14(洗礼)
俺はショップを出て対戦申込み所へ向かう。
『ダンナ〜、良いスナイパーライフルを買ったッスね〜』
「猿か」
『スマートモンキーと呼んでくだせえ』
「ああ、悪い悪い」
『そいつぁ、プロ仕様でさあ』
「エングレーブのは機能性が悪いと思ってな」
『やっぱり! ダンナからただならぬオーラを感じましてね。他のネトゲでも活躍したんじゃありやせんか?』
「分かるのか!?」
『データでわかるんでさあ』
「そうか、じゃあ洗礼を受けてくるよ」
『御武運を』
俺は対戦申込み所に行くと、数百個のテーブルが作られていて、もう始めてるところもある。
「どれにしようかな? …………よし!」
まずはショートスペースのフレンドリーファイアなし、一撃死ルールのテーブルにエントリーする。
パッと映像が切り替わる。雑然とした、暴動の後みたいなステージだ。何台ものバスや車がひっくり返っており、200メートル×150メートルで区切られている。
『レディー……ゴー!』
ダダダダ――! 3体の敵にいきなり撃たれるが、始めて間もない時は無敵状態。3方向にほぼ同時に撃つ。すると、視界の左上にキル数“3”と出た。
「やった!」
俺はすぐに物陰に隠れて状況を確認する。
レッドチームとブルーチームに別れてて、キル数は28対15……いや、28対18になった。俺はブルーチームか。
俺は物陰から飛び出して相手の陣地を目指し、出会い頭に現れる敵は全員倒す。
敵5体の後ろを取り手榴弾を投げる。一気に5ポイントも稼いだ。俺は“死体”が消える前に弾や手榴弾を盗っていく。
遠くから手榴弾をあるだけ投げて、キル数は33対48まで盛り返した。
残り10秒で終了だ。俺は物陰に隠れて待つ。アドレナリンがドバドバ出てるのが分かる。
『3……2……1……0。your win.クレイジーモンキーさんの戦績、23キル―0ダイ』
「やった!」
『アバターを変更しますか?』
「アバター?」
そういや見てくれは気にしてなかったな。
「変えるよ」
『ブラックベレーとレッドミサンガを着けます』
フワッと画面が明るくなり、フィールドに戻った。
周りはザワザワしてる。
『ダンナ〜』
「スマートモンキーか」
『凄いじゃないですか。デビュー戦で10連殺するとレッドミサンガ、15連殺でブラックベレーでさあ』
「そんなに凄い事なのか?」
『ショップでも手に入りますが、1万5千円もしますぜ?』