Method38:クリス1
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
演説の途中で謎の停電に見舞われたクリスは、身の危険を感じて急いで演説台から駆け下りた。
非常電源が点くやいなや、自分の研究フロアへと走る。
研究室の自動ドアが開いて転がるように駆け込むと、荒げた息を整えるように閉まったドアにもたれた。
「ちっ。予期せぬ事が起こるものだっ……」
一人ごちて、ラグナロクの展開図が映るパネルの前へと歩く。
別のパネルにはラグナロクの起動情報が刻々と表示されている。
満足げな笑みを浮かべて、クリスはラグナロクの起動情報を目で追った。
「……長年の夢が目前に迫ってきている。ついに、ユニオンが世界を主導する時が来た。私は神の座へと至る道標を手に入れた……!」
「人は神にはなれないよ」
「誰だ!?」
ギクリとしたクリスは研究室の中を見回した。
中央にある巨大なスクリーンの影から1人の少年が姿を現す。
「僕はジョーカー。この世界の切り札だよ」
「馬鹿なっ。どうやってここに辿り着いた!」
ジョーカーは何も答えず、おどけたように肩をすくませた。
「例の少女をラグナロクの生体コントロールユニットに組み込んで、RESを使いシミュレートしていたみたいだね。どうだい? 破壊神の気分は味わえたかな?」
「なんだと? 貴様……まさかRESの開発者か……?」
ジョーカーが楽しそうにくすくすと笑う。
「この前は、ユニオンウイルスが都市全体に蔓延した場合の演算をしていたようだね。
ウイルスの適合者以外は全て消え去ったみたいだけど……満足いく結果かい?」
クリスは憮然として吐き捨てるように言った。
「RESの演算能力は規模が大きくなるほどブレが激しい。欠陥品といっていい」
「なにを言ってるんだい。規模が大きいほど、『ゆらぎ』や『ぶれ』が発生するのは当たり前じゃないか。
君はこの宇宙がどうやって出来ていると思っているんだ?」
「宇宙の成り立ちなど、あってないようなものだ」
「そうかな?」
楽しげな侵入者にイライラしながらクリスが問答を切るように言う。
「錯雑であることはありえない。事象は常に秩序的であるべきだ」
「ふーん、君はそう考えているんだね?」




