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序章〜富士樹海、亜空間特殊監獄の出来た訳

西暦がとうに廃止された未来世紀


手狭になった母なる地球……

由緒正しきラテン語で ”Terra”


同じく古き言語、いわゆる「英語」で言うところのEarthから宇宙の果てに旅立ち、人類は様々な生存可能な星に根を下ろし入植、或いは、惑星周回軌道にコロニー都市を建造した。


銀河に散った人類はいつしか巨大共同体「銀河連邦」を創設。

そして必要不可欠な惑星開発ーーー

主に植民に関しての法規、”銀河法”を銀河連邦加盟惑星間に制定。


自国の個々の法律とは別の、銀河中に通用する大きな枠組み、他惑星間に対しての絶対的ルールを定める事となった。

 

銀河での多くの国々〜国家は「連邦英語」と呼ばれる独特の言語を採用する。


より議論・商業的交渉に適したと言われる、明快かつ比較的単純単調な文法的表現を個性に持つ言葉を、多くの国々がこぞって使用し、文化的面倒な誤解が無きようにと、”正式な公用語”と定めていた。


Earthーーーーアース


地球の中に存在する小振りの国”ジャパン”ーー……


かつては趣がある『日本』と呼ばれた細長い龍に似た島国

 

富士の広大な裾野、樹海に特殊収容施設~通称「城」は存在する。


国際的に極秘……いや公然の秘密である特別な監獄がこの国にある。


中に収監されているのは全員国際的に報道された重大犯罪事件の中心人物、もしくは事情により絶対に表沙汰に出来ない陰惨な事件の主犯格である。

 

どの国家王国も、叩けば埃が出ない事なぞ有り得ない。

〜が、強大な権力を持つもの故に力の及ぶ範疇と限界もよく心得ており「それならば」と編み出した方策である。

 

要するに「自分達の国には置いておけない」

だが『対象』は常時監視下にしておきたい。


〜当然だが、自身は被害の及ばない安全圏にいる事が最も重要だ。

 

自分達に影響を及ぼさない程々の遠距離かつ正直、勤勉で科学・文化レベルも高度に発達した国が何かと都合が良い。

でないと個人の「秘密」を悪用、自分達に反旗を翻す可能性が捨てきれないからである。


地球内の超大国ーーー……もしくは銀河における連邦諸国。

様々な惑星都市の為政者は自らに都合良くそう考えた。


そうだ

”あの便利な国”ならば任せても良かろう


「信用出来る」〜全ての望みにバッチリじゃないか!!

 

200年以上に連綿と続く憲法『平和主義』を掲げた国家であり、古代から列強の帝国諸国の思惑から離れた独自の独特の価値観と地位を保つ島国だ。

 

信義やモラルを重んじるあの国ならば……!


ははは、一度収監させてしまえばこちらのもの!


国家のメンツに賭けて、かたくな迄に実直に人道的に対象者を保護するだろう。


しめしめ……!

殺す事も生かす事も出来ない〜あの厄介な迷惑者達を押し付けるのは丁度いい。


〜なぁに大国の止めども無い紛争に巻き込まれない様、コレを「見返り」とし、脆弱な其方方面を我々がバックアップすれば良いだけの事。

 

収監は各国各自が「個別に契約」〜かかる経費負担すれば済む話だ。


万事「金」で解決、各々”知らぬ存ぜぬ”

ーーーーこれでいい


「誰も困らない」


ふふふっ、考えれば考えるほど極めて良いアイディアじゃないか?!


そう〜

今の自分達の既得権益が足下から木っ端微塵に吹っ飛ぶ恐怖を考えれば、この程度なんぞ、全くお安い御用というものである。



この強大な武力経済力を背景、超大国達の結託したエゴイスティックな発案。


ある日突然の、正に寝耳に水の大事件……!



ーーーーハッと気づいた時には手遅れ


とっくに「既成事実」、退路は絶たれ逃げ場は失われ、無理難題を突きつけられたジャパン政府、内閣府は窮地に追い込まれた


最早”断る事は不可能”

突如巻き起こる国家存亡の危機。


しかし海千山千の抜け目ない大国相手に戦いを挑んでも敵う筈がない。


結果、やむを得ず、火事場の馬鹿力的結集力を発揮し持ち前の、小国にもかかわらず銀河に轟く国際的トップクラスを誇る科学力を総力戦で結集し世界初


いいや……「銀河初」超亜空間の開放。


長期に及ぶ時間にて人体が無事、超常空間にて生存に適する状態で滞在する事に成功した。

 

この試験的設置された第4次元、第5次元世界に、ジャパン政府は極秘裏に特殊収容施設を建設し、これも無事達成させた。


”国内に”建造したのでは無い、よって五月蝿い国内法には”殆ど抵触しない”


……違法行為でないのだ。


「そこ」は、この世の全ての情報が集まる場所とされている。


何が起きても不思議ではない特異性のため、超法規的な治外法権の場所〜つまり現行法を「少々改正して」まで、あえて指定した。

 

 ”世界が破壊されてしまう可能性も捨てきれない”


安全確認が終了したとはいえ結局は異常な高次元、超常空間であるから、どの思惑の攻撃も拒絶できる威力のありとあらゆる軍事的防護システムが特例措置として構築、特殊訓練された人員もかき集め、全てがそろい法整備も行った


「あぁやれやれ」 


ところがである、プロジェクト計画推進者達が胸をなで下ろした時、全く”思いもかけない事”で最後に躓いたのだ。


それは「施設名称を何にするか?」であった

 

何しろ一切公にする事が出来ない特殊施設、プランの企画立案時は記号と数字で済んでいた。


とはいえ、銀河に密やかに公布する名前が無いのは”諸外国との秘め事”


要するに莫大な契約料が絡む以上、どう考えても明らかに不便極まりない。


加えて「所長」の肩書きをどうするか?

従来の一般の収容施設と同じ様にする事は出来ない


何故ならばーーー!!


「冗談ではない」


「〜そんないかがわしき輩〜施設を、真面目に律儀に職務を遂行する我々と一緒にするな!」


「とんでもない!

職務に忠実に励む我々を、政府はそこまで愚弄し馬鹿にするおつもりなのか!!」


ーーーという意見クレームが、ジャパン国内、誇り高い現存の施設の管理者から燃えさかるマグマの様に噴出したのである。

 

彼らの言い分に充分な正当な理と正義があり、全く無理もない話である為、完全に「詰み」


そもそも当該施設は元々、権力をチラつかせた超大国にジャパン政府が惨めに膝を屈した事から起きた出来事である。



「むむぅ……困った」


手に負えず政府首脳陣は頭を抱えた


ーーーその時、ある「知恵者」が


プロジェクトに携わった重要人物、”研究者の1人”がノンビリと、こんな奇妙奇天烈な内容を政府要人の前にて答弁したのである。


その研究者は朗々と、明るくこう語った。


「そうですねぇ……

どうせでしたら付加価値をつける為にシンプルで、『ジャパンらしい名称』にしましょう。


我々もこの国の一部……

生きとし生ける物の、引いてはこの…自然の一部ですからね?

大地の前に敬虔であるべきだと思われませんか?


まぁ諸国に余裕を見せる為、美しきロマンが幾ばくかあった方が宜しいでしょう


でないとこの血税の巨費を投じた施設建設自体、むざむざ大国に屈した様に見え寝覚めがよくありません。


『ごまめの歯ぎしり』とはいえ、我々にも自尊心がございます。

下手に出すぎるのも、プライドの塊の先方とてコレは扱いに困るでしょう。


そしてもしも……

計画段階に名付けていた無味乾燥な番号制を監理側にまで要求致しましたら人権問題〜

今度はそう言った事柄に敏感な専門家、銀河をまたにかける国際的な人権団体、諸外国に示しが付かず藪蛇の如く突かれるやも知れません。

 

いいですか?

この世の何処にも存在しない『世界』なのですよ?

少しでも目立つ挑発行為は避けた方が無難です。


我が国には同じ言葉でも幸いな事、『音』と『訓』の両方の別々な読み方があります。

 

他の同じ字体の歴史的有名建造物は大体は『音読み』


でしたら『訓読み』で差別化を図れば、とある”既得権益を持たれた先方”


まぁ明らかな詭弁、見え透くでっち上げだと判っていても、名誉と体面が保たれ納得される筈です。


何せ〜『彼ら』は

〜『あのもの達』も、由緒正しいかつてこの国を裏側より営々と命を賭けて守った一族の末裔達です。


再び堂々と晴れ舞台が、祖国を悪しき者から守護する機会が巡って来たのです。


これ程のバックアップは我々にとっても精神的な心の励みになります。


それにですね?訓読みでしたら、従来の地名を入れる必要性からも自由になりますし?

建造された座標軸…場所の特定は防がねばなりません。

  

管理者名も性別年齢経歴、初代から数えて何人目か?等、伏せねば。


以上の事より、秘密裏に動かした国内人事を悟られぬ様、必ずジェンダー的含みが一切ないものが良いでしょう。

 

残念ながら”肩書きの印象”は、いささか惚けた感があり決して強そうではありません。


が〜

か弱そうに見せて実は猛き者というのは意外性と強い物語性があり、力量の事実をその身をもって知れば皆驚き慌て、ひれ伏す事でございましょう。

 

多少変ですが どうせ隠語です。

暖簾に腕通し、ノラリクラリ言い訳すれば宜しいのです。


ーーーそれが『大人の知恵』という物


かまいはしませんよね……?」


 

知恵者は悠然と微笑むとチラリ、石の如きに沈黙の要人をグルリと見回した。


「如何でしょうか?」駄目押しの、止めの一言


関係者皆「これはもっともだ」と、深く感服、一応筋は通っている。


第一これを越える発想で、したたかな論理を覆す意見を自分達の誰も出せる気がしなかった。


どうせ公には出来ない種類の建造物、いいじゃないかこれにしよう。


つまりは何だって良いのだ


「異議無し!!」

「素晴らしい!!」


満場一致で拍手を持って可決した。


「決まりだ」


内閣総理大臣の鶴の一言、密やかに設けられた極秘会議の閉会合図だった。


 

こんな裏事情で施設名称を「(シロ)


施設トップの全ての権限を持つ所長の肩書きを「城主(シロヌシ)」と名命。

 

こうして亜空間に超大国にゴリ押しされた特殊収容所施設・本丸「城」は何とか出来上がった。


所長は東洋人である。

これ以外の情報、本名・性別・略歴は不明ーーー!

 

そして城主を筆頭とする最高幹部会と言える施設の運営。

存在そのものをバックアップし下支えするトップを除く幹部全員で5名の会員、「五人会議」のメンバー。


銀河様々な場所にて生活すると言われる彼らも、個人情報は明らかにされていない。


どう言った理由での選考なのか?

基準は何なのか?

何代目なのか?

採用の決定、選考方法も公表公開はされていない


ただーーー

「前任者の推薦が必ず必要」

以下の事だけは、政府内部極秘文書資料に一文が寄せられているらしい。


真しやかな噂では、所長以外のこの特殊異能者の人員5名のみに「房」は解錠。

次元の扉を開ける為の「キー」を使用可能だという。

 

なかでも最も重要な神域〜

聖域といえる特殊次元域「5次元空間」に特殊監房は造営されている。


眠った様な〜現在過去未来と精神がリンクしたかの場所


「そこに入る」〜

要するに『収監』された場合、まるで自らが全能の神、脳髄が麻薬に犯されたかのような摩訶不思議体験が味わえると言われる。


しかし

3次元からの「鍵」不使用下でのアクセス不能、4次元からのみ侵入可能。

 

5次元空間

悪夢と極楽の境目

 

この(不思議な世界)高次元からの脱出は理論上、低次元域にあたる3次元世界の異物、つまり人類は絶対に脱獄不可能、だからこそ無理を押してまで構築されたのだ。


城主〜所長シロヌシは東洋人、どんなに若く見えていてもキャリア官僚、よって23歳以上と密やかに銀河の裏社会では囁かれているが、本当の実際の年齢は一切が不明。


当然の事、むろん容姿も公表されていない。

 

但し、銃火器使用作戦実行中の城主を見た者がいるという。


目撃者の貴重な談話によると、髪を隠しスレンダーな体幹と最新鋭バトルスーツ故に少年にしか見えなかったという。


いいや、腰まで届く黒髪を見たという証言から実は女性では?という説も存在、数少ない驚くべき情報もある。


その人物は遺伝子操作で作り出されたキメラ個体、黒龍、白龍、に代表される生物兵器「龍」の優れた乗り手だという。


唯一、縦横無尽、かれらクリーチャーを操る事が出来るといわれる


黒龍・白龍共に鱗部分にステルス爆撃機同様の機能が備わり、如何なるどんな電波も吸収及び拡散させてしまうという。


一端飛び立つとレーダーでの感知不能、有視界飛行のみ確認されるがメタルを思わせる体色からほぼ保護色と言われる。


白龍は音速ぎりぎりの高速飛行を可能とし、直接一気に上空へ飛翔する為、滑走路は必要としない。

 

変温動物であるが、ほぼ体調は変化せず体温は常に36~37度に保たれる。


よって、温度感知システムによる追尾装置付きミサイルは無力化可能。

 

全身を覆う鱗は新たに開発された強化ダイヤモンド以上の硬度を誇ると、某国立研究所の検査により証明されている。


黒龍のみ口蓋からは3000度を超える高温の火力を吹き出すことが可能。

しかし何故、生物としてそうした荒技が可能かは、最重要極秘機密事項で明らかにされていない。


ただ僅かに記された極秘資料から確実に言えるのは、この惑星地球上で黒龍、白龍〜キメラの龍達〜

彼らを撃退し倒せる武器は存在しないも同然と言える事であった。


その他は厳重なる防犯上の観点から同じく一切の全てがジャパン政府が隠匿する極秘資料に記載されているとの事だ。



特殊監獄収監者は不思議な事に、誰もかれも、いざとなると脱獄は望まない。

 

彼ら全員、自身の開放へ向けて働きかけられる強大な政治的、経済的、武力による莫大な力量が備わっているのに……?だ。


しかも自らの意思でわざわざ留まり驚くべき事に情報が必要な時は、管理者側を自らが持つ「影の影響力」等で補佐しているというのである。


癒着ではない「共存共栄」……そんな事があり得るのか?!


状況は定期的に政府によって行われる内閣府の諜報極秘委員会で事実は詳細なレポートにまとめられ報告されている。


「理由」については必ず毎度、個別の調査によるアンケートが実施された


集計された回答中、最も多かったものは驚くべき事に、末尾回答欄の「その他」


単純に

「ここは面白い」


次点

「退屈しないから」という意見も多数存在した


これは一体どういう事なのか?!


実は「城」にはルール・規約に無い”慣習”がある


「どんな望みも生涯たった一つ叶える」

〜という約束事だ


(但し 五人会議にて。

毎回かかるという天井知らずの莫大な予算の都合上、彼ら”全員一致”で了承されたものだけらしいのだが)



相変わらず性別は不明だが、城主に大概1度は皆恋してしまうらしいのだ。


未だかつて誰も見たこともないほどの、極めて素晴らしい美しい美貌の持ち主。


収監者達にとって、気になる意中の人物の武勇伝の話題は如何なる些細な事柄も心ときめかすとの事である。


退屈な日々の格好の暇つぶしであり、又「自分達を支配する側への挑戦」

ーーー無限の力量の維持に対する問いかけ、それの確認の意味もあるという。


収監者達は いずれも劣らぬ曲者ぞろい、だからこそ余計に自分の想像力を悠に凌駕する、見たことの無い物、この世の果ての世界が見てみたいと夢想する。


自らを越える圧倒的に強い者、強大な者が生理的・本能的に好きだ。


唯ーーー……それだけだという。



今度こそは「誰かの望み」が達成されないかもしれない。



不吉な不安に血が沸き立ち踊る。


「絶対に叶わない筈」の願いが成就達成される瞬間、恍惚と天の楽園を感じる。


”我々は運命の神に勝ったんだ”ーーー、強烈なカタルシスを覚えるのだ。

   



そうーーーー

未だかつて「五人会議」での了承決定後



城主自らが叶える慣習が、不履行の事実は無い



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