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第1話 初陣

 淡い光の散った海の底。

 綺麗なエメラルドグリーンに輝く中だった。

 少年はそんなところで、1人の少女の影を見る。


「誰だ……?」


「——始まったのね」


「いってらっしゃい、主(・)人(・)公(・)」


 少女が彼の頬に手を触れて、そう言った。


「——はっ!」


 蝉の声の中、目を覚ました。

 変な夢であった、あまりいい寝起きとは言えないだろう。

 ツルギはベッドから降りると、服を着替えてリビングに向かった。


「おはよう、ツルギ」


「おはよう、父さん」


 ツルギは養父のムツキにそう挨拶すると、フライパンの上の目玉焼きを焼いた食パンの上に乗せた。

 それを口にするととろりと甘い黄身とバターの味が口の中を幸せで満たした。


「う〜〜ん、美味い」


「そいつはよかった」



 ツルギは朝食を済ませると、ムツキとともに部屋を出た。

 廊下を歩いていき、分かれ道につく。

 片方は作戦室、もう片方は開発・整備エリアとなっていた。


 ツルギとムツキはそこで分かれ、ツルギは1人で機体の並ぶ方へ行く。


 そこでは巨大な人型兵器が何機も並んでいた。

 エクセリクシと呼ばれるそれは、ghoskeletonと呼ばれる化物と戦うための兵器であった。


「お、ツルギくん。今日も訓練かい?」


「はい」


 整備士と軽い会釈をして、ツルギは機体へ乗り込もうとしたところ、突然、施設内の警報灯が物々しく赤色に光り、険しい音が鳴る。


「なんだ!?」


 ツルギが驚いていると、アナウンスが響く。


「ghoskeleton発生! ghoskeleton発生! 総員、直ちに迎撃態勢に移行してください」


「ghoskeleton発生だと!?」


「まだメインパイロットたちは帰ってきていないのに……!」


 どよめきが施設内に響く。

 ツルギは急いで父親の元へいった。


「父さん! これって!」


 作戦室の椅子に座った父親へ。

 ムツキは険しい表情で正面のモニターを見つめていた。


「ああ……ghoskeletonが来た」


「父さん、パイロットがいないなら僕が出るよ!」


「お前が!? 無茶を言うな! お前はまだパイロット候補だぞ!?」


 ムツキは驚いた様子でツルギの方に振り返る。


「それでも守りたいんだ!」


「いやしかし!」


「いいんじゃない?」


 言ったのは、ムツキの恋人でありエクセリクシの開発、設計者である女性、夏野アイであった。


「アイ!?」


「彼はパイロット候補といえども、高い操縦技術を持っている。下手に誰かがエクセリクシに乗ってやられるよりはマシだと思うわ」


「だが……!」


「エクセリクシ・メスカなら動かせるわ。完成はしてる」


「あの機体は適正パイロットじゃないと無理だ! ツルギじゃ動かせない!」


「大丈夫、彼の脳波なら動かせることは分かっています。それにもしものことがあれば、私が責任を負います」


「……分かった……」


「ありがとうございます」


「ツルギくん、言っておくけれど、戦場に待ったはないからね。油断したら死ぬ、そういうことよ」


「……はい……!」


(実戦……死ぬわけには行かない……みんなを守るんだ)


 ツルギはパイロットスーツに手早く着替えて、機体のコックピットへ乗り込んだ。

 機体の起動音と、正面の液晶に『Sword』の文字が浮かび上がる。

 機体のカメラアイが光ると同時にモニターに景色が映る。

 操縦桿を握り締めて機体を歩かせ始め、カタパルトへたどり着いた。


「システムオールグリーン!」


「発射台スタンバイ、どうぞ!」


「エクセリクシ・メスカ、夏野ツルギ、いきます!」


 カタパルトが勢いよく引かれた線の上で滑り出す。

 煙とスラスターを吹かせながら機体は風を受け、ツルギは出撃した。


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