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公開とその後●マップ4.0●

「はぁっ、はぁっ。……おい。 もう限界なんじゃないか?」


 おっさんの声が石壁に響く。


「いや、俺は、まだ行けるぞ」


 強がっているがこちらも満身創痍な感が漂っている。

 彼らは随分前からダンジョンに来た冒険者パーティのメンバーだ。森の探索のために滞在しているのだが、夜は毎晩こんな感じだ。

 ちなみに他のメンバー二人は早々に引きあげて冒険者用の部屋で休んでいる。


 部屋のベッドが四台であるためか、ダンジョンに来る冒険者は3~4人の場合が多い。恐らくギルドの方で調整しているのだろう。


「強がってるの丸分かりなんだよ。ふぅ、さっさと諦めろ」


「つ、強がってなんか、ねぇよ。つかお前、ふーふーうるさい」


「はあ! はあ゛! はぁ゛! あ゛ぁ゛!」


「……わざとやんな」


 彼らがここに来てからというもの、毎日のように繰り広げられる会話である。これまではアレンやスケルトンを遣って救助したりしていたが、これではそのうち本当に限界を迎えて死んでしまうかもしれない。

 人が死なないダンジョンを目指していたというのに大きな誤算だ。

 男という種族のバカさ加減を甘く見ていた。地球でも似たような傾向はあったのにだ。





 このお馬鹿共は、なんと風呂で我慢大会まがいの競い合いを始めたのだ。



 

 ここの風呂は僕の感覚で少し暑めに調整してあるため、長湯すると脱水症状によって頭痛、吐き気、めまい等々を起こす可能性がある。

 そもそも入浴とは意外と体力を消耗するものなのだ。

 風呂を設置したのも、気持ちよく、気付かれずに体力を消費してもらうためだったのだが、今考えると風呂だって結構人が死にやすい施設かもしれない。

 僕も詳しい知識は無いが、血圧が急激に変化することで循環器系の病気を起こしたり、意識を失って窒息したりという事故が起こるということは聞いたことがある。

 

 医学が発展した地球ならともかく、健康な人間が風呂で急死したりしたらこの世界の人間はどう思うだろうか?

 娯楽を装った殺人施設だと言い出す輩が現れるかもしれない。

 一応商会の方には水と塩分の多い食品を常備して置くように言ってあるが、それプラス風呂の危険性についても注意を促しておいた方が良いだろう。


 現在進行形で具合が悪くなってきている彼らだが、風呂上りの立ちくらみと浮遊感が癖になるとか変態的なことを言っていたことがある。救いようがない。

 一人ではすぐに風呂から上がってしまうから、二人で競争することで限界まで長湯するのだとか。


 ――ちなみに敗者は風呂上りの水代を持つルールになっており、息を荒げて精神攻撃を仕掛けていた彼の勝率は3割といったところだろう。

 商会もまさかこんな下らない理由で水が売れるとは思っていなかっただろうに。


 彼らには注意を喚起しつつ、健康被害がでない程度に風呂を楽しんでもらうとしよう。







 さて、ダンジョン公開から随分経つが、実を言うといきなり冒険者で賑わう……なんてことにはならなかった。

 冒険者とはフリーターみたいなものであり、冒険者ギルドは肉体労働メインの派遣会社や探偵事務所みたいなものだと考えて良いだろう。町から最短でも一泊二日しなければならない場所まで風呂に入りに来るほど生活に余裕があるならそもそも冒険者になどならない気がする。

 冒険者になる若者は結構いるようだが、家を継げなかったり、生活苦からギルドの門を叩くものが殆どなのだとか。……たしかマリーナ達もそうだったみたいな事を言っていた気がする。


 ここに来た人間は森を探索に来た冒険者が殆どだし、ギルドが仲介に入っていた。あとは商会の関係者だけだ。

 

 こんな状況だからか、ギルドも商会も殆ど人員を置いてはいない。

 ギルドにはキャスとアークに加え、勤務地手当を目当てに飛ばされてきたザネンという壮年の男がいるだけだ。

 彼には養うべき親類はおらず、本人も町に住むことを重要視していないと説明された。地域手当みたいなものが付くから老後のための蓄えが欲しいのかもしれない。

 世界が変わっても、独り身の老人は暮らし難いものなのだろう。こちらはより大変かもしれない。


 ……いっそ老人ホームでも作るか? スケルトンはまずいから、清潔で活力のありそうなモンスターを考える必要があるが。

 まぁ決められた行動しかできず、食事の支給や片付けしかしないのでは、介護士というより看守になってしまうかもしれない。まさか、『介護をしろ』だどという命令で上手くいくとは思えないし。

 ダンジョンから二度と出られなくなるかもしれない。という条件を飲むのならば、魔力で作った豪華な食材で贅沢三昧をさせてあげられるのだが。

 僕は料理には詳しくないが、オムレツやパスタならなんとかなるのではないだろうか?


 まあそれはおいておいて、たったの三人で仕事がまわるほど暇なのだ。

 アークは殆ど働かないし。


 商会についてはもっと酷い。

 十代後半くらいの若い店員が一人で全部切り盛りしているのだ。

 流石に店員を一人配置して終わりではなく、一ヶ月人員交代があるし定期的に馬車がやってきて商品や情報のやり取りをしている。

 現状ではまだ売り上げには期待できないし仕事も無いのだから、商会の若者に経験を積ませるために活用する魂胆なのかもしれない。

 現段階で一番損をしているのは間違いなく商会だろう。よくもまあ支店の話が通ったものだ。

 

 そろそろ魔力も貯まってきた。商会に儲けがでるように頑張りたいところだ。




 また、これまでにダンジョン自体にもちょくちょく手を入れてきた。



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 まず、アレンの部屋と食料倉庫を作った。そのうち生鮮食品も扱えるように低温倉庫も用意したいところだ。

 筆談ボードが女性従業員用の部屋にしかないので、そのうち何とかしよう。ボードが増えすぎると僕の処理能力を超えてしまうからあまり増やしたくは無いんだが……。

 あとアレンが女湯まで簡単に行けてしまうが、男湯と女湯では違う鍵を使うことで問題ないと思いたい。いつまでも風呂の奥に住まわせるのも可哀想だし、いずれはちゃんとした部屋を用意してあげよう。


 そして、迎撃区画の直前に新たに鍵付きのドアを設置した。鍵はギルドに預けてある。

 ギルドを完全に信用した訳ではないが、冒険者達が暴走して下層まで入ってくるようなことは防げるはずだ。

 鍵をエリシー達に預けないのは、鍵を得るために彼女達が襲われてはたまらないからだ。『ダンジョンは完全にギルドの管轄だ』と来訪者達にアピールしたいというのもある。

 ついでに、ギルドに対する信用の証にもなるかも知れないと思っている。まあ、この程度の思惑は読まれているかも知れないが、それで不快に思うことは無いだろう。

 僕の安全という意味ではまだ不安は残るが、今はこれでいいだろう。

 見えないところばかりを充実させて、客に愛想を付かされたのでは意味が無い。


 そして宿泊用の部屋も3部屋追加し、合計6部屋となった。ギルドや商会から「もっと人が泊まれるようにして欲しい」と要望があったのだ。

 僕としても反対する理由はない。鍵以外には凝ったギミックをつける必要もなく、それほどコストがかかるわけでもなかった。それよりも、同じ階に追加した二つのトイレの方がずっと魔力を食ったほどだ。

 僕の部屋にも生活感を出すためだけにダミーのトイレを設置してあるが、今思うと非常に勿体無い気がする。取り壊したり、移設するつもりはないが。






 それでは、久々に大型アップデートをするとしよう。

 今回はダンジョンの作成である。

 冒険者達の体力を消耗させたり、怪我をさせることが目的となる。

 ――つまりダンジョン本来の機能に近いものだ。

 


 マリーナかナデア……できれば両方と、エリザにも意見を聞きたい。

 サラからの報酬その一を発動する機会が訪れたわけだ。

真に申しわけありませんが、感想返しをサボることにしました。


更新間隔が遅いと返信がネタバレになることが多いんです。

「それはあとでやります」とか返されてもなんだかなぁと思ってしまうのではないでしょうか? 筆者としてもそんな返しはしたくないですし……。


と言うことで感想返しが適当になります。


ですが、ちゃんと読んでますし、とても元気がでます。


次回はやっとダンジョンですね。もうマップはできてますが、作るのにもの凄く時間がかかりました。

RPGとかでダンジョン作っている人は凄いなと思います。

冒険者(プレイヤー)の成長、娯楽、実利、などを考えてマップを作るのは非常に難しいです。エンターテインメントの難しさ。

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