して(過度はおやめください)、次回もお楽しみに!!