空白
幸せを守ることはエゴでしかない
姫・・・主人公 37歳
殿・・・姫の旦那 38歳
麻酔が完全に冷めて帰宅の許可がでて診察室へ行った。
医師が
「染色体異常の流産です」
「そうですか」
診察室を出て 会計を済ませ 母とご飯を食べに行った。
食べる気持ちはなかったのだが
「何か食べなさい。息子たちにそんな弱り切った姿を見せるの?」
と言われたので無理やり色んなものを口にした。
味も何も感じなかった。
ただ 目の前に持ってこられた皿のものをたいらげた。
満腹中枢もなく ただ ただ 食べた。
帰り際に母が
「あの子たちをきちんと守って育てなさい。
あなたの愛情は必ず伝わり、いつか、あの子たちがあなたを守ってくれるようになる。
信じなさい」
母の愛情を痛いほど見えたが 感情は死んでいた。
すべての感情が停止しているかのようだった。
心と体のダメージは想像以上に大きく 一週間程 起き上がることができなかった。
息子たちと殿のご飯は姑にお願いして食べさせてもらった。
やっと起き上がれるようになり姑に報告へいった。
「あかちゃんができたのですが、心臓が止まっていて堕胎手術しました。
それで、体調が悪くねこんでいました。この一週間、息子たちの食事ありがとうございました」
「つわりで寝込んでいるのかと思ってたわ」
姑の返答はそれ以上でもそれ以下でもなかった。
けれど 何も思わない自分がいた。
死んだ子が一緒に黒いコールタールの塊をもっていってくれた気がしていた。
もう このくだらない一族に感情を囚われることをやめよう。




