恋愛の神様 ②
〜見た感じ、かなりの激闘、テス勉も佳境も佳境、追い込みの様だ。
そのせいか?
周囲に同班のイケメン狙撃手、一日中殆ど信繁の側に付いている彼の相棒である子龍と。
班の頭脳といって良い、バッハ大好きピアニスト美少年、おねいさま方に大人気「キャーカワユイ美少女ー♡」な雅の姿が無い。
両者ともコミュケーションオバケ、異様に気の回る彼等は勉学にいそしむ友人の神経に障らぬよう気遣い、どうもそっと席を外したと思われる。
様々なモニターとガチャガチャな何枚もの積み上げられた記録チップに埋もれながら、ひたすら一時も休むこと無く忙しげに作業している様子
勉強成果の入力を、カチカチ大きな手の綺麗な指先が行っている。
勉学に勤しみ ギュッと集中した真剣な表情の眼差しが益々凜々しい。
ーーー人間の出来が違いすぎる。
特殊部隊隊員達以外の一般職の女性職員達が、信繁の事を先程からずっ〜と瞬きを忘れて見つめているのも頷ける、素晴らしい美しさと爽やかさだ。
一般職種である上品な女性職員らの表情はボゥッとうっとり、甘やかでキュート、トロントロンに桃色に蕩けている。
全員が全員、目を潤ませながら清く正しく信繁を遠巻きに見つめる熱く切ない姿
そんな艶姿がそこら中に点在している現状は正直に言おう、男として大変にムカついた。
『く〜〜〜!俺達が見てもアレはない』
『嫉妬の塊が服着てちんまり座ってるみたいだぞ!』
ムムムッ〜〜と思わず眉間にヘンな皺が深く寄る。
半径1m
俺らとは圧倒的空気感の爽やかさが全然違うのは何故だ!!
ばかやろ〜〜〜!!
男達全員の総意だった。
コッソリと信繁をチラチラ見つめる上品で清潔で、髪も爪も毎夜丁寧に手入れが行き届く美しい女性一般職員。
隊員達の職制上、まるで接触に縁が無い煌びやかな美女達。
そんな勿体ない存在、全員が贈る熱を帯びた視線がとにかく悩ましい。
というのも彼女ら皆完全に『恋している視線』
本気モードな甘くて熱い瞳である。
ちなみに信繁はジャパンを代表する会社の1つ、いや最早財閥と言って良い程の規模である数多のクループ会社を傘下に持つ大企業、創業家の嫡男である。
ザックリ簡単に言うと信繁は世界に一台の特殊ヘリ「実験機」、優秀すぎるヘリパイロットである以外に生まれついてそういう肩書きを別に持つ青年だ。
よってーーーー
「航空機の中でダントツに墜落事故が多い回転翼機、ヘリパイなんぞやめろ」
「今すぐにでもそんな危険な事を辞めて安全なコッチ側に戻れ、家業を継げ」
やめろ!やめろ!やめろ!の大合唱が、親戚界隈から年を追うごとに激しくウザくなり、「無視が一番」と冠婚葬祭以外は滅多に顔をあわせないようにしていること。
『くっそ〜〜〜!!』
男の生き様として惚れ惚れするほど格好良すぎるじゃ無いかっっ!!
当然そいやこいやもあらかた噂で知っている隊員達はブスッとむくれた。
悔しいことに出来過ぎの信繁は怨念にも無反応である。
同僚の呪いにもまるで一切反応しない。
「でもさーアイツ〜
全然無視してるのに女子達はなんで?」
「ぁあ全く、けしからんよなー」
ガン無視されても彼を見つめる彼女達は、にもかかわらず本当に嬉しげで楽しそう。
そうーーー
実はこれには「訳」があった。
具体的には何かに集中している状態の信繁を、ぶしつけに黄色い声でキャーキャー取り囲む等々、喧しい邪魔する愚行を犯さないなら何でもO.K.なのだ。
「裏取引」が既にあったのを男達は知らない。
「あのな君達お願いだから……」
過去あんまりにも喧しく、何処へ行ってもつきまとう”行動力抜群”の彼女らに信繁自身が溜息をつきつき”折れた”のだ。
〜〜つまり彼女らの勝ち♡
「五月蠅くしなけりゃいいの?」
「そうだなぁ……
取りあえず周囲にもお静かに」
「ぅわ やったぁ〜〜〜〜!!」
もぎ取った『完全勝利』
キャァキャァ隈無く女性職員『のみ』駆け巡った。
「静かにしてなきゃダメよ?」
ーーーーヒソッっ
「は〜〜い」
「ァん〜今日も何て格好いいのかしらね!」
だから『契約』の為、許容範囲と定める自主規制ラインまでは一切グイグイ遠慮が無い。
そのあたりは 賢い彼女達、きっちり厳格な迄、仲間内でお互い『身の程をわきまえ』る様に言い交わしている。
部屋中の美女達から向けられる切なく熱い、ブスブスブス突き刺さる視線
傍目にも信繁はやっぱりいつものような平常心に見えた。
特殊部隊隊員達も呪いをバンバンぶっかける。
「あーーーコイツもったいな〜!」
「一生に1度でいいからあんな風に惚れられる立場になってみたいよな?」
「クッソうらやましいぞっ信繁ぇ〜!」
怒れる彼等同僚はふか〜〜〜い溜息交じり、諦観と羨望で思うのだった。
*********
信繁は どんな女性職員にも均等に平和的に優しい。
何気なくーーー
誠実に困った時は必ず手を差し伸べ、胸をドキューンと直撃する優しい言葉をくれるのは言うまでも無い。
常に普通な態度で、彼氏ですら馬鹿にして乗ってくれない、下らない質問にも嫌がらず丁寧丁重、大真面目に乗って答えてくれる。
仕事上のしょうもない愚痴も、言えば100%ウンウン根気よく何時間も付き合う。
(こんな『非常識人』は恐れ知らずのチャレンジャー、奇人変人で有名な不夜城勤務、技術職員の瑠架だけだが)
しかも口も硬く秘密を漏らさず、発言者が不利益になるような失言もしない。
アルコールに異様に強い信繁〜
〜うっかり酒に吞まれレディの恥ずかしい話をペラペラ普通の男の様に、同僚相手に聞きかじりを嬉しげにバラす事も無い。
つまり超信用が出来る上に産まれ育ちも良く、容姿は誰よりも素敵でお洒落で超格好いい!!
つまりパーフェクト!
「ありがとっ!」
「いいよこれ位、こんなの男の仕事だろ?
いつでも好きなように言ってくれ、で置く場所ここでいいのか?」
面倒で有り得ない途方に暮れる困った力仕事も、力持ち故ヒョイと快く引き受け、キュンキュン乙女心をざわつかせる。
補足的に言うと身長190台、均整の取れたスラリとした涼やかな彼に容姿で勝てるのは彼の大親友君だけ。
キャーッと華やかな雰囲気を身にまとう、信繁班特殊ヘリ副機長&狙撃手の子龍ぐらいだ。
子龍の身長は信繁より気持ち低い〜180台である。
同期同僚、仕事上の『バディ』である2人は、ほぼ常に一緒の行動を取る。
ーーーそれはもう
そりゃもうキラッキラでピッカピカで壮観、揃うと空気まで全然別物だ。
「孔雀と極楽鳥が同じ籠で飼われているようよねぇ」
「いいえ金色の毛皮の豹と巨大アムール虎、なぜかノンビリ2頭でお散歩中?」
「あぁもぅ眩しすぎて完璧で目が開けられない!」
そんな風に女性職員に愛情を込め例えられている。
信繁は「仕事と勉強が恋人」と超有名である。
つまり誰かが要領よく”抜け駆けし、”彼のハートをかっさらう恐怖も心配も恐れもない。
皆一律同等、同じスタートライン上だ。
だから安心し、自由に好きなだけ『理想の恋』妄想が出来るのだ。
取り立てて慌てる事も無し「信繁様」は分け隔て無く皆の物
つまり理想の上官であり〜
部下〜同僚であり
最高の友人であり
憧れのお兄ちゃん
理想の弟くん〜
素晴らしい手近で自由に話しかけられる美味しい究極の、近寄って喋ることが出来るアイドルだ。
ただ「自分1人のもの」ってないだけで。
『それくらいは我慢我慢我慢〜〜!!』
「憎らしぃぃぃぃぃぃ〜〜!」
誰かの物で出口の無い嫉妬に狂うよりは良いじゃないの♡
健全で精神衛生的にもね♪
そうだそうだ全くだ
女性職員はググッと涙をのんで堪える事を選んだ
よって 勝手な行動という贅沢は禁止。
そうしなければ自分達は優しい信繁にまず嫌われることが無い事を、すでに ちゃっかりしっかり体験していた。
姿勢の良い信繁は、今日はカジュアルな麗しの私服姿。
彼は自身の視力について神経質な程細心の注意を払っている。
というのも、凄腕のヘリパイロット〜
しかも『実験機』と呼ばれるシステムとして光学迷彩搭載、”城”秘密兵器の『主席テストパイロット』の機長である。
因みに親友子龍が信繁と長年タッグを組む副機長役である。
信繁はどんな時も、絶対に裸眼に負担がかからぬ様に視力には配慮している。
たとえば一定時間、施設内の遠方の観葉植物群を、単純な視力回復訓練〜
眼球の筋肉を緩めるためにボンヤリ見る事。
或いは遠方と近しい周囲を順番に交互にずらし見つめる事で柔軟な柔らかな眼の周りの筋力を育成するトレーニング〜
そういった事を日常必ず決まったタイミングで定期的に行ったり等々、真面目で努力型の彼は欠かさず実行していた。
また一般的な男性よりも瞳の色が茶色がかり色素〜
つまりメラニンが少ない信繁は強い激しい光源、外的刺激から繊細な網膜を保護する為、専用調合目薬及び、細かい度数の違う様々なUV特殊加工済みメガネを常にセレクトしている。
『かっこい〜〜』
ボーッと見つめる彼女らの眼差しの先の愛しの君は現在「眼鏡男子」
普段の裸眼の状態を更に更に更にグレードアップ、もっと益々よりルックスを知的に美しく、魅せる格好いいメンズに進化中である。
本日、信繁は細い黒のメタルフレーム、ハーフリムのメガネを選び使用していた
服飾としてトップスはびしっと糊の利いた細身のシャンブレー生地の長袖シャツ着用。
この柔らかな素晴らしい色合いの水色のシャツの袖を適度に折りあげ、見るからにウットリの爽やかさ全開。
元々が羨ましい程長い足は、真新しい黒茶色のデニムにキュッと包まれている
何もかもが身長2m近い長身を限りなく爽やかにキリッと引き立てていた。
「うわ格好いい!」
ついつい見とれてしまう観察者の目を楽しませるには十二分すぎる姿
要するに”滅茶苦茶魅力的”
『信繁様ーーーーー〜〜!!』
『いたいたっつ!』
『キャー嘘っ ホントだっ!』
『も〜〜死んでもいい!』
『滅多に会えないよね 秘書課以外の一般職の私達。
特殊部隊のお忙しい、激務のあの御方に会えるだなんて信じられないっ!』
『撮影しちゃおっと』
『でもお勉強の邪魔しちゃダメよ?』
『友達に言っちゃお〜 凄いファンなんだ!』
ーーーー破壊力抜群♡
その証拠に さっきからゾロゾロゾロゾロ、ワラワラ目当てのギャラリーは増える一方。
「いくぞ」
「オゥ」
周囲の様子を見つつ ソッと男達は席を立つ。
「あ〜ちょっと〜!信繁様が見えなくなるっ!!」
「なによぉばかー」
「どいてよねっつ!」
「邪魔〜〜〜〜あんた達!!」
く〜〜〜言ってくれるじゃ無いか!!
女性達も可愛い顔に似合わず、なかなか容赦が無い。
反応が塩辛い、何気に辛辣だ。
『くっそ〜〜〜』腹立つわ
気にくわないぞ!!この扱いの差はなんだッッッ!!




