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四話目、重ねがけ


「......えっと、多すぎません?」

「普通にだろ」


そうアズサに言われるトモノリの目の前には無数の骸骨が現れる。


とりあえず間近に迫る剣持ちの骸骨に向け、レヴィを構え剣を交える。骨でも結構な力はあるようで押され気味だ。


「トモノリ君!」


セフィーが浄化を掛け、トモノリと剣を交える骸骨は柔らかな光を帯び、消えていく。


「セフィーさん、ありがとうございます。」


トモノリがお礼をいいと、アズサがトモノリの肩に手を置いた。


「知っとけ、トモノリ。スケルトンはなぁ......こうするんだよっ!」


アズサは腰に付けている短剣二本を取らず、強烈な横蹴りを骸骨の腹部の背骨食らわせ、骨を折る。すると骸骨は派手に音を立て、地面に衝突し、バラバラとなった。


それは洗練された蹴りであり、スキルの補正が掛かっているものだろう。


「.......打撃か魔法、弱点。」

「はぁ!」


リルが雷を放ち、ミズキが剣で殴る。どうやら、アンデットにセイントナイトは相性が良いようで、軽く薙ぎ払うと浄化のように消えていく。そして、魔石を残していく。

セフィーは遠くの敵に浄化をかけており、下位の浄化でも浄化できるようだ。


トモノリは自分より経験者である、ヴァルキュリア第三部隊の方々の戦いぶりに驚いたものの、自分なりにと、骸骨に立ち向かう。


槍持ちの骸骨だ。トモノリは横蹴りでは槍に防がれると思い、前蹴りをしようとする。勿論折れやすい背骨を狙ってだ。


「はぁっ!」


昨日よりも強化されてはいるが、アズサに劣る蹴り。それは肋骨に当たる。


その衝撃で骸骨は後ろに吹き飛ぶが、その程度ではバラバラにならず、ほぼ無傷の状態で地面に倒れる。


「クソっ......」


起き上がろうとする骸骨にもう一度蹴りをお見舞いする為に走り、顎を上げると首の骨が折れ、頭が外れた。

しかし、周りのは二体の骸骨が迫り、トモノリを排除しようとする。

すると、遠くから炎の矢が撃たれ、骸骨に直撃し、燃え去った。


「リルさん、ありがとうございます。」

「......いいから、敵。」

「はい。」


トモノリはこれがパーティでの狩りかと、実感しつつ、もう一体の骸骨を見ると片手剣に小盾を持っている。下手な前蹴りでは、防がれてしまうだろう。


「ふっ......!いって......!?っと......」


剣で叩き切られる前にレヴィで剣を防御。左手で打撃をするも、盾に塞がれる。


しかし、その後には足払いが待っており、骸骨は一瞬、宙へと浮いた。

そして、骸骨は転倒し、トモノリの蹴りによって骨を折られ、バラバラとなった。

トモノリが辺りを見渡すと戦闘が終わったヴァルキュリア第三部隊がおり、トモノリの相手が最後だったようだ。


「十三階と言ってましたが、一体一体は弱いんですね。」

「......ココは数。」

「後、リッチが居るぐらいですか。まあ余程、運が悪くなきゃ......」


ミズキがトモノリの顔を見て、ステータスを思い出したようで黙り込む。


その時!セフィーが大声を出した。


「リッチですよ!!」

「......ノー、フラグ。」

「言わなきゃよかった......」


セフィーが指す方向には五体の、リッチと呼ばれる者。ボロ布を纏い、右手を上げて黒い炎を掲げる骸骨の姿をしている。

もう既に見つかっているようで掲げた黒い炎から細かな火をばら撒き、横に振る雨のようにトモノリ達に降り掛かる。


光防壁(サンクチュアリ)貼ります!!」


セフィーの大きな声でそう言うと、トモノリを残し、皆がセフィーの近くに集まる。


「え?え?」

「トモノリ、早く来いって!」


実力差によりアズサに首根っこを掴まれ、セフィーの近くに引き寄せられる。


すると、今まで自分がいた所に小さな黒の火の玉が無数に飛んできている。しかし、セフィーの周りは神々しい光によって遮られ、皆は安全で、っそれが半円形に展開される。


「......あの火、闇属性。これで無効出来る。」

「ああ、はい。」


リルの簡素な説明に、トモノリはなんとなく納得する。

そして、リルは光の玉を、ミズキは光の斬撃をリッチに向けて放つ。


「俺、物理しか持ってないんだよなぁ......」


そう悲しそうに、防壁内に座るアズサを後目にトモノリはステータスを開くが、狂化ぐらいしかアーツは持っていないため、物理しか攻撃を持ち合わせてない事となり、仕方なくアズサのようにするしかなかった。


火が止まり、セフィーが光防壁(サンクチュアリ)を消した。


「流石に五体は疲れるわ」

「......フラグ犯め」


文句を垂れるミズキに、リルはジト目をする。そして魔石を回収し結局、いち早くこの階層を抜ける為、急ぎ足で進む事となった。


___________



このまま順調にダンジョンを脱出できるかと思いきや、それは突然起こった。

ハイオークという名の、人と豚の遺伝子を半々受け継いだような、二足歩行の豚人間で肌色の肌に大きな鼻。主に槍を装備している。

そのハイオークとの戦い、途中の出来事だ。


「血ガ......血ガ......」


——血の衝動。


基本戦術は短剣術によるモノから、投擲、と身体能力のゴリ押しへと変わり、理性は蒸発する。


ハイオークを八つ裂きにするも、脂肪が深く、攻撃が通りづらい。初めてだろう。

血の衝動の暴走状態でも、楽に倒せないのは。


しかし、本能的にトモノリは、狂化を使う。

基本にアーツは言葉に出さなくてもよく、使用には人間が突然三本目の腕が生え、それを動かすかのように最初のアーツは使いづらい。


狂化の性能は身体能力の強化、知性が無くなる。といった狂剣士に相応しいモノだった。

しかし、どうだろう?現在、トモノリは血の衝動という暴走状態に陥っているがそれにより身体能力が向上している。その状態で狂化を使うのならば————


トモノリは赤い覇気を得て、ハイオークの肉を抉る。それもさっきの倍の速度で、だ。流石の脂肪も役に立たず、ハイオークは斬撃を受けて、倒れる。


「......」


トモノリは理性無く、次の生物に切り掛る。それは誰だ?ハイオークよりも柔らかいであろう乙女達だ。


さっきまでの冒険が嘘であったかのように、トモノリは近くに居たアズサへと向かう。


「っと!最初よりも強そうっ!だっ!なっ!」


アズサは短剣二つでトモノリと打ち合い、攻防戦を続けるがどちらもノーミスで大きなダメージもを与えれない。


本能と技量のぶつかり合いだったのだが、4対1は分が悪過ぎる。

ミズキがすぐさま参戦し、シールドで攻撃を防ぎつつ、二人でチクチクと弱らせる。


「どっかのボス戦かよっ!!」

「でもぬるい方だわっ!」


二人が余裕そうに話しながら、トモノリの攻撃を防御する中、後衛二人は————


「エリアヒール掛けた方が良いかしら!」

「束縛してから......」


とても余裕そうだった。そして、リルは弱体化と束縛をし、トモノリを捉えた。


「このまま、縛っといた方がいいんじゃないか?」

「そうだわ」

「いや、可哀想!」

「......満場一致。」


セフィーの意見は無かったことにされ、結局ミズキが背負う事となった。





うへへ......相乗効果っていいよね。いつか絶対、嫉妬の呪い×血の衝動×狂化やってやらぁ。

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