41 -凶星-
「お前は何者だ?何故魔物の魂を改造している」
まずは対話を試みる。
人間社会に迎合していない時点で友好的ではないだろうが、話が分かる相手なら戦う以外の道もあり得るかもしれない。
「我々の崇高なる目的の為に」
意外にも、質問には答えてくれるらしい。
あの歪な巨躯を見るに、会話が成立しなくてもおかしくないと思っていたのだが。
「我々?何を目的とした集団なんだ、お前たちは」
「我々は『凶星』。天に身を捧げる者」
どうにも要領を得ない。
『凶星』という集団だというのは分かったが、目的も何も分かったものではない。
次の質問を考えていると、それは人間の倍以上ある関節で気持ちの悪いゆらゆらとした動きをしながら話しはじめた。
「私は白羊宮、天より力を授かりし存在」
「大層な名前だが、このまま返すわけにもいかないからな。捕えさせてもらう」
「愚かです。《施し》」
私達が動くより先に、白羊宮は眠っている煉鳥に向けてスキルを放った。
急いで魂を抜こうと魂を視るが、既に堅牢な防護が幾重にもかかっている。
......つまり、目が覚めたようだ。
「今はまだ、争う気はありません。もう少し私の仔と遊んでいなさい」
白羊宮と名乗った異形の存在は、その言葉を最後に異常な加速をつけて飛翔していった。
翼は無かったはずだが、魔法を使っている様子も無かった......これもスキルか?
何か奇妙な違和感が私の頭を支配するが、今は身体を起こそうとしている煉鳥の対処が先だ。
「ギャアアアアアアアアアア!!!!」
「ッ!!」
突然煉鳥が空気を切り裂くような叫び声をあげ、私は足の力が抜けて両膝を地についてしまう。
今まで使っていなかった、スキル......?
白羊宮と名乗ったあいつがやったのか?
身体が動かないながら、頭だけは冷静に分析をする。
「あるじ様!お守りしますわ!」
「い、いいからあの煉鳥を止めろ。また眠らせる」
ノワールが心配して私に魔法を使おうとするが、そんな事をしている暇があるなら今にも私に攻撃しようとしているあの煉鳥を仕留めてしまえば良い。
ノワールやアヤメにも、多少だが先ほどの叫び声のダメージが入っている。
つまりあの煉鳥が叫び続ければ、私達に勝ち目はないのだ。
それに気づかせる前に仕留める。
「分かったっす」
「で、ですが!......もう!」
そこまで理解はしてないだろうが、アヤメは剣を長めに出して煉鳥へと飛び出した。
ノワールはそれを見て、後ろ髪を引かれつつも煉鳥に向かって魔法を放った。
「眼を、開、いた......愚かな、ぐっ」
なるほど、先ほどの叫び声は体内の魔力を乱す電波妨害のような役割も持っているらしい。
《安寧》を発動できるほど魔力が安定しない。
「ならば、仕方ない。アヤメ!最大限強化してやるから、例のヤツをお見舞いしてやれ!」
「おお!了解っす!」
私は嵐のように乱れる魔力を少しずつ安定させ、《骸砕》を彼女の剣に付与する。
付与した命令は、万物をも切り裂く切れ味。
「ノワール!援護を!」
「ですわ!」
翼の生えたノワールは、飛びまわりながら手から糸をまき散らして煉鳥のスピードを奪う。
そこに魔法での妨害も加え、元々魔法やスキルを持たない煉鳥は突破する手段を持たず暴れまわる。
「ギャアアアアア!!」
「っぐ、さっきより声が小さいようだな!終わらせろ、アヤメ!」
「はいっす!」
一太刀目、煉鳥の翼の腱を断つ。
二太刀目、怒って改めて叫ぼうとした煉鳥の喉を切り裂く。
「______!!!!」
そして跳び上がり、煉鳥の首元から地面に向けてまっすぐ突き刺す。
炸裂音が響き、土煙が舞う。
その中で、一人立っていたのは。
「美しき花のように。《華刃・菖蒲》っす」
「この肉塊が、花?やはりお前の美的センスは絶望的だな」
「勝ちましたわ~!」
当然、私の優秀な従魔だった。
「この煉鳥、美味しいっすかね?」
「嘘だろ?」
「お腹壊しますわよ?」
少々食い意地が張った、従魔だった。
週3(くらい)投稿継続中です。
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