死者十名、生存者五名、行方不明者一名。
この数字は、カーマイン王国が誇る騎士養成学院が実施した、『アンバー山登頂演習』における被害の結果である。
多くの若き命が失われたこの悲劇は国中を震撼させた。
また、犠牲者の大半が国の中枢を担う名門貴族の子息であったことも重なり、遺族たちはこぞって学院の責任を追及し、事態は泥沼の様相を呈していった。
その日、アンバー山で何があったのか。
未来ある若者たちは、なぜ命を散らすことになったのか。
これは、『騎士候補生アンバー山遭難事故』の正式な資料としては残らなかったが、生存者たちからの聞き取りによって明るみになった、非公式の記録である――。
