15(いまだに黒星なし)
「そんなに高いのか!」
『アバター関係の商品は高めの値段設定なんでさあ』
「今、全体で何人ログインしてるか分かるか?」
『ざっくり30万人でさあね』
「上々な滑り出しだな」
『おかげさんで……でもまあ、大半はレンタルで借りてやってますからあ』
「筐体を買ってほしいよな」
『課金してお金を遣ってくれればAIも嬉しいでさあ』
「じゃあ落ちるから。またな、スマートモンキー」
『へい、またのお越しを』
俺はヘッドマウントディスプレイを外して立つ。フラフラする。
勝手は掴んだ。プレイ時間は10分くらいかな? しかし、時計は13時を指していた。まただ。戦闘中は“ゾーン”に入ってた。フィールドに居る時はフロー状態か。
ついつい、対戦型格闘ゲームを思い出す。50連勝した時も似た感覚になってた。
ピンポーン。インターホンがなる。モニターを見ると若い女だ。宗教の勧誘かな?
「どちら様ですか?」
『隣に引っ越してきた、柊ゆう子と言います。ご挨拶にと思って』
「すぐ行きます」
俺は玄関に行き、ドアを開ける。
「すみません、忙しかったですか? さっきも伺ったのですが」
年は二十歳くらい、正直可愛い。
「いや、こちらこそすみません。二度手間にしちゃいましたね。ウォーライフに熱中してて」
「えっ!? 貴方もウォーライフをやってるんですか? 奇遇ですね」
「柊さんもウォーライフユーザーなんですね」
「レンタルですけどね……えーっとお名前は?」
「龍熊二谷です。ウォーライフのハンネはクレイジーモンキーですよ」
「私のハンネはヒラユウです。それでは、これをどうぞ。粗品ですが」
蕎麦だ、ラッキー。
「ありがたく貰っておきますね」
「それでは、また」
――その日は4度ログインしてキル数93。未だに黒星がない。このくらいじゃ振込はなしか。目がチカチカする。
――次の日の昼に起きて、蕎麦を茹でる。すると、電話が掛かってきて携帯電話を取ると伊藤からだ。
「もしもし、翔? どうしたの?」
『ウォーライフ、買った? 家電量販店でバイトやってるけど、伝票に二谷君の名前があってさ』
「ああ、買ったよ。面白いから翔も買いなよ」
『取り敢えず、レンタルだね』
「様子見か? 俺はキル数93回だけど、まだ1度もキルされてないぞ」
『強くなったね。子供の頃は僕に勝てなかったのに』
「封印が解けたんだ」
『アハハ、じゃあまたね』
「それだけか? 仕事頑張れよ、じゃ」ピッ。




