8.まったりします!
面接が終わり宿屋に戻ってきた。
「あっコガネさんおかえりなさい」
そこにはアリスさんがすでに帰ってきていた。
「ただいまです」
アリスさんとお互いの今日のことについて話をした。
アリスさんは食料品の売り娘になったようだ。
こっちの仕事が書記になったと伝えるとアリスさんはびっくりしたようだった。
「ギルドの書記に選ばれたんですか? あまり聞いたことないのですごいことなのではないでしょうか?」
「ほかの方も牛飼いや衛兵、掃除などの仕事になっていましたがそんな職はありませんでした」
「そういえばあの石は何だったんでしょうか?」
「あれは加護の石です。魔力が込められていて握るとすぐさまその人の能力を読み取って仕事を与えてくれるんです」
凄いなそれがあれば適材適所に配置出来て人員不足が起きないってことか。
ぐぅ~
アリスさんのお腹が鳴ったようだ。
さすがに話過ぎてしまったか。
アリスさんを見ると顔を伏せて耳まで真っ赤にしている。
「そういえば何も食べてませんでしたね。ご飯でも行きませんか?」
「……すみません」
「コガネさんはお腹空かないんですか?」
そういえばあっちの職場ではご飯食べる時間もあんまりなくて、携帯食料ばかり食べていたらいつの間にかどれだけ動いてもお腹が空かないようになってしまったんだよな。
激やせして倒れるやつが出てきたころから、さすがに食べないとやばいと思って気をつけるようにしているが。
「私もお腹空いてたんですよ。おいしそうな店を見つけたので行きませんか?」
「ほんとですか? いきましょう」
アリスさんと夜の王都で魚っぽい料理を堪能した。
コボルト村は農村だから魚が獲れないので久しぶりの魚がとてもおいしくかった。
昨日は半日歩いて疲れていたからすぐにお互い寝てしまったけど同じ部屋で寝てるんだよな。
もうなんか彼女みたいだな。
宿屋に戻るとアリスさんがそわそわしていた。
「どうかしました?」
「えっと今になって同じ部屋なんだなって思ってしまって」
「私も同じこと考えていました」
「そういえば。考えていたんですけどもうコガネさんとも二カ月になりますしそろそろ丁寧な言葉はやめませんか?」
アリスさんが意外な提案が飛んできた。
「これから王都で一緒に頑張っていかないといけないですし、宿屋ぐらいはお互いリラックスして過ごさないと疲れてしまうと思うんです」
「えっと言葉遣い悪いかもしれないよ?」
「ふふっ大丈夫。私も田舎育ちだから言葉遣いは良くないよ」
「じゃあこれからよろしくアリス」
「えっ?」
「ん?」
「いや今アリスって」
「あぁそこまではさすがに行き過ぎたよねごめん」
やべぇ最初からやらかした。
そうだよなそこまで許してもらってるわけじゃないよな!
「ううんいいよ。よろしくねコガネ」
ブルブルっとアリスに呼ばれて感動から震えてしまった。
よく見るとアリスも顔が赤くなっている。
多分私も顔が赤くなっているだろう。
お互いしばらくの間下を向いて無言になってしまう。
でも決して嫌な空気ではないから不思議だ。
「あっ明日も早いから寝ようかアリス」
「そっそうだね寝よう」
「おやすみ」
「おやすみ」
明日から新しい仕事先での初仕事だ。
気合い入れていかないとな!!!
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