表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/54

その16:銭湯で戦闘なのです!

 宿に入ったら女将さんが迎えてくれた。


「今日はようこそいらっしゃいました。お部屋の用意が出来ていますので、どうぞこちらへ」


 案内された部屋は、二階の奥にある部屋だった。

 部屋の大きさは、たたみ6畳分程で悪く言えば手狭、良く言えば必要最小限。


「それでは、ごゆっくり」

「はい、ありがとうございました 」


 部屋に一人俺だけになる。


「キュウ!」

「ああ、お前もいたんだったな。ごめんごめん!」


 訂正

 一人と一匹になった。

 空はもう茜色になっている。

 凛さんまだかな〜……。


「お待たせ。待ったかい?」


 やはりナイスタイミング!


「少し遅かったですね?」

「ああ、夜に食べる物を買ってきたから少し遅くなった」


 そう言って、おにぎりを渡される。

 なるほど、三食付きじゃ無いからな。


「じゃー、さっさと食べて浴場に行こうか」

「はい。行きまーーーえっ?」


さらりと爆弾発言……。


「お風呂があるんですか?!」

「あ……ああ。この宿の売りだからね」


 マジか、遂にお風呂に入れるのか!

 さすが王都!


「ではすぐに食べましょう、お姉ちゃん!いただきます!」

「す、凄い食いっぷりだね……」


 凛さんが何か言っているが、俺の耳には届かない。

 我が意識は既にお風呂に向かっているのです!

 そして、二つのおにぎりを僅か1分30秒という自己最速記録で食べた俺は。

 部屋に置いてあった桶とタオルを持って、まだおにぎり食べていた凛さんを強制的に引きづりお風呂へ直行した。


「全く……、あんたって子は」

「す……すみません」


 そして着いていきなりお説教。

 いかんいかん……お風呂に入りかりたい余り我を忘れていた。


「そこまで入りたかったのかい?」

「はい、そこまでです...」


 すみません凛さん……。

 全てはお風呂のせいなのです!


「しょうがないね〜……まっ、私も楽しみではあったけどね」

「お姉ちゃんもですか?」

「当たり前だよ、お風呂なんて街でしか入れないからね」


 なるほど……。

 確かに、湖に入って身体を洗うくらいだからな。


「じゃあ入ろうか」


 そう言って着物を脱ぎ始める凛さん。シュルルと帯がほどけて、その肢体が露になる。


「お姉ちゃんって無防備ですよね……」

「……はぁー」


 何ですか!?その「また変な事言ってるよこの子は」と言いたそうな目は!


「いいから、エリスも早く脱ぎな」

「え、良いんですか?」


でも種族が……。


「大丈夫だよ、風呂に入れば皆平等ってね」


 マジか……、さすがお風呂……恐るべし。


「わかりました」


 俺も着物を脱ぎ始める。


「エリスは、スタイルがいいね〜」

「ふふふ、惚れても良いんですよ?お姉ちゃん」

「はいはい、それじゃあ入ろうか」


 あれ?綺麗にスルーされたぞ……。


「わ……わかりました」


 少し凹みながら浴室の扉を開けて、中に入ると4人のおばちゃんと子供が一人が浴槽に入っていた。

 そして一斉にこっちを珍しそうな目で見てくる……。


 気にしない気にしない、俺は今完全に悟りを開いている。

 無我の境地レベルだ。


 この世界の文明レベルだとシャワーがない。

 身体は入り口近くにある、ドラム缶の様な物の中に溜まっているお湯を桶で汲んで身体にかけるだけだ。

 だがお湯ってだけでも有難い。

 こちとらずっと冷水だったからな……。


 湯船は大きいのが一つに、その3分の1の小風呂があるだけだ。

 前世の銭湯と比べるとやはり劣るが、この国に風呂文化がある事にただ感謝だ。

 大きい湯船にまずは入る、そしてやっと湯船に浸かる。


「ふにゃ〜〜〜」


 とろける様な声が出る。

 旅の疲れがお湯に溶け出す様に、疲れが取れていく。


「だらしない顔だね〜……」

「ほっといてください、お姉ちゃん。私は今極楽浄土を体感しているのです!」

「それって死んでるんじゃ……」


 今はツッコミNo thank youだぜ!

 この湯をもっと感じていたいのです。


「ねぇねぇ、猫のお姉ちゃん!」


 すると小さな女の子に話しかけられた。

 猫のお姉ちゃんって俺だよな?


「私ですか?」

「うんうん!お姉ちゃん珍しいね、猫の耳と尻尾がある〜!」


 やはり珍しいのか……。

 って、耳を触ろうとするんじゃない!!


「ぶぅ~……、ケチ〜!」


 頬を膨らませて抗議された。

 いや、こっちだって意地悪で触らせない訳じゃないんだけどな……。


「エリス、ちょっと触らせるだけならいいじゃないか。減るものでもあるまいし」


 そうニヤニヤしながら提案してくる凛さん。

 とんでも無い爆弾を落としてくれましたね。

 見てくださいよ、この子の期待に溢れたこの目。

 断れる訳無いじゃないですか!


「良いの?猫のお姉ちゃん?」


 うっ……。


「ちょ……ちょっとだけなら」

「わーい!ありがとうお姉ちゃん!」


 そう言って、俺の耳を触りまくる少女。

 俺はタオルをくわえて必死に声を押し殺していた。


「んっ、ん〜!……ぷはぁ!、ひゃん!」


 ダメだ……、息が続かない!


「終了!もうダメです!」


 両手で少女を遠ざける。


「お姉ちゃん最後、変な声出たけど……どうしたの?」


 どうもこうも君のせいですよ!

 とは言えず、


「ちょ……ちょっとくすぐったかっただけですよ」

「そうなんだ!」


 この純真無垢な少女が、今は悪魔に見えるぜ……幼いって怖い。


「そういえば君、名前は?」

「私の名前?糸奈(イトナ)だよ!織原糸奈オリハラ イトナ!お姉ちゃんは?」

「私ですか?私はエリスって言います」


 自己紹介って地味に緊張するよね〜。


「エリスお姉ちゃんか〜……、良い名前だね!でも、この国の人じゃないでしょ?」

「私は旅人ですからね」

「かっこいい〜!私のお家はね、服屋をやってるんだよ。この国で一番大きな服屋なんだ!」


 ほぉ!

 これは、都合が良い。


「私ちょうど服屋探してたんですよね〜」

「本当?!じゃー、明日買いに来てよ!色々な服があるんだよ〜!」


 さらりと宣伝する辺りが侮れない。

商人の娘……恐るべし。



「ふふ、そしたら明日買いに行きますね」

「うん!約束だよ、エリスお姉ちゃん!」


 満面の笑顔を見せて浴場から出て行くイトナを、手を振って見送る。

 はぁー、疲れた。

 なぜ風呂入ってまで疲れなくてはならない?!


「お疲れ様、エリス。大変だったね〜」

「誰のせいだと思ってるんですか?お姉ちゃん……」

「ふふ、悪かったよ」


 やっぱり反省してないよねこの人……。


「さて、のぼせる前に上がるか」

「そうですね」


 そこから出た後がまた大変だった。

 一緒に出たたおばちゃん達に質問攻めにあったり、ビン牛乳を人数分買ってくれたりと苦労した……。


 最後のビン牛乳は嬉しかったけどね!

 そして、部屋に帰ってきて早速牛乳を飲む。


「ぷは〜!やっぱり風呂上がりは牛乳ですよね、お姉ちゃん!」

「はいはい、分かったから落ち着いて飲みな」


 ノリが良いんだか、悪いんだか……、わからんなこの人は。


「さて、明日もあるんだし今日はもう寝ようか」


 え〜、枕投げ大会は!?

 とは言えず……、


「わかりました。おやすみなさい、お姉ちゃん」

「おやすみ、エリス」

 

そしていつも通り今日が終わる。

どうも四葉です!

コメントを後書きに書くことにしました。

以前より見やすくなっている事を祈っています!

今回の話は書いていて、とても楽しかったです!

登場人物もやっと一人増やせました!

糸奈(イトナ)の名前の由縁は、そのまんま服屋の娘だからという。

安易な理由で決めました!

名前は安易なぐらいが一番ですよ。

凝る場合もありますが...

そんな感じで、これからも応援とご指摘をよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ