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渡る世間に鬼がいる

 今回取り上げるのは、日本三大太郎の一人、桃太郎さん……に登場する鬼さんです。

 ちなみに五大太郎だと、って、このネタはもういいですね。


 桃太郎さんって、鬼退治してから鬼さんの財宝持ち帰ってるじゃないですか。

 鬼の分け前を撥ねてぜいたくな暮らしするなんて、この鬼め!と思ってたら、どうやら福沢諭吉さんも似たようなことを言ってたらしいです。

 この財宝、いったい中身は何だったのだろう、というところから始めて、鬼さんの実態に迫ってみたいと思います。


 それでは、斜め上に向けて出発!


【干しアワビ?】

 桃太郎の鬼さんって、近隣を襲ったりして財宝をかき集めてたっぽいのですが、こんなことをしていると、周辺地域との平和的な行き来は無くなる筈です。

 鬼さん達が周辺地域の経済から切り離されていれば、金銀とか銭とかって何の価値も無いわけです。

 この場合、鬼さんが保管している財宝の候補としては、以下が挙げられます。

・食べ物

・着物、布製品

・家財道具

・武器

 ……地味です。


 武器は多少は良いものを持ってるかもしれませんが、いわゆる宝剣とかじゃなくて実用品でしょう。


 家財道具も、美術品的な価値を持っているほどの物じゃなさそうな気が。だって、周辺からかっさらってきてるだけですよ?普通の鍋釜とか、道具入れとしてつづらとか、ぐらいかな。


 着物だって、もしかしたら寝巻き用に絹なんか着るような贅沢な鬼もいるかもしれないですが、暴れることを考えると、普段着は絶対に麻とかの安い繊維を使っているに違いないです。

 あ、しまった、着てるのって虎柄のパンツだけでしたね。絹とか麻とか関係ないや。

 桃太郎さんも、鬼が履き古したパンツなんぞ持ち帰りたくないだろうし。(美鬼除く)


 食べ物だってそんなに高いものは……と思いましたが、海沿いですし、もしかしたら干物で良いのがあるかもしれないですね。

 それなりに長期保管できるもので、そこそこ値が張るもの、と考えたら、有りましたよ。干しアワビ。

 昔は、日本から中国への輸出品だったらしいですし。

 という訳で、鬼さんの財宝は、干しアワビ。 これで決まり。


【何をする気だ桃太郎】

 原典にあたらずに勝手に決めつけるのは良くないですよね。という訳で、調べてみました。

 昔は、以下が鬼の財宝とされていたそうです。

・隠れ蓑

・隠れ笠

・打ち出の小槌

・延命袋


 うーん、打ち出の小槌だけあれば、他が無くても、仕事してなくても左うちわじゃないですか。

 鬼さんたち、なんでわざわざ襲撃みたいな恨みを買うような真似をしてたんだろう?


 と、ここで気が付きましたよ。

・隠れ蓑

・隠れ笠

 こんなものを持って帰って、何 を す る 気 だ、 桃 太 郎!

 危険すぎてめったな人には売れないし、直接売った相手は大丈夫だったとしても、後に不味い人の手に渡る危険もあるし。

 自分で取っておくにしても、やばい使い道しかなさそう。こそ泥か!? 覗きか!?


 ところで、これがあれば鬼さんが桃太郎さんを不意打ちできたんじゃないか、とも思ったのですが、臭いは遮断できないのかも。そうか、だから犬を連れて行ったんだ。

 ……あれ?となると、桃太郎さんは最初から隠れ蓑と隠れ笠の存在を知っていた?まさか、これを目当てに鬼が島を襲撃した?

 やっぱり、何 を す る 気 だ、 桃 太 郎!


【泣いた赤鬼】

 江戸時代後期以降の桃太郎では、鬼の財宝は「金銀珊瑚綾錦」となるようです。

 先に書いたように、この手の物が財宝として認識されているなら、鬼と人との間で交易があった、という事になります。


 島に住む、金銀などを強奪する、周辺との交易関係も維持している、という状況を踏まえると、鬼さんは海賊なのではないか、という推論が成り立ちます。ゆかりの地が岡山県や香川県に多いという点、珊瑚は遠方(Wikipediaによると地中海産らしいです)から瀬戸内海経由で京都に運ばれたと思われる点を踏まえると、鬼さんの実態は、瀬戸内の海賊衆と考えられます。


 鬼=海賊 が正しいものとすると、他の点も整合します。

・パンツ(ふんどし)一丁のスタイルは、当時の水夫では一般的です。

・赤鬼は、単に日焼けした海の男であると思われます。

・青鬼は、事務作業等を担っていて日焼けしていない人材かもしれません。


 そう言えば、童話の「泣いた赤鬼」では、青鬼さんの方が切れ者な感じです。

 これも、赤鬼は前線で暴れる脳筋、青鬼は後方支援の知識担当と考えると納得できます。



 えっと、やはり桃太郎のお話は、ロクに仕事もしてないゴロツキが、海賊の住む島を奇襲して、非戦闘員を含めて壊滅させた挙句、財宝を奪って帰るという、非常に教育によくないお話だったわけですね。

 ある種幸いなことに、襲撃された側も脛に傷のある身ですし、桃太郎さんが奪った財宝で満足してこれ以上の悪さをしなければ、ひとまず八方丸く収まるのかもしれません。


 しかし、当時の海賊衆って、それなりに権力者との結びつきがあったりするんですよね。

 お礼参りには気を付けて、鬼の道を進むのだ、桃太郎!

 ……あれ?

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