1 プロローグ
新連載始めます。ほぼ書き終えているので毎日投稿できるはずです……!
王都に広大な敷地を持つエルンシュタイン邸。
その中の晩餐室で私はお父様と対峙していた。
「反対されても領地へ行きます! 領民に広がる謎の病の正体を突き止めて、私が死ぬ未来を変えるために!」
◇
「俺の母は死んだ! 隣の家の子供も!! 原因は何なんだ!?」
「助けてくれ!! 死にたくない!!!」
広いホールの中、声を上げる者たちの服装は粗末で、茶色や灰色のウールジャケットに平たい帽子、裾を少したくし上げた厚手のパンツ、泥で汚れた革靴を履いている。
この会場にあって王都の裕福そうな紳士たちの間ではひときわみすぼらしく見える。
農村からこの王都へ出てきた人々だと、誰もがすぐに推察できた。
王都ノーヴァル。
ノーヴァリア王国の中央に位置するこの街は急速に増えた人口のせいで家と家の間はほとんどなく、人家のすぐ脇を魔道汽車が轟音を立てて走る。
工場から立ち上る排気で街はうっすらと白く煙り、空気は重い。
かつては家事や炊事など細かなことに使っていた魔法も発展を遂げ、今では工業や農業、人々の生活と経済発展に欠かせないものとなっていた。
そんな街の一角にある会社ビル。外まで怒号が漏れている。
今日ここでは、エルンシュタイン農業社の株主総会が開かれていた。
「皆様! お鎮まりください!」
壇上に詰め寄る株主たちに、『取締役社長 アロイス・フォン・エルンシュタイン』と書かれた名札の席に座る男が、慌てて立ち上がった。
「現在、国の調査団が原因を調べているところです! 病院から派遣されている聖女様方も、重症者の悪化を防ぐべく懸命に聖魔法での治療を行っております! 今しばし、今しばしお待ちください!!」
懸命に説明するも、そんな言葉で引き下がれる段階はとっくに過ぎていた。
「今しばしっていつまでだ!? 今日にもまた新たな死人が出るかもしれねぇんだぞ!?」
訴える株主たちの中には、顔を真っ赤にして怒鳴る者もいれば、泣きながら救いを求める者もいた。
しかし、この総会で満足のいく回答を得ることは、ついにできなかった。
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