Method23:JOKER4
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
「次は、君が持つ能力について説明するよ」
彼はズボンのポケットから1組のトランプの入ったケースを取り出した。
「あれ……? トランプ……?」
「種も仕掛けもない、ただのトランプだよ」
ジョーカーはまずケースを由香に見せ、中のカードを出す。
「この中から、君が引きたいカードをイメージして引いてごらん? 必ず引けるはずだから」
「ええ……? そんなの無理だよ……!」
「いいから、やってみてよ」
ジョーカーがテーブルに伏せて扇形に並べたカードを由香がじっと見る。
「じゃあ、ハートのエース……」
言いながら1枚引く。
「あ……っ! ほんとにハートのエースだ! な、なんで……?」
「言っておくけど、偶然なんかじゃないよ。何度やっても同じことが君にはできるはずだよ」
ジョーカーは一旦カードを混ぜてから、再び扇形に並べ直す。
「えっと、次はダイヤの7……」
由香は並べられたカードを慎重に1枚選んだ。
「あ……! ダイヤの7が出ちゃった……。な、なんで~~? ジョーカーくん、もしかして手品師?」
「違うよ。僕は何もしていない。君の力だよ」
「ど、どういうこと?」
「君には自分が思い描く中で、一番望む結果を引き寄せることができる力があるんだよ。
例えそれが100分の1だろうが、1000分の1だろうが、1万分の1だろうが、確率に関係なく……ね。まさに『小さな奇跡』だね」
「あ、あの……? 本当に……?」
「だからといって、なんでも出来る訳じゃない。あくまで起こりうる1の可能性を引き寄せる力というだけだよ。
最初から0の可能性……つまり全く起こり得ないことは引き寄せることはできない……」
机に並べたカードを混ぜながらジョーカーが続ける。
「例えば……僕はこのトランプの山からジョーカーを予め省いてある。
つまり、ジョーカーを引くのは不可能なわけだよ。最初からないのだからね。やってみるかい?」
「う、うん……。私は、ジョーカーを引く……!」
「さて、なにがでるかな? 楽しみだよ」
今までよりも集中して由香はカードを選んだ。
「あれ? このカード、真っ白で何も描かれてないよ?」
「ああ、それは予備のカードだね。トランプを一枚無くしたときは、その白紙のカードを無くしたカードの変わりにするんだ」
頬杖をついて、ジョーカーはふふっと笑う。
「それにしても……それを引き当てるとは。……なるほど、そういうことか。なかなか興味深いね」
「……ジョーカーくん、一人で納得して楽しそう……」
少しふくれっ面で由香はオレンジュースを飲んだ。




