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二話目、嫉妬



「ブリュルル!!」


液体は体を震わせ、トモノリと対立する。


「すぅ......フゥ......」


トモノリは落ち着いて短剣を構え、動く液体に歩み寄る。それに対して、動く液体は威嚇のような声を出し、形状変形して同じ形を保つことが無い。


「デルリュリリ!」

「うわぁ!?」


トモノリが間合いに入った瞬間、動く液体は体を跳ね上げ、空中で大きく広がった。

しかし、それは無駄だ。スキルを手に入れ、動きに補正が掛かったトモノリは容易に空中で動く液体を切り裂いた。


「ふぅううう......」


大きく口から空気を漏らし、緊張の糸が切れて力んだ体に力が抜けていく。


これまで以上に身体能力、技術共に上昇を遂げているトモノリだったが突然の変化に精神が追い付いていない。その為、彼は本来出せる力を出せていない。

しかし、当の本人はそれにすら気付いていない。


トモノリは魔石を拾い、死体から後にする。


「せめて、後二個......」

目標を決め、歩き出したトモノリ。しかし不運のスキルは大不幸へと進化している。


『ガコッ』


その音に合わせ、トモノリの足元が無くなった。


「う、うわあああああああああああ!?」


トモノリは穴の中に落ちていった。


このトラップは一階では極稀に、という頻度の何倍も下回る程の極極低確率。それをトモノリは引き当てた。持ち前の不幸、いや大不幸で。


「痛た......」


尻餅をついたトモノリであったがすぐさま、立ち上がった。敵がいる可能性を考えたら賢明な判断だろう。


「うわっ!?」

「ギギャ!ギギャ!!」

「ギャギャ!」

「ギギ!!」



喚く者達はさっき、見た容姿をしていた。深緑の皮膚に、小さな角。小柄な体型の人型の生命体。


その深緑の生命体が十数体、一部屋に集まっている。『モンスターハウス』と言った所だろうか。

モンスターハウスは必ず一個は宝箱があり、旨みは最低限保証されるだろう。しかし、命の保証はされておらずソロならば、なおさら危険だろう。


トモノリは突然の事に驚き力が入りながらも深緑の生命体にレヴィで切りかかる。


「ギィ!?」

「うぐぁ!?くっそ......」


しかし、一体倒せたとしよう。すると十数体の仲間がすぐさま、侵入者を捉え、リンチにされることは明白。

トモノリは四肢を捕まれ、持ってる武器を取り上げようと一体の深緑の生命体がレヴィを握った。


「あぁあああ゛あ゛あ゛あ゛!!」

「ギィ!?」

「ギギィ!?」


その時、トモノリの頭に強く大きな憎悪が湧いた。それはトモノリの身体能力をも増幅され、四肢を持つ者を力でねじ伏せる。


「はぁ......!はぁ......!はぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


脱出したトモノリはある一体に凄まじい殺意を湧いた。殺すという言葉に埋め尽くされた頭、それと何らかの条件で発動した呪いにより血の衝動に駆られる!


それまで丁寧に扱われたレヴィは簡単に投擲され、レヴィを奪おうとして者の頭部へと刺さり、トモノリはそいつに向けて荒々しく蹴りを入れた。


「ガァッ......!」


勿論、暴れるトモノリに棍棒や剣を向ける仲間達。しかし、先程のトモノリとは違う。


レヴィはすぐさま、呪いのより、トモノリの手へと移動。レヴィで力強く、深緑の皮膚を切り裂く。


背に剣や矢が当たっても動じず、その攻撃した敵を的確に殺していく。


「フハハ......!」


トモノリは狂気を感じる微笑みで敵を殺す。


気付くと無数の死体が青の血を流し、倒れていた。


その中から一体の死体を持ち上げ、必要以上に体を刺す。


「コロス......!コロス......!ユルサナイ......!コロス!」


掠れた声でトモノリはその一体をズタズタにする。コイツが犯した罪は一つ、レヴィを握った事だ。大罪の呪いは血の呪いより強力であり、そちらの方が優先されたのだろう。

そして、ディナーのように血肉を啜り、メインディッシュのようにソイツの目玉を喰らう。


そして、いつの間にかトモノリは血だらけとなっていた。


カツカツカツ、ザッザッ......誰かの足音、それも集団だ。しかもそれがトモノリの元へと近付いている。


モンスターハウスは別階層にワープされることが基本だが、大体一層の移動程度。余程運が悪くなければ強い敵の階層に行くことは無い。そう、運が悪くなければ。

そう考えると、この先に待ち受ける者はさぞかし強かろう。


「ひぇ!?」

「なんだ!?新手の敵か!?」

「うわっ......」

「っ......!」


現れたのは運良く、人間。四人で全員、性別は女でどれも可愛らしい様子をしている。装備的に金髪は神官、赤髪はシーフ、銀髪は戦士、黒髪は魔法使いだろう。


この様々な色の髪はダンジョンが出来始めた後に産まれた者であり、何故か遺伝子関係無く、髪の色が変わるそうだ。

つまり、彼女らは二十歳以下という事になる比較的若いパーティだろう。


一方、彼女らの瞳に映るトモノリは青の血を浴び、何らかの執念を持って、深緑の生命体を短剣でいたぶり続ける人型の存在。


勿論の通り、好意は微塵も感じる事は出来ない。


「がァあ゛あ゛!!」


その状況でトモノリは血を求め、彼女らに襲い掛かる。


「おい、こっちに来るぞ!」

「うぅわぁ......」

「こっちが受け止める、魔法」

「......ん。」


赤髪のシーフが横に避け、金髪の神官と黒髪の魔法使いが後ろへと下がり、銀髪の戦士が盾を構え、片手剣を握る。


「ふっ......く。」


突撃してきたトモノリを盾で弾き、吹き飛ばすと上から大きな水滴が落ちてきた。


「ガハッ......」


魔法により移動低下を引き起こすが、トモノリは血の衝動が覚め、気絶した。そして、水に洗い流された血で、ようやく気付く。


肌色に腐敗のないような体。


「......人間かな?」

「男の子?ゾンビ......じゃないですね?」

「......ん?」

「男じゃねえか。」


遠目で見るがトモノリは起き上がらず、金髪の神官は浄化を掛けるも浄化せず、近寄っていく。


「ちょっと......」


黒髪の魔法使いが近寄る三人を止めた。


「呪い......かも」

「と言ってもなぁ......あの短剣か?」

「握り締めてますね。」

「なるほど」


彼女らは経験で呪い装備を着てしまった者を知っている。突然暴れ出し、止められた様子を何度も見た事がある。


「......セフィー」

「はい!」


先程は下位の浄化であり、セフィーと呼ばれる金髪の神官は上位まで使えた為、もう一度浄化を掛ける。今度は上位な為か、時間が倍に掛かった。


「ん......下がって」


そう仲間に忠告した黒髪の魔法使いはレヴィをトモノリの腕を握り、振って落とそうとする。


「駄目みたいだな。ココで放っておくか?」


赤髪のシーフがそう言うがセフィーに反対される。


「運んであげましょ!束縛の魔法があれば大丈夫でしょ!」

「背負うの私になりますよね?」

「はぁ.......短剣触らないでね」


セフィー以外は反対か諦めだが、折れないのが彼女だと知っているのか、仕方なく黒髪の魔法使いが束縛し、銀髪の戦士が背負い、トモノリはダンジョン内を運ばれる事となった。


「宝箱があるわ!持って行って上げましょ?」


セフィーがモンスターハウスの宝箱を指す。


「重すぎだ。せめて中身だけにしろよ」

「はーい」


赤髪のシーフがそう忠告すると、セフィーは返事をして宝箱を開けるのだった。


バーサーカーがしてそうな事ランキング!!

第一位。☆暴☆走☆

第二位。殺し

第三位。人を襲う



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