僕が見届けよう、君の果てしなき旅路を(17)
ギラとゾガルディアの二人を退けた後、ヴィルツは極めて迅速で適切な行動が求められた。
意識を失ったアルビトラの応急処置。大剣の発掘と回収。渓谷からの離脱。
どれか一つでも手順を誤れば最悪の事態に陥りかねない状況であった。
「(また手足が吹き飛んだだけじゃない、今回もかなり酷い)」
アルビトラをその場に寝かせて短剣で衣服を切り裂き、傷口を露出させた後に止血を行おうとした。
そうして彼女の損傷個所を検める最中に思わず絶望に陥り掛けてしまう。
右腕と右脚だけではなく、胸部から胴、そして腰部にかけて斧撃の余波でぐちゃぐちゃに潰されていたのである。原型を留めているのが不思議なくらいだ。
幸い、頭部の損傷は見受けられなかった。
被害の程度で云えば、前回の戦いと同じか少し下回るくらいだろう。
「だが……起きたら きっちりと説教しないとな」
裏を返せば、必ず救出してみせるという宣言。
治療用の魔具を欠損箇所に施し、痛覚遮断用の刺薬を注射する。
呼吸が弱くなっていたが肺や臓器が圧壊している可能性があるために、人工呼吸は危険なので実施しない。
彼女の生命力の高さを信じるしかなかった。
一通りの処置を済ませて千切れた手足を拾い上げると、飼い竜を呼んで鞍の上にアルビトラの身体を仰向きに寝かせた。
万が一、谷底が崩落したり大剣が発する真紅の光粒……『霊滓』が過剰噴出した際にいつでも飛び発てるよう備えるためだ。
「グルゥ……」
「心配するな、ブレイズ。アルビトラならきっとこれくらい何ともない筈だ。
今、僕達にしか出来ないことをやり遂げよう」
重態のアルビトラの姿を見て心配そうな唸り声を漏らす飼い竜を宥めつつ、ヴィルツは大剣の発掘を急ぐことにした。
ゾガルディアの斧撃により再び破砕された谷底の地面であったが、予め大剣が埋まっていそうな場所の目星は付いていたので発掘自体は然程 苦労しなかった。
予め用意していた防毒用の魔具を身に纏い、鉄製のシャベルで掘り起こす。
雪国出身であり、豪雪の処理だけでなく幼少期より石炭の採掘経験があるヴィルツにとっては実に手馴れた作業でしかない。
半刻も経たないうちに無事に目当ての大剣を掘り当てることが出来た。
「これが、件の大剣か。
あいつ等に言わせれば『霊滓綺装』の一つ……って話だが」
慎重に瓦礫を除きながら、その全貌を検めた。
所々で汚れが目立つが、金属の割には一切錆び付いてはいない。
柄の部分は象牙色の不思議な金属で、鍔と呼べる部位はなく濃紺色の巨大な刀身が連なっている。
特徴的だったのは片刃の刀身が二本、背合わせに連結されている点。ともすれば中央から、ぱかっと分解されそうな印象を与えていた。
「こうして見ると珍妙な剣だな。刀身のあちこちに赫い宝玉が付いているから
『霊滓綺装』ってことには違いなさそうだが……」
他には宝玉を中心に金細工が施されていた。
全体的な意匠を鑑みるのならアルビトラの持つ粋然刀よりも、ギラの眼帯やゾガルディアの斧の方が近しいのかもしれない。
「まあ、取り敢えずはさっさと回収してしまうか」
防毒用の魔具の一種である黒布で大剣を厳重に包み込み、更に危険物運搬用に用意した籠の中に収納する。
もし途中で『霊滓』が漏れ出してヴィルツと飼い竜に致命的な悪影響を及ぼすようであれば、その時点で投棄せざるを得ないだろう。
「よし……よし、これで良いな。
遅くなって済まない、直ぐに飛び発とう!」
「グルゥイ!」
飼い竜と、その鞍の上で眠るアルビトラにそれぞれ詫びを入れてからヴィルツは思い切り手綱を引いて谷底からの脱出を試みるのであった。
現在の時刻は、東角の刻を少し過ぎた頃。
このまま急いでバルクラント地方の空を飛んで行けば、日没までには街道沿いに建っているであろう旅籠屋の一軒くらいは見付かる筈だ――
[ 王都アンバーハイヴ ~ 『メルリヌス城』五階 第三王女の部屋 ]
谷底での戦いから一週間が経過した。
ヴィルツ達は帰路で立ち寄った旅籠屋で五日間の入念な休養を採り、アルビトラの容体が落ち着くのを待った。
流石というべきか、或いは特異な宿痾を抱える者の業というべきか、前回と同じように彼女の手足だけでなく全身の傷痕が何事も無かったかのように捲き戻る。
尚、応急処置を施す際に切り裂いた衣服のうち上着と短穿袴と下着類は新調され、青い長羽織だけは替えが利かないため再びヴィルツが自ら縫い繕ってくれていた。
そうして六日目の朝から夕方までの半日ほど掛けて王都への帰還を果たし、更に一昼夜を挟んでから依頼主である第三王女アンネルジュの個室を再び訪れた。
「お二人とも、期待以上のご活躍ぶりでしたわ!
ですが困難な戦いを強いてしまったようで、胸が痛む思いです」
既にレギを通じて凡その事情が伝わっていたのか、二人が部屋に通されると同時にアンネルジュは目を伏せて労いと謝罪の意を示した。
そんな彼女の背後には、側近を務めるレギが直立不動の姿勢で寄り添っている。
「勿体ないお言葉です」
「かなり大変だったけど、何とかなって良かったよぅ」
「ふふっ、立ったままお話を続けるわけにはいきませんね。
お茶を淹れさせますので、よければ お掛けになって」
部屋の奥に置かれた来客用のテーブルに視線を移し、次いで隅に控える侍従達に目配せをする。流れるような自然さで報告の場が整えられていった。
「……こちらが回収した大剣になります。どうか取り扱いは慎重に」
バルクム・イルド渓谷での出来事の一部始終を報告し終えた後に、緊迫した表情を浮かべたヴィルツが黒布に巻かれた収穫物を取り出した。
「これが、我が国の多くの兵士達の生命を奪った剣……」
「谷底まで降りていく途中で、たくさんの亡骸がそのままになっていたねぃ」
「何名かの王国兵は現地の蟲人達と交戦して果てたようですが
それ以外の者は、この大剣が産み出す『霊滓』によって汚染されたのでしょう」
「『霊滓』……それに『霊滓綺装』、でしたか。
わたくし達の与り知らないところで、常理が動き続けているのですね」
「谷底で交戦した者達の弁です。全てを鵜呑みには出来ませんが……」
戦場で対峙したギラが発した情報の数々も、余さず報告していた。
その言葉が真実とは限らないが、それでも黙秘するわけにはいかない。
「そういえば、あの子達は『廃薔薇機関』に所属してるとも言ってたね。
なんか王家に深い恨みを懐いてる公爵さんが黒幕なんだってー」
「おい、もうちょっと言葉を選べ!」
自由な口調での発言が許されていることもあり、復調したアルビトラは生来の奔放さを如何なく発揮する。
しかし、流石に王家に弓引く高位貴族の存在が居るらしいという情報は、軽々しく話すべきではないとヴィルツは考えていた。
「よろしくてよ。
変にあれこれと気を遣われるよりも、分かり易くて結構ですわ」
「は、はあ……そうですか」
「それに、だいたいの目星は付いておりますの。
恐らくその秘密結社を率いているのは、バルティア公爵の一派でしょうね」
知性と余裕を感じさせる微笑み。それでいて十代半ば 相応の女性らしさも感じさせる仕草を交えながらアンネルジュはゆっくりと言葉を紡いだ。
「(バルティア公爵……?)
(もしかしてバルティアンゴールドの産出地を治める家柄か何かだろうか)」
この場には持参していなかったが、王都に向かうまでの道中で立ち寄ったタルヴォア家の本邸で受け取った金塊のことを、真っ先にヴィルツは思い浮かべる。
「代々バルクラント地方の南端を治めていたバルティア公爵家の当主達は、
滅多に王城へ参内しないことで有名でしたの。王国から離れてからは尚更に。
そのこともあって良からぬ噂が時折、耳に入ることがありましたわ」
一度 目を伏せた後に窓の外を見詰める。
「特に、現在の当主であるイルスバルデ殿が爵位を継がれてからは
わたくしは 一度しかその御姿を拝見していません」
「そ、それはまた……」
「ほえー」
既に一介の商人や冒険者が関われる話ではなさそうだったので、ヴィルツは相槌を入れることしか出来ず、アルビトラは特に興味が無さそうな返事を返していた。
そんな彼等の様子に傍で控えるレギは思わず苦笑を堪えていたという。
「とはいえ、思わぬ形で貴重な情報をいただき感謝いたします。
本当にバルティア公爵が裏で糸を引いているというのなら
一刻も早く手を打たなくてはなりませんから……」
「……卑賎なこの身では、殿下の深遠なる葛藤を窺い知ることは適いませんが
王国の未来が明るいものとなることを信じております」
『廃薔薇機関』の動向だけでなく、魔物の大群を操って王都の襲撃を企てていたのであれば看過は出来ない。
幼いなりに為政者の顔付きを垣間見せるアンネルジュの眼光は鋭かった。
その後、四半刻ほどの時間を費やして幾つかの付帯的な報告と雑談を交えた。
「えーと、じゃあ そろそろ話を纏めたいんだけど。
この大剣をここで渡したら、依頼達成ってことでいいのかな? かな?」
「ええ、レギ様を経由して冒険者統括機構に完遂の連絡を送りますわ
大剣の処遇は、こちらで検討した上でお母様……女王陛下に奏上いたします」
「了解でーす!」
「……アルビトラ様。この度は何度も大きな怪我を負われたと聞きました。
もし必要なら、王城内の救護施設の利用許可を出させていただきますわ」
王城内には王都市内の救護院よりも更に高位の治癒術師を召し抱えている。
最高峰の治癒技術が集結し、多くの王侯貴族を救ってきた実績があった。
しかしアルビトラは静かに首を横に振り、彼女の特異体質を知るヴィルツは所在無さげな面持ちで見詰めることしか出来ない。
「せっかくの申し出だけど、この通り もうすっかり良くなってます!
どちらかといえば、お城のおいしいお菓子をお土産にほしいかなー」
「まあ……ふふっ、アルビトラ様らしいですわね。
そういうことでしたら、帰りに侍従達に持って来させましょう」
「わーい! ありがとうございまーす」
王家御用達の治癒術師の紹介を容易く断れるほどの、尋常ならざる回復力。
しかしアンネルジュはアルビトラの体質について深く言及する素振りを見せず、あくまで談笑の形を維持したまま話を進めていく。
「(この王女様、やっぱり相当の切れ者なんだろうな)
(単にアルビトラのことを探る余裕がないだけかもしれないが……)」
今回の依頼は、アンネルジュの破天荒な一面を前面に出した結果の産物である。
王族が一介の冒険者と直接面会して依頼を出すなど本来なら有り得ない。
世間知らずの第三王女のいつもの我儘。という体裁だからこそ、他の王族や家臣達は叱責よりも呆れ半分の放置を選択していたのだ。
「(バルティア公爵家の叛意を聞いても大して驚いた様子を見せないし)
(大剣の扱いも慎重だ。アルビトラの事情にも不必要には踏み込まない)
(破天荒だの、世間知らずだのと言われているのは演技なのかもしれないな)」
ヴィルツはアンネルジュの背後に控えるレギを一瞥した。
するとレギは少し困ったような表情を浮かべ、僅かに首を縦に振る。
「(まあ、レギが力を貸しているんだから信用できる人物に間違いないか……)」
知性と悪辣さの点でいえば谷底で遭遇したギラという少女のほうが余程 近寄り難い異質さを放っていた。
故に、ヴィルツは今後も関わり続けていくことになるであろうアンネルジュへの警戒心を一旦抑えて、和やかな場の雰囲気に呑まれておくことにするのだった。
[ 王都アンバーハイヴ ~ 『百花橋』 ]
「いや~、言ってみるもんだねぃ!」
馬車での帰り道。お土産のお菓子が目一杯 詰め込まれた陶器を両手で抱えたアルビトラはとても上機嫌で、今にも鼻歌を歌い出しそうだ。
王城を後にした二人は、そのまま市街地に向かうべく孤島と陸地を繋ぐ大きな橋を渡っている最中であった。
「デルシアスタ王国産の陶器を容れ物にして寄こすとは、洒落てるよな」
「だね! キラキラした箱よりも、こういうのの方が私は好みだよ」
丸みを帯びたその容器は一人でも無理なく持てるくらいの大きさであり、白を基調に青色の釉薬で描かれた花模様が鮮やかに映えている。
アルビトラ達が貴族であれば純銀に宝石をあしらった豪奢な容器にお土産を入れるのが常であるが、そうではないので陶器が採用されたというわけだ。
「確か、デルシアスタの南東にエスブルトがあるんだったか?
そして西側にはキアラン公国……と」
「そうだよー。その三つにロンデルバルク王国を足した四国家の頭文字を取って
『デルク同盟』って呼ばれるようになったんだよねぃ」
現在の『デルク同盟』の加盟国は数十ヶ国にも及ぶが、その中でも特に強い影響力を有しているのが代表となる四国家。
近年では同盟国内での交流が深まり、他国の陶器が流入する機会も増えていた。
「ロンデルバルクでの商売が一段落したら、同盟国内に販路を広げたいもんだ。
それこそデルシアスタやキアランも視野に入れてな」
「うんうん、今回の依頼を達成して王女様のお墨付きをもらえたからね!
ヴィルツくんのお店が王都で開店する日を楽しみにしているよぅ」
「ああ、まさか中央広場の近くの一等地を融通してもらえるなんて思わなかった。
それもこれもアルビトラのおかげだ……改めて有難うな」
「こっちこそだよ。ヴィルツくんが付いて来てくれなかったら
今度こそ私は死んじゃってたと思うし、大剣も手に入れられなかった」
「ふっ、そりゃ何よりなことだ」
ゆっくりと橋を進む馬車の中で互いの名を呼び、感謝の言葉を伝え合う。
面と向かって伝えるなら、今しかないと理解していた。
「アンタの粋然刀と同じ不思議な光を放つ武器……『霊滓綺装』。
どこまでが真実かは分からないが、手掛かりが掴めて良かったな」
「うん! 今までどんなに旅を続けても判らなかったことが少しずつ見えてきて
それだけでも、すっごく大きな収穫だった気がするの!」
何故 この大陸では非常に珍しい粋然刀の形状をしているのか?
という疑問は残るものの、それでも彼女にとっては大きな一歩。
気付いた時から傍らにあった粋然刀の正体を知れたということは、更に理解を深めればアルビトラの出自が判明していくかもしれないのだ。
「もっともっと この子と私自身のことを知っていくためにも
次にあの二人組に会ったら……更に情報を引き出さないとね」
「あいつ等と今後も関わり続ける気なのか?」
「んー、ギラって子にはかなり恨まれちゃったみたいだしねぃ。
長い因縁になりそうな予感がするし、知ってること教えてもらおうかなって」
ギラが最後に吐き出した捨て台詞、或いは執着の宣言が脳裏で鮮明に蘇る。
寡黙な武人であるゾガルディアはともかく、ギラという不可思議な少女は何かと口が軽い上に数多の知識を蓄えているようだ。
危険な相手ではあるが、それを承知で関わる利点はあるかもしれない。
「……アルビトラ、僕と一つ約束をしろ」
「えっ……ぅえっ?」
馬車内の座席より中腰で立ち上がり、向かいの席のアルビトラに迫るヴィルツ。
そうして両掌で彼女の両肩を力強く掴み、有無を言わせぬ威圧感を放ちながら顔を近付ける。
急な接近に、アルビトラは珍しく慌てた様子を見せた。
「あの二人と関わる時は、絶対に同行者が居る時だけにするんだ。
それも、ただの同行者じゃなくて最低でも僕以上の遣い手とだ」
「う、うん」
「アンタはとんでもなく強いが、ゾガルディアって奴は更に上を行く。
今回のような戦い方で勝ちを拾えても、いつか野垂れ死ぬだけだ」
「……」
「だから僕以上の、もしくはゾガルディアの斧を防げるような奴を探すんだ。
そして仲間として認めて、そいつと一緒に行動している時だけ戦うようにしろ」
冒険者は自由身分。危地に飛び込むのも、無謀な戦いをして死ぬのも自由だ。
そんな不文律を元冒険者であるヴィルツが知らない筈はなかったが、それでもアルビトラの身を案ずる気持ちが勝ってしまった。
真摯な瞳で訴え掛ける彼の意志は、余さずアルビトラへと刻まれる。
「僕より遥かに長い時を生きて、冒険者としての実績も桁外れなアンタに対して
こんな約束を求めるのは烏滸がましいことだと理解してはいるけどな」
「……ん、言いたいことは分かったよ。
でもヴィルツくん以上に戦えるヒトって、そう滅多に居ないよ?」
可能性があるのはレギくらいのものだが、今の彼はアンネルジュの側近だ。
暫くはロンデルバルク王国から離れることは出来ないだろう。
「かもしれない。だが、それでも探せ。
アンタと肩を並べられる可能性を秘めた奴をな……」
ヴィルツは冒険者を辞めて商人となった身である。
今回は冒険者時代の財産で辛うじて戦いの場に立てたが今後はそうもいかない。
本業に邁進していけば、彼の戦う力はどんどん衰え続けていくことだろう。
それに商人と冒険者とでは進むべき路が大きく異なるのだ。
時折、依頼主として関わることはあるかもしれないが常に行動を共にすることは出来る筈もない。
この後 冒険者統括機構に立ち寄って報酬を受け取れば、実に半月以上に及んだヴィルツとアルビトラとの旅は一旦 幕を降ろすこととなるだろう。
「…………」
アルビトラは一度 目を瞑り、息が触れ合うような距離で告げられた言葉を脳内で何度も反芻した。その赤誠なる意志を無碍にしないために。
数秒の後、ゆっくりと瞼を開き、視線を逸らすことなく口を開く。
「分かったよ。なるべくそうしてみる……ありがとね、ヴィルツくん」
「悪いな、勝手なことを言っちまって」
言いながら、彼女の肩から両掌を放して席に座り直した。
「いいんだよ、本当に心配してくれてるから言ってくれてるんでしょ?
そういうの久しぶりだし、嬉しいよー」
少し照れた笑顔を浮かべながら鞄からボロボロの冊子を取り出し、今 言われたことを早速メモし始める。
気付けば、二人が乗る馬車は橋を越えて市街地へと差し掛かっていた。
車窓に映る中央通りの景色を眺めながら、ヴィルツは一つの決意を己に架す。
「(僕には僕のやり方で、アルビトラの仲間として生きてみせよう)
(いずれ戦えなくなるのなら、それ以外の方法で見届けるまでだ)」
冒険者として共に歩むことは出来ない。
只の人間では数百年の時を生きる彼女には並び立てない。
ならば一人の商人として、若き商会長として、彼女の旅路を見届けよう。
「(大陸全土に販路を築き、"春風"のアルビトラの足跡を記録しよう)
(僕自身が寿命を迎えても、僕の子供や孫達がその意志を継いでくれれば良い)」
それがヴィルツ・ウォーラフという人物の、新たな旅路の始まりだった。




