第6章 城主の突然の休暇 ①
やっと様々な外交事項が一区切り付き、大きな交渉場面から程々に開放された頃……!
城主はウィンストンに「漸く」ーーーー
「生涯たった一つの願い事」についてのレクチャー・概要を伝える決断をした
「何て言うかぁ〜〜〜気が重いわ・・・・・・」
『嫌だなぁ……』
執務室に行きたくない……(訳:仕事をしたくない)
しかしもうそろそろーーー……
いくらなんでも通達しなければならない
『そうは言っても〜〜〜ねぇ……』
はぁーーーーーーーーーっっっっっつ
いやだぁ・・・・・・・・・
いやだぁ〜〜〜……!!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ・・・・・・・・!!
あんな相性最悪の男の所になんか行きたくないっっっっ……!!
〜〜〜〜〜誰か代わってッッッ!
は〜〜〜〜・・・・・・ーーーーーーー
自室にて城主は途轍もなく
長ぁーーーーーーーー〜〜〜〜い溜息をついた
『誰か代役してくれないかしら……』
全くトホホだ……!
そう……それに……
彼の部下達にも、公平に同じ様なヒアリングをしなければならない
決済を求めて転送されて来た〜
山盛りてんこ盛り調書ファイルにゲンナリして 昨夜は寝ていてもうなされた
処理しても処理してもどんどんバンバン増えてゆく電脳書類のファイルの山に電脳画面が隙間無く埋まり……
覆い尽くされた後「はぁ〜やぁ〜くぅ〜……っ…」〜
何所までもビュンビュン……うらめしヤァと追いかけられる夢を見た。
まだ下っ端はいい……!
しかしーーー何と言ってもーーー
問題はあのキレッキレの親玉ウィンストンだった。
どう考えてもーーーー馬鹿と天才、狂気と正気の狭間 ”紙一重の”ヤバイ男だ
……まだ「まとも」だろうな部下達の通達は彼の後になるから〜
やっぱりまた暫くは調整で忙しくなるだろう……
そうだーーー……
自分の直感的仮定が今回も正しければ、本気で時間が無いのだ
考えれば考えるほど気の重い伝達事項だった
『あーーーーー嫌だ嫌だ』
嫌ダァ〜〜〜〜〜〜〜!!
堂々巡り
けれど重い腰を上げなければいけない。
**************
そんなこんなで某日早朝ーーーー快晴
最近業務があまりにも忙しく……
全く構ってやれて無かった白龍の飼育ゾーンを城主は訪れた。
パァ〜〜〜っと白龍の髭がグンッと持ち上がった。
のんびりおっとりとした〜強靱な体力、必殺強力火力を吹き出す特殊器官内蔵のため幾分胴が太めの黒龍と違って。
機動性重視のスレンダーなシュッとした体型の白龍はかなり神経質。
気性が荒く、そのくせ寂しがり屋さん……
関心も愛情も、気分が安定した黒龍よりも遙かに必要とする。
しかも実は!
先だっての黒龍の大活躍とーーー……
その後もライバルがチヤホヤ忙しく「登用」されている事に……!
白龍は 高い知能故に気がついてしまったのである。
しょぼぼーーーーーん・・・・・・ん・・・・・・
龍だって嫉妬をすると、城主は経験上から身にしみて知っている。
龍は角も鋭い牙も爪もある、実に震え上がるほどの怖い見かけだ……
とってもルックスは怖い
ーーーーところがどっこい!!人間以上の繊細な細やかな感性の非常にデリケートな生き物なのだ。
特に愛情が欠かせない。
元気が無いと髭がヒュルルルル〜……と下がるのだ。
まだ龍の飼育の黎明期に、随分貴重な個体を数多く失った。
当時のあの絶望的な哀しみと苦しさは、今でも時々城主を苛む。
担当の大切な「龍」を失った悲しみに耐えきれず、大勢の優秀な飼育員が心を病み、城を去った。
自分は今、彼らの哀しみの果ての 不屈の努力に報いているのだろうか?
ーーーで現在、城主は白龍の陣中見舞いに訪れたのだった。
白龍は「魚派」である。
好物の餌〜可愛らしい桜色の「魚肉ソーセージ」も、地元名産の鯛のすり身のみで職人が自ら練り上げ焼き上げた「高級竹輪」も……!
ーーーー気分が落ち込みションボリするあまり、白龍は全く食べなくなってしまったのだという。
「……ねえ『城主』、騎手として何とかして下さいよ?
朝夕私たちが愛情込めて磨きをかけているこの世で最も美しいダイヤモンドの鱗に……
『超高硬度ナノ多結晶ダイヤモンド製』の鱗がパラパラ剥がれ落ちてーーー!!
円形○○(自主規制)!!が出来てしまいますよぅ~
お○○(自主規制)〜は困るでしょう!!!
お○○(自主規制)〜〜は!!……!」
と…!
白龍を自分の彼氏よりも、よっぽどか甘やかして溺愛してしまっているーーーー
城きっての美女揃いと評判の、おねいさま集団〜〜
「白龍専属飼育部 ♡♡♡私設ファンクラブ♡♡♡」
〜御一同様から、かわいらしく実は恐ろしい……恐怖の「泣きの脅し」が入ったのだった
因みに黒龍の硬派な飼育員の女史達とは犬猿の仲である。
ーーーーと言うよりも永遠の宿敵!
そして更に言うと……!
彼女らはとある「別のファンクラブ」も結成しているのだ。
勤勉実直を旨とする黒龍飼育員ファンクラブ連合会長が推すのが「信繁」
チャラい……じゃなかった美しいものをこよなく愛する美形一派、白龍飼育員ファンクラブ連合会会長♡が推すのがーーー「子龍」
各各推しの「良さ」を一歩も譲らない。
腰の重い城主に、その後、城主の反応の悪さに、白龍をこよなく愛するフットワークの軽い機動力溢れる俊敏な彼女達は力尽くの復讐戦に あからさまに出た。
つまり実力行使……
大変な事態がーーーー嫌がらせが起きたのだ。
「『彼女達』が白龍につきっきり過ぎて、僕らと誰もホログラム通信も〜
デートも〜お茶会もーーー『オールキャンセル』で一切応じてしてくれなくなったんですぅぅぅぅ!!」
「もう一ヶ月ですよ〜〜勘弁して下さいよ〜〜〜
悲しすぎてもぅ業務に身が入りません!!
なんとかしてくださいよーーーー!!」
という何とも実に情けない……!
(おねいさま達のお座布団状態の)心優しき彼氏陣からの涙の直訴。
容量が重ーい重ーいホログラムメッセージ通信が、パラパラ、執務室デスクに頻繁に届くようになったのだ。
当然だが最初は城主はツーーーーーンと無視を決め込んだ。
「プライベートまで面倒見切れません!」
「そんな〜〜〜!」
ところがである……
これがあまりにも昼夜構わず〜……
発送人数も3桁で果てしなく多すぎ、あっという間に処理できる許容量を大きく越えてしまったのだ。
ホログラム通信は通常の電子通信と違いデータが「異様に重い」
そこを十分知っての殆どサイバー攻撃並み、ヤラシク仕向けた嫌がらせであった
城主デスクの電子ホログラム通信回線が負荷がかかりすぎ、とうとう今朝方、ピーン! モウダメ……
パンクしてシステムダウンしまったのだった。
尚も不幸なことに、城主も日々酷使すぎ、電子設計室技師から厳重注意が入っていたのである。




