4-9 闘刃姫VS恐竜魔獣
ご愛読、ありがとうございます。
魔人、魔獣との戦いです。
魔人ゼブルの魔獣が嘉峪関の壁を壊して攻め入ってくる。クーヤはどうする。
〇嘉峪関の壁近くのヒイの家 転移144日目 第三者視点
ドドーン!!
ガラガラガラ!!
突如として響く破壊音。
クーヤ達は飛び起きた。
ドン!!ドン!!
「起きて!!戦闘準備!!」
クーヤは起きて、主寝室の壁を叩きながら皮鎧をまとう。
クーヤは従者達を起きるのを待たずに玄関から飛び出る。
ハイジがそれを追う。断続的に響く音。
考えられることはブラキオサウルスがまた現れたと言うこと。
ヒイの家から100mくらいのところの壁が崩されてる。
崩されて通路となったところに赤く光るものを見つけた。
瞬間!ハイジが巨大になって加速する。
壁の内側は東向きなのでうっすらと敵の姿が見えた。
体長は4mくらいで全身に毛と言うか羽根が生えてる。長い首、長い頭、長いしっぽ、後ろ足で歩き、その先端には鎌のような爪、前足は小さく鳥のような長い羽根が生えてる。
ディノニクス!?
次々赤い目が現れる。もっと大きいか。
クーヤは昔見た恐竜図鑑を思い出すが、それ以上の知識はなかった。
武器は後ろ足の鎌のような爪を使った飛び蹴り、それに嚙みつきだろう。
とにかく街への侵入を防がないといけない。
従者に連絡しないと。
『敵は背の高さは3m、正面からの飛び蹴りが最大の技、敵の正面を避けろ。
横から攻撃せよ。
もう一度言う!突進は絶対に受け止めるな!!』
従者全員にれんらくする。
ハイジが先頭の恐竜と戦闘状態となる。
ハイジの接近に合わせて、魔獣が跳ぶ。
ハイジはサイドステップで避ける。
空中で目標を追う、器用さは無いようだ。
今度はハイジが着地した魔獣の首を噛む。
そのままねじ切る様にキリのように回転すると、ディノニクスの首が千切れる。
首から血を噴き出した魔獣は三歩歩いて倒れた。
「ハイジ、囲まれないようにしろ!」
ハイジは賢いからクーヤの言うことが分かる。
一対一ならハイジの方が強い。
なぜなら、ハイジはヒイ達と訓練をしている。奴らは見る限り訓練されてない。
魔獣は散らばらずにクーヤに殺到する。
次々と必殺のケリを放つ魔獣を避けながら、後退するクーヤ。
クーヤは魔獣の攻撃に一貫した意志を感じていた。
誰かが魔獣を操っている。
魔人だな。クーヤは鬼の村を襲った魔人を思い出した。
魔人を倒さないと・・・しかし絶え間ない攻撃に魔人を探す余裕がない。
ヒュン!ガッ!
迫ってくる魔獣の顔に矢が当たるが頭蓋骨に弾かれる。
ヒイか!!
矢が当たっても魔獣は怯まない。
しかし、隙はできた。
クーヤが刀を振ろうとした時魔獣の首が飛ぶ。
「ご主人様、ご無事でしたか?こいつらは剣に魔力を纏わせないと斬れません」
ミヤだ。
後ろでジュレイがドーテがライヤが戦っている。
クーヤの前にはヒイ、ミヤ、ハイジがいる。
「マシロさん達ももうすぐ参戦します」
今度はクーヤ達が連携を取って戦う番だ。
魔獣は次々と倒されていく。
「チッ、形勢不利だな。仕方がない!街を襲え!」
ゼブルは大きながれきの上から、魔獣達に指示を出す。
まだ20頭以上いる魔獣達はクーヤ達の相手をやめ、街に向いて駆け出す。
「しまった。止めるぞ」
何も知らない人たちを犠牲にするわけにはいかない。
しかし走り出した魔獣達は速い。
追い付けるのはハイジぐらいだ。
「魔人の相手は私がやる!みんなは魔獣を!!」
一人ジュレイは魔人の方へ走った。
「無理はするなよ。すぐに応援を出す」
そう言ってクーヤは魔獣を追って走り出した。
「降りてこい!」
ジュレイはゼブルに叫んだ。
ゼブルはやれやれと言う顔をする。
「お前が私と戦うと言うのか?ふざけてるのか?」
「ふざけているのはお前だ!」
ゼブルはひらめいたとばかりに手を打つ。
「ふむ、お前を人質にして、クーヤに言うことを聞かせると言う手があるな」
「ふ、ふざけるな!!」
ゼブルは地上に降りた。
「私はゼブルと言います。かかってきなさい」
剣を抜くとそう言い放った。
「私を馬鹿にしてるのかあ!!」
連撃を浴びせるジュレイの剣をことごとく受け止めるゼブル。
「嬢ちゃん、すごいねえ」
ジュレイの攻撃をすべて受け止めたゼブルは余裕の笑みを浮かべる。
彼女は焦って、渾身の一撃を見舞うも軽く流される。
いかんいかん、落ち着け、彼女は心の中で唱える。
******
ところ変わってここは街中、魔獣は人間を探して家屋を壊し始める。
クーヤ達は魔獣よりかなり遅れている。
魔獣は最高時速70kmと言うところか。
最初に追い付いたのはやはりハイジであった。
「ハイジーッ!」
ヒイが走りながら矢を撃つ。
ハイジは空中で矢を咥えるとすぐに魔力の刃、魔刃を発生させる。
そのままアリウープのように魔獣の首を刈る。
そのままハイジは矢を咥えたまま、次の目標に駆けていく。
恐竜魔獣は正面への攻撃に特化している。
逆に言えば正面以外の攻撃は、首を曲げての牙くらいしかない。
前足も外に向けて曲げられないのだ。
ライヤは家を蹴飛ばして壊してる魔獣の後ろにそっと近づき、魔刃で魔獣の首を刈り取っている。
ヒイはまだ矢に魔刃を付けて飛ばすことはできない為、仲間のフォローに徹している。
ミヤは気配を隠して魔獣を倒している。
問題はドーテだ。
「デヤァーッ!!」
魔獣の正面からの前蹴りを避けて、肩から袈裟斬りにする。
「正面は避けろって言ってるだろ!!」
クーヤの忠告も聞かない。
「やっぱり、こそこそと相手の弱点を狙うなんて、俺には出来ねえ」
ドーテは増長していた。
今までのチンピラが相手ではない。
こちらの命を一瞬に刈り取れる相手なのだ。
「ドーテっ!!後ろだ!!よけろーっ!!」
手前の家の死角から現れた魔獣がドーテに向けて加速する。
振り返ったドーテは正眼に刀を構える。
魔獣は後ろ足の鎌のような爪をドーテに向けて跳んだ。
ドーテはそれを受け止めようとする。
これは死んだか、ドーテは心の中で呟いた。
刀で魔獣の爪を受けたものの、魔獣の速度と体重で突進自体は止められず、吹き飛ばされる。
ドーテは仰向けに倒れ、その上に魔獣が立つ形となる。
拙いのは魔獣の爪が彼女のビキニアーマーを貫き、右胸に突き刺さっていた。
「ドーテ!!」
クーヤはドーテの上の魔獣を切り裂き、退けた。
******
こちらは魔人とジュレイ。
「氷槍!!」
多数の氷の槍が飛んで、ゼブルを襲うが自分に当たる槍だけ弾く。
ジュレイは肩で息をし始める。
「ようやく魔力が切れたか」
ゼブルは嫌らしく笑う。
「気が付かなかったのか?
お前の剣に込めた魔力を私の剣が吸収していたことを。
ハハハハハ!!」
ゼブルが一歩一歩ジュレイに近付く。
「お、オノレ、いつのまに」
ジュレイはさっきの氷槍でほぼ魔力を失っており、身体強化もできなくなっていた。
全身が疲れで言うことを聞かず、刀でさえ持ち上げているのがつらくなっている。
嫌だ、もし、私のせいでクーヤ殿の異能を魔人に奪われることになれば生きていけない。
こうなったら人質にされる前に命を断とう。ジュレイは覚悟した。
ジュレイはそっと剣先を自分ののどに当てる。
このまま前に倒れれば死ねる。
「ジュレイ!待って!!」
タタタタタタッ!!
軽快な音とともにゼブルの体に小さな鉄球が突き刺さる。
アオイのコイルガンだ。
魔人の前進が止まると、ジュレイとの間に二人の少女が入る。
「遅れたね」
「ごめんよ」
マシロとアカネである。
「ジュレイ、これを」
アオイがジュレイに小型の魔力バッテリーを投げ渡す。
バッテリーの白い突起を押すとジュレイの魔力が瞬時に回復する。
「なんだそれは?!なぜ魔力が回復する?」
ゼブルの体に張り巡らされた魔力障壁に、食い込んだ鉄球を吐き出しながら驚いている。
アオイたちは知らないが、魔獣に魔力を補充するため配下の魔人を犠牲にしていたからだ
「おい、それを寄越せ!」
ゼブルは手を前に突き出す。
「バッテリーだけあっても、ジェネレーターがなければ運用できないよ」
アオイはバッテリーを次元収納に入れた。
「どこへやった!?」
ゼブルはまるで空中に消えたバッテリーをうつろな目で追う。
「マシロ、アカネ、やっちゃって!」
「はい!」
「おう!」
所見ではクーヤでさえ対応できない合わせ技だ。
マシロは薙刀に魔刃を沿わせて、ゼブルの左肩から袈裟掛けに斬り裂く。
アカネは片鎌槍に魔刃を包み、右胸めがけてを突き刺す。
何とかマシロの薙刀を剣で止め、槍を体を捻って避けようとするが、槍の鎌の部分がゼブルを斬り裂く。
「ぐう」
魔力障壁ごと憑依した体を斬り裂かれ、ゼブルはそのまま倒れてしまった。
「やった!勝った!」
「駄目よ、魔石を壊さないと魔人は死なないのよ」
喜ぶアカネにマシロが釘を刺す。
「どこにありますか」
ジュレイが刀を振り上げ、魔石の場所を聞く。
その時黒い霧がゼブルの背中から噴き出した。
ジュレイが斬りかかるが憑依された体は何の抵抗もない。
黒い霧は嘉峪関の壁を飛び越えようとした。
「唸れ!!ウージー」
タタタタタタッ!!
アオイの放ったコイルガンの弾丸は霧を突き抜け、霧はそのまま壁を越えて行った。
******
クーヤはドーテを抱き起すが、彼女は意識を失っている。
彼女のビキニアーマーの中からどくどくと血が溢れてくる。
ドーテ!
クーヤはビキニアーマーを引きはがして、再生の異能を発動する。
彼女の大きめの乳房は引き裂かれているが、思ったより傷は深くない。
恐らく魔獣の爪を受け止めた刀が、深く刺さるのを防いだのだろう。
「ご主人様、魔獣はすべて倒しました」
ミヤが近付いて来て、魔獣退治の完了を報告した。
「ドーテさん大丈夫?」
ヒイとハイジそしてライヤも歩み寄り、心配そうにドーテを覗き込む。
「大丈夫傷は治った。今流した血を再生しているから、終わったら血を拭いて、服を着せてやってくれ」
すでに魔人を倒した報告も受けていた。
知らぬ間に朝日が顔を出してクーヤの頬を温めていた。
******
「旦那ア、ごめんよお!調子に乗ってたあ!」
復活したドーテは地面に額を付けて泣いていた。
壊れた壁のところに皆が集まっていた。
「今度やったら従者を破門だからな」
「絶対やらないから、許してえ!」
クーヤはドーテの手を取って立たせた。
「センセー、あれ」
ヒイの指さす方向を見ると、大型犬サイズのブラキオサウルスがトテトテと歩いている。
「ちょっと可愛いかも」
「かわいそうだが、生かしておくわけにはいかないな」
「でも魔獣を小さくする方法を研究することが出来るじゃん」
「いや、リスクが大きすぎる。魔獣である以上、魔力を求めて人間を襲うようになる」
ブラキオサウルスを始末した後、クーヤは言った。
「とにかく、逃げた魔人が兵力を持っていないか確認する必要がある。昨日の岩山を調査に行くぞ」
ワンボックスとバイクに分かれて乗って昨日の岩山に向かった。
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次回は懐かしい顔が・・・。




