69 -目利-
権能......何か作れるものだろうか。
名に”創造”とついているのだから、期待してもいいだろう。
「まずァそこの剣士だ。コレをやろう」
そう言って手をいくつかの手で覆い、数秒経って開く。
すると、真っ黒な盾が現れる。
形容しがたい、不思議な魔力を感じる。
「これはお前の能力で取り込める盾だ。その盾で受けた魔法を跳ね返すことが出来る。銘は逸黒だ」
「おお、なんか色々凄いっす!ありがたくいただくっす!」
彼女の言いたい事も分かる。
あまりにツッコみたい情報が多すぎるからな。
この際アヤメの能力を知っていることは良いとして、それに対応した盾があることに驚きだ。
そして、魔法を跳ね返すことが出来るというのは、アヤメの今後の1番の課題を解決してくれるものだ。
「使い手に必要なものをくれるというのは、嘘ではなかったようですね」
「当たり前だろうが!わっしの権能は創造だぞ!?」
それがどれだけの事なのかはわからないが、創造というだけで強力そうというのは分かる。
試しにアヤメが盾に触れると、一瞬消えてすぐに現れる。
「本当っすね、これしまえるっす」
「かっはっは!便利だろう!」
正直、さすがまつろわぬ者といったところだ。
あの炎もムカつくほど強かったし、私が関わっているまつろわぬ者は全員トンデモな能力を持っている。
気を取り直して、次はノワールへのプレゼントだ。
腕は先ほどのように手を覆い、開く。
そこにあったのは、先ほどとは打って変わって強大な魔力を感じる手袋だ。
「こらさっきのよりシンプルだァ。それ付けたら、変身した時に適した武器になるぞ」
「それは素敵ですわ!しかもこの魔力、魔法を使う手助けになる武器ですわね?」
「その通ォり!魔法を使う邪魔もせず、形態に応じた武器が使える!素晴らしいだろう!?」
実際素晴らしい。
魔法を使う時に、魔力を流れやすくする効果を持つ武器が存在する。
そういった武器は硬度が低かったりするので、杖にするのが一般的だ。
しかし、この手袋は硬度も魔力伝達率もピカイチに見える。
どんな素材で作られているのか気になるが、おそらくまつろわぬ者クオリティなのだろう。
「ちょっと失礼しますわ。《贋者》」
試しに蜘蛛形態に変化したノワールを見ると、爪の1つ1つに金属の爪のようなものがはめられている。
少し歩いてみると、ハイヒールのようにカツカツと音が鳴る。
「お洒落で良いじゃないか」
「キチキチィ!!」
私が褒めると、蜘蛛形態のまま口を鳴らしながらこちらに近寄ってくる。
気持ちが悪いのでやめてほしいが、褒めた私が悪かったので一旦撫でてやる。
すると、脚を蠢かせながらひっくり返った。
改めて言うが気持ちが悪いので放置しておく。
「さて、最後は私ですね。どんな権能を頂けるんですか?」
「わっしの1番使い慣れている創造の権能でも良いかと思ったんだが、流石に人間の世界に悪影響がありすぎるからなァ。こっちをやろう」
そう言って腕がうごめき始め、幾つかの腕が吸収されて球体になっていく。
それを私に向けて放り、それを受け取ると脳が殴られたような感覚を覚える。
「ぐっ......権能というのはいつも頭に影響がありますね。どうにかなりませんか?」
「かははっ!ならんなァ!人間には過ぎた力だからなァ!」
こちらが文句を言っているのに楽しそうに笑っているのがムカつくところではあるが、言っていることは間違っていない。
私の考えが正しければ、まつろわぬ者というのは本来こちらに干渉する事のない上位存在だ。
その力を貰うのだから何かしらの影響が合って然るべきなのだ。
「で、この権能は《目利》だ。魂を持っていない”物体”に対して、わっしかお前が知っている事を基に調べることが出来る。例えば、お前の持っている円月輪なんかは、わっしが知らなくともお前が知っているから色々と表示されるはずだ。逆に、お前が知らない素材もわっしが知っていれば表示される。上手く使えば便利だぞ」
「ふむ......魂以外に使える《認識》のようなモノでしょうか?」
「『@‘%**?+』の権能と比べるのはおこがましいがなァ。機能としては似たようなもんだ」
となれば、間違いなく有用なものだな。
この腕も私も知らない物の場合は全く役に立たないだろうが、長い時を過ごしたこの腕なら色々と知っていると信じたい。
「大切に使わせていただきます......あ、これは頭が爆発しますか?」
「頭ァ......?あァ!『@‘%**?+』の権能のことか!かっはっは!アレほど情報が流れ込んでくるこたァねえと思うが、一応気を付けとけ!」
まつろわぬ者基準で言えば大した情報量ではないようだが、人間にどうなるのかは分からないという事か。
とりあえず出力を落としつつ、ゆっくり実験していくとするか。
「ありがとうございます。では失礼しますね」
「おゥ!『@‘%**?+』のお気に入り!頑張れやァ!」
会話はしにくいが、悪いやつではなかった......か?
複雑な気持ちで私は部屋を後にした。
「皇帝に話を聞く必要があるな」
面倒事と共に。
毎日投稿挑戦中です。
読んでいただき、ありがとうございます。
ブックマーク、いいね、評価、感想、レビューなど応援いただけると毎日投稿の励みになります。




