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終わりの始まり。






「おうおうおう後輩君。」



そのトイレから帰るとき、偶然にも桃津先輩に出会った。


人気が無いせいか、黒いカツラを脱いでノベル部にいるような茶髪を露わにしている。



人気のない三回奥のトイレから帰る途中だった為、タバコを吸いに来た彼とその人がいない廊下でばったり会ってしまった。



「今お前か!どれ見せろよ。」



「ダメです。積木先輩が言ったじゃないですか。」



「俺は絵描き。執筆には参加してない。安心しろよ!俺は口堅いし。」



積木先輩と同じくらい身長が高くガタイのいい先輩は、楽勝に僕の手からノートを取り上げる。



「ふんふん。…あははは!!なんだよこれ!!あの根暗が天パを好きだって?あははは!!!キッツ!!あははは!!!」



爆笑していた。




「いいじゃねえか。つまんねえ展開だったからよ。けど、俺あいつらが愛し合ってる絵なんか描きたくねえからな。」



「それは次の人に言ってください。積木先輩には見せたこと言わないで下さい。」



「わーってる。俺も怒られたくねえし。ほら。頑張れよ。」



僕にそのノートを投げると、トイレに消えた。



「…。」



放課後提出するのが楽しみだ。





ガチャ





「積木先輩。これお願いします。」




早めに来た甲斐があった。もう部屋の中には積木先輩が。


僕の左側に憧れの人はいる。



「ありがとう受け取ったよ。」



僕に笑いかけて、それをバックにしまった。



積木先輩は徹底している。


絶対部室でも教室でも中身を見ることはしないらしい。



桃津先輩がそう言っていた。






皆が集まって、今していることと言えば既存の小説を読んでみたり、個人的な小説を書いていたり…終わらそうな授業の課題をやる。割とだらだらしている。




僕はリレー小説の件でもう頭をフル回転させたのでそんな気力もない。


僕の右斜めに座る次丸先輩は何やら真剣に何かをノートパソコンで書いている。




僕の隣の綱部は堅苦しい小説を読むふりしてエロ漫画を読んでいる。


積木先輩から中身が見えない事をいいことに、カバーを変えて夢中になって読んでいる。




その不正に少し腹立つが、小説の中でとんでもないことになっていることに気付いてないこいつの間抜け面が愛おしく思うレベルだ。





「…。」




向かいに座る桃津先輩は絵を描いている。最近デジタル化したらしく、その勉強を必死にしている。




あんな茶髪でピアスをつけた人が真剣にパソコンを睨みつける姿は、どことなくシュールだ。




積木先輩はいろんな小説を読み漁っている。


彼は書くよりも読む専門らしい。




このノベル部を発足したのも誰かが書く小説を読みたいからだそう。


でも、このメンバーの中に特別なにか賞を獲得するような文才もいないし、僕も文を書くのは好きだが特別そこに優れているとは思わない。




僕たちの書くそれを読むのを楽しみにしている。


正直、何が面白いのかわからないけど。





今回のリレー小説もそのマンネリが生んだ事なのだろう。





「…。」




僕の隣の新しい席に座る松利晴大は、戸棚にあった本を読んで時間を過ごしている。




あれから特になにが変わったわけでもなく、ひたすら戸棚の本を読んでいるだけ。


皆が特に話すこともなく、4日が過ぎた。




松利晴大がこのリレー小説に関わっているのかも、僕たちは知らない。



その話も他のメンバーにもしない。


別に特に話す程の事でもない内容だからだ。



僕は早く終わればいいと思っている。


このリレー小説の負担が早く無くなれば。


正直言って先行き不安だし、長々と小説を書くのはしんどい。





でも終わりはいつなんだろう。





彼に嫌われたくないから誰も聞かない。


綱部あたりか桃津先輩あたりが聞いてほしい。


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