表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日陰の想い人  作者: 今河
1/2

前編

 凛子さんの周りでは、たまに奇妙なことが起きる。


 あおり運転をしてきた車がトンネルの壁に激突したり、職場いじめを受けていた会社が大地震で全壊したり。


 ある意味では「天罰」なのかもしれない。


 けれど、どの場合も必ず誰かが命を落とすのだ。


 夫の翔太郎さんに相談しても「気にしすぎ」と軽くあしらわれるだけだったが、凛子さんの心の中には漠然とした黒い不安が広がっていったという。


 三十五歳を過ぎたころ、体調を崩した翔太郎さんに肺ガンが見つかった。


 高校生のころから翔太郎さんは丈夫さが取り柄で、どちらかと言えば凛子さんの方が病弱だった。


 女癖が悪いのが玉に瑕だが、優しい人だ。凛子さんは、毎日欠かさず病院を訪れ、回復を祈った。しかし、その甲斐なく、診断から二か月後に亡くなってしまったのだった。


 葬儀の後、入院生活を回顧していると、こんな会話が蘇ってきた。


 「そのピアス、大事にしてくれているんだね」

 「あなたからの初めてのプレゼントだもの。このモチーフの花、知っていたの? 」

 「いや。分からないな」

 「なんだ。『カランコエ』って言うのよ。花言葉は『あなたを守る』」

 「そうか」


 その時の翔太郎さんの愁い帯びた瞳を思い出すと、急に胸が締め付けられた。


「最近、体調が良いのは彼が身代わりになってくれたから? これまでの出来事も私を守ろうとして…」と。


 翔太郎さんの死からしばらくして、怪異はぴたりとやんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ