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脱出 ⑥


信繁のアイコンタクトで、雅は屋上に通ずるスチール製の頑丈な扉にそっと指をあてた。



と、コツコツと 軽く折った人差し指の関節で音を小さくたてる。


すると同じくーーー「向こうから」も「返信」が行われる。



雅はそれでも金属製のドアにパットを貼り付け、本当に待ち伏せが無いか機器で最終調査検査した後


「大丈夫です!!」


ようやくホッとした表情で、後ろに控える仲間達に微笑みかける。


 

「GO!!」



信繁のハンドサインで、ドアが大きく開け放たれた。



「何も異常有りません!」


「ご苦労」


信繁が屋上に佇んでいた見張り番の部下の班員に キビキビねぎらいの言葉をかける。



「ーーーーえっ!」

 

 

ビョヨォッッツ!! 大きく風が吹き、ごぅっとフレイヤの髪を揺らす。



『ーーーーどういうことなの??』



先程、信繁班によって制圧されたホテル建物屋上、ヘリポートにはガランと何も無かった。

 

本当に全く何もーーーーー無かったのだ!!



しかし、明らかに何かの重低音が闇に響いているし、風が渦の様に逆巻きひしめいている。



聞き覚えのあるーーー航空機のエンジン音だ!


しかしふり仰いでも黒々とした上空には何もない

 

「任せた」


「はい!!


「おうよーーー!!



信繁の合図で子龍達は 一斉に行動開始する。


だだっ広い暗い屋上には、城 特殊部隊隊員しかいない。


取り押さえられた暴漢は 制圧直後全員〜拘束された直後に建物内に引きずり込むように入れられたからここには存在しないのだ。



後は空港警備室担当官の仕事だから、部外者の極秘収容施設、城の職員の彼らが度を超えて何かをすれば越権行為になる。


縄張り荒らしになるので手出しはしない。



ピッピッピッ!!


雅が着用の戦闘服の上腕部にはめ込んだ小さなモニターを見ながら素早く指先で何かを起動。





ブンッツ!ーーーー




微かな音を立て、今まで何も無かったはずのヘリポートに忽然と。


エンジンをかけたままの、緩やかにメインローターを回す1機の不思議な形状と色彩をまとうヘリが、ボンヤリと陽炎の様に目の前に浮かび上がる。



次第に 目に映る物体はハッキリと鮮明に形取る。




「あっ!!」


フレイヤは大きく開いた口に 慌てて手を当てた、というのもたった1つ 記憶の中で思い当たる事象があったのだ。





ーーーーーまことしやかな「噂」の存在、以前から真偽不明のそれはずっと流れていた。



曰く、惑星地球の〜


銀河トップクラスの科学技術を誇る遠き国〜ニンジャが今だに生息するというミステリアスな國、ジャパンで。


戦闘用・光学迷彩の開発実験が完全成功、既に 軍装備への実用化の目処も立ったらしい。



ーーーーという「話」を。





かの国ジャパンの「平和的・特殊な事情」により、その事実が決してオープンにはされない事。



「バカな ただの都市伝説類の噂話だ!!」



フレイヤ王女の所属していた惑星フレイ・王立宇宙軍の、ありし日の、王都を守る誉れ高き空挺団の隊長は「馬鹿馬鹿しい!!」


部下からの問いかけに鼻先で笑うと一笑に付したのを、この目で見てよく覚えている。


「そんな技術なぞあったら、俺達はこんなに苦労はしない。

豊かなこの国にない特殊技術が、他の国家にあってたまるもんか!」


ーーーーーと。




彼女も、酒席で 若手により面白おかしく語られる「よくある陰謀論の一種」


~惑星間にはびこる 女の子達にモテようとする男達が作り出す幻影、如何にもな馬鹿馬鹿しいオカルト話、だと思っていた。



『もしかしてそうじゃないのーーーー?!』




抱きしめられる信繁の腕の中でガタガタ震えた。



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