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S08 -魔法における属性の考察・派生属性と無形魔法-

筆が本当に進みませんで、遅れてしまい申し訳ありません。

何かしら希望が無ければ、次の話から本編です。

 派生属性か。

私は有用そうな派生属性をいくつか覚えているが、派生属性には決まった数というものがないので知らない事が沢山知られるのではないか、とワクワクしながらページをめくる。


『派生属性、それは私の求める本当の魔法に近いものだ。しかし派生属性について、私から記したいことは1つしかない。それは、基本属性との相違が全く無いということだ。例えば、草属性という属性は風属性と地属性を使えることが前提と言われている。しかし、それは違う』


 これは、本当ならとんでもない事だ。

草属性を使えるというのは、それだけで風属性と地属性をある程度習熟している証明のようなものなのだ。

それが違うのならば、派生属性というものの希少性が薄れる事になる。


『正確には、草属性魔法をイメージする上で必須ではないだけで、殆どの過程で風属性や地属性に触れる部分がある為にその2つの属性に明るい方が良いだけなのだ。故に、大雑把に言うなら必要とも言える』


 例えるなら、ハンバーグを出す魔法を使うのに必要なのはハンバーグを出すイメージ以外に何もない、という事だ。

ひき肉とパン粉を出す魔法に、それを捏ねる魔法を知っている必要はなく、あくまで完成品のハンバーグをイメージする為の補助でしかない。


『私の弟子に、雷を初めて見た者がおった。あやつは、まだ火属性しか教えておらんというのに、原理も何もあったもんじゃない雷を出して見せたのだ』


 つまり材料や調理工程を知らずとも、強固なイメージが出来れば完成品は出せる。

普通の人間はそんな事をしないので前提の材料や調理工程の習熟が必須だと思われていた、という事か。


 私としては、普通に前提の属性から習った方が今後のイメージ力の補強にもなると思うがな。

例えば氷属性魔法を使う時に、水が凍る感覚を知っているか否かではイメージのしやすさに天と地ほどの差があるように感じるからだ。


『して、派生属性について私の書きたい事はそれだけだ。自分の得意な魔法を見つけよ』


 ......は?

次のページをめくると、第二章はこれで終わりのようだ。

たとえ属性という現代の体制に異議があったとしても、少しくらい派生属性についての情報を書いたって良いだろう。

新たな情報が得られると思っていた私はこの粗大ゴミを灰燼に帰すところだったが、まだ続きを読んでいないので許してやる事にした。


『第三章・無形魔法の有用性』


 属性についてだけではなく、無形魔法についても書いているのか。

まあこの著者の考え方的に、無形魔法こそ属性という枠組みに邪魔されている魔法そのものだからな。

この際説明しておきたいのだろう。


『無形魔法......それは、私の求める魔法に最も近いものだ。属性という枠組みはあるものの、己のイメージを形にして魔法を行使している。当然、独自の属性の魔法も無形魔法だ』


 当然だな。

私の夢魔法が学術魔法と言われても意味が分からないしな。


『これの有用性は、語り切れないほど数がある。しかし、私が最も有効活用すべきだと思う特性は一つだ。それは、”見かけの効果と違う効果”を付与できる特性だ』


 見かけの効果?

まるで重力がどうのという話をしているかのようだが、そんなはずはない。


『例えるなら、イメージ次第で炎に”冷える”という効果を付与できるのだ。自分が使う魔法は、炎ではなく”炎の形をした冷える概念”だという想像が出来なくてはならないが』


 ふざけた理論だ。

想像さえできればどんなことでも出来る、という事が言いたいようだ。

冷たい炎、溶けない氷......現実ではありえないものを、魔力とイメージの力で具現化するというのは常人には不可能だ。

それをイメージしてみろというのだから、私がふざけた理論だというのも分かるだろう。


『考えてもみろ。触れた相手を凍らせる効果を持った炎を受けた相手はどうなる?その攻撃に必要以上に警戒するのだ。それは間違いなく有用な武器となる』


 確かにな。

しかし、そこまでして1つの武器を手に入れるのであれば、体系化されている魔法を複数覚えた方が良い気もするが。


『そんなことしてる時間があるなら、学術魔法を沢山覚えた方が良いと思っている者もいるだろう』


 見透かされたようなことが書いてあり、改めて本を燃やそうか考えるが我慢してページをめくる。


『平凡な人生を過ごすのならば、それも良いだろう。しかし、何かを為した者に型にはまった者はいないと私は思う』


 例えばエクソーバーになるような人間が、学術魔法しか使えない事は無いとは私も思う。

だが、かといって一切使えないのも問題だと思う。

だからこそ、私は満遍なく学術魔法を学びつつも自分の魔法を開発したのだ。


『......さて、ここまでで誰もが無形魔法を使いたくなったことであろう。当然だ、この私が解説してやっているのだからな!』


 この著者と話すことが無い事を祈りたいほどに、ところどころに挟まる調子に乗った性格が鬱陶しいな。

しかし、せっかく魔法を使うのだから無形魔法を使いたいだろうという考えは私も同じだ。


『無形魔法を覚える為には、並々ならぬ努力が必要だ。しかし、絶対にしてはならないことがある。それは、教えを乞う事だ。枠にはまらない魔法を使うのに、誰かの枠にはまるのは何よりも勿体ない』


 それはその通りだと思う。

誰も私の《睡眠(スリープ)》を使えないように、私はアリー師匠の嵐を扱いきれない。

何かの極致に達した魔法というものは、似たものを作ることは出来ても完全再現は出来ないのだ。


『であるからして、覚える為に必要な事を詳しく説明する事は出来ない。ただひとつ、伝えておきたいことがある』




______魔法とは、己の理想を叶える力そのものだ。




『それさえ分かっていれば、あとは才能と訓練次第だ。努力を怠らぬように』


 著者はそう綴り、この本を締めくくった。

なかなかどうして、帝国の強さの理由とこの著者の異端さがうよく分かる良い教本だった。

中には、今の私も勉強になる事がいくつも書いてあったからな。

今度、ナァナ様にお礼を言わなくては。


 まずは、私の故郷を救う事からだな。

そろそろ組合に返事が返ってきた頃だろうか。


「......行くか」


 私は立ち上がった。

週3(くらい)投稿継続中です。

読んでいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
第一章まで拝見しました。 とても面白かったです! ルミさんをはじめ、個性豊かなキャラが多く、彼らがどんな行動をしたりどんな会話を繰り広げるのか、ワクワクしながら読み進めました。 個人的にはアヤメさ…
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