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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
3章

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第62話 裏も表も結局ヤバイ


「ねぇぇ“シロ”ちゃぁぁん、お泊り会しよぉぉ~? オフ会、オフ会をお家でやろうよぉぉぉ」


「ですから“ナナ”さん。ウチは、その……家主が兄ですので、お兄ちゃんの許可を取らないと無理です……少なくとも、私の独断ではちょっと……」


 本日、急に呼び出しを貰ってしまった。

 そして、その相手にひたすらくっ付かれている。

 ガンサバという殺伐としたゲーム内で、貴女は懐いた犬か猫ですかって程に。

 いや、ペットを飼った事無いんですけどね?

 一回で良いから飼ってみたい、という感想は違うと思うので……あえて言うのなら、そういうのをモフれる空間に行ってみたい。

 猫カフェとかは聞くけど、一人じゃ入る勇気無いし。

 うん、そうだな。

 もしも、本当にペットを飼うのなら猫が良いかな。

 リアルの私は身長低いし、力も弱いので。

 小型犬でもお散歩の時に引っ張られちゃいそうだから、やっぱり猫かなぁ……。

 などと、物凄く関係ない事を考えながらseven……ではなく、今は“ナナさん”に引っ付かれていた。

 なんでも早乙女さんから、私がお弁当を作ったという話を聞いたらしく、自分も食べてみたいそうだ。

 料理するくらいは、全然良いんだけど。

 ウチにご招待するのはなぁ……私の借りている家って訳じゃないし。

 でもお友達が家に来るとか、お泊りするって良いよね。

 一回もやった事無いから、お兄ちゃんにおねだりしてみようか。

 この人ならそこまで歳も離れていないみたいだし、案外OK出してくれるんじゃ……。


「あ、てかてか。今日は“クロ”さんは居ないの? グレーと出っ歯は? 皆面白いから、私としては全然“ご一緒”OKなんだけど。むしろウェルカム」


「あ、えと。グレーさんと出っ歯さんは、なんだか最近あんまりログイン出来ないみたいで。クロさんに関しては、ナナさんからお誘い受けたら、“女の子同士でプレイしてみるのも面白いかもよ”って……」


「え、もしかして私クロさんから嫌われてる?」


「いえ、多分違うと思いますけど。そういう感じはしませんでしたし、クロさんも最近は何か訓練しているみたいで。今日はそっちに時間を割り当てるんじゃないですか?」


 とか何とか会話をしつつ、ベタ~とくっ付くナナさんを引き剥がすの諦めてから。

 今日はどうしましょうか~みたいな感じで声を上げて、ボケッとしていると。


「じゃぁさじゃぁさ! 配信――」


「うっ!?」


「――は、シロちゃんがそうなると思うので。もう一人増やせたら増やしても良い!?」


 もう一人、というと?

 もしかして、ナナさんのフレンドとかだろうか?

 そうなって来ると、私は置物の如く存在が薄くなると思うのだが。

 それでも良ければ……なんて、とりあえず了承してみると。

 彼女は端末を取り出してから、「外部通信にして~」などとボヤいてからスマホを耳に当て。


「あ、もっしもーし。どーもどーも、今忙しいですかー? あ、平気? であれば、ちょっとログインして欲しいっていうか。あ、メインじゃないでーす。ホレホレ、サブキャラでログインしちゃって下さいな。今ならなんと! シック――じゃなかった、シロちゃんも一緒に居まーす」


 何かよく分からない会話をしているけど。

 え、えぇと? 私の事を知っている人?

 もしかして彼女の視聴者さんで、この前の配信にチラッと写った私を覚えている、程度だったりするんだろうか?

 だとしたら、やっぱり気まずい気がするんだけど……などと思いつつ、待つ事数分。


「失礼、少し質問させてくれ。君達は“ナナ”と“46leather(シロレザー)”さんであっているだろうか?」


 なんだか、やけにムキムキの人が声を掛けて来たではないか。

 そして私の気のせいでなければ……最初の賞金首の集会で集まって居た、件のムキムキの人そっくりなのだが。

 つまり、この人は……。


「ちょっとー、なんで私だけ呼び捨てなんですかー? あ、もしかしてコレ、アレですか? ライバー同士だったらよくある、“匂わせ”? ありゃりゃ、私と実は仲良いアピール?」


「断じて違う。そもそも連絡を取って来るのは大体君からだろうが、セブ……ナナ」


 やけに仲良さそうな雰囲気を見せるナナさんが、クネクネと身体を動かしながらおかしな事を言い始めると。

 彼はものっ凄く呆れ顔でため息を零しながら、スパッと切り捨てたではないか。

 そんでもって、間違いない。

 この人、4cardだぁ!?


「え、えと……その、勘違いじゃなくて、えと、本人……ですよね? あ~何と言えば良いか、“4番目”というか」


「あぁ、こっちじゃ名前は伏せるが。本番と訓練以外では初めまして、だな? 約束通り、サブキャラだけは作っておいた。改めて、こっちでも頼む。“六番目”」


 そう言って、フレンド登録用の名刺を差し出して来る相手。

 コレを受け取り、名前を確認してみると。


「……“40超えると男は辛いよ”、さん」


「実際にはギリギリ30代なんだがな? 俗に言うアレだ、年齢のサバ読みだ」


「サバを読むって、普通は下に設定するモノなのでは……」


 という事で、“40超えると男は辛いよ”さんがフレンドリストに登録された。

 ネトゲの名前は基本適当、それは分かった。

 けどココまで適当な人を初めて見たかもしれない。

 コレはいったい、どう呼んだら良いのだろうか……。


「では、二人共よろしく頼む。ナナと“フォーティシックス(46)”、で良いかな? 呼び方は。此方は本当にふざけたステータスにして、“ロマン”を追い求めるつもりだ」


 なんて言ってから、彼はフフンと胸を張ってみせるが。

 おぉ、大体皆私の事をシロって呼ぶけど、4cardの場合そっちの方が呼びやすいのかな。


「皆は大抵、シロって……呼びます。どちらでも、呼びやすい方で」


「シロちゃんの方が良いかもね~? 名前モロ被りにしたの、“担当さん”からめっちゃ怒られたわ~」


 ケラケラと笑っているsevenだけど、なんというかウン。

 早乙女さん、お疲れ様です。

 ホント、お兄ちゃんさえ許してくれればお夕飯も作りますので。

 是非お泊りに来て下さい……寝床は、私の部屋を全部貸しますので。

 こっちはリビングのソファーか、お兄ちゃんの部屋で寝るのでお気になさらず。


「では、皆に合わせてシロと呼ばせてもらおう。“さん”も付けた方が良いだろうか?」


「あ、いらないです。フォーに……不味い不味い。フォーティ? で良いのかな? から、さん付けで呼ばれるのも、なんか違和感があるので」


「ハハハッ、そう呼ばれると俺の方も怒られてしまいそうだな? 呼び方ではそれこそモロ被りだ。普通に“おじさん”とかで良いぞ?」


「お、おじさんって……」


「わーい! それじゃ私は“おじさん”って呼ぶー!」


 彼もなんだか、いつもとは全く違う軽いノリになってしまったが。

 とりあえず、前に言っていた通り4cardもサブキャラで此方に参戦したという事で良いみたいだ。

 賞金首の真似をして、ナンバーズ的な名前の人も増えて来たって言うし……呼び方、40(フォーティ)で良いよね?

 もしも運営側に怒られた場合は……諦めて、私も“おじさん”って呼ぶ事にしよう。


「では、何から始めれば良いんだ? 実は、普通にストーリーを進めた事が無いんだ。仕事として仮想ステージばかりだったからな、ガンサバイブオンライン初心者と言って良い状態なんだ」


 4cardまで、なんか初心者詐欺みたいな事言い始めたけど。

 同じく初心者詐欺を働いていたsevenも、それはもうノリノリで説明を始め。

 結局私達は、三人で彼のメインクエストを進める予定に決定した。

 それぞれ得意分野は外すって事は徹底するみたいだから、良いんだけどさ。

 賞金首が三人、ここに揃ってますけども。

 コレ、傍から見たらどう見えるんだろうか……。


 ◆


「うぉぉぉぉ!」


「ぶははははっ! 強っ! それで強いのオモロッ! おじさん最高!」


 大きな声を上げる4card……じゃなかった、40(フォーティ)が盾を構えながら突っ込んだ。

 逆の手には、マチェットを持って。

 おかしいな、コレは銃のゲームだった筈なんだけど。

 気のせいじゃ無ければ、戦場にグラディエーターが現れてしまった。

 確かにね? それはリアルの、しかも現代の戦闘ではあり得ないから、“ロマン”かもしれないね?

 でもキャラの方向性、絶対間違っている気がする。

 そして彼に続くのは、相も変らぬサプレッサーを付けたハンドガンを振り回すナナさん。

 ある意味、二人共凄く軽装になっちゃった!


「シロ! カバー!」


「は、はいっ!」


 しかし指揮能力だけは相変らず4cardの様で、此方が弾をバラ撒いて相手を威嚇すれば。

 二人はそのまま敵陣に突っ込んで行く。

 文字通り、突っ込んで行く。

 これはアレだ! ある意味私達が賞金首って絶対バレない戦闘だ!

 という事で、必死で二人の後を追いかけ回し。

 私に出来る事は、威嚇射撃のみ。

 当たらなくても良いからばら撒き、相手を警戒させて隠れさせる。

 するとその場に向かって、グラディエーターが突っ込んで行くという超ゴリ押し作戦。

 背後にピタリと付いた女スパイみたいなナナさんが、非常に良いサポートをしているのか。

 不思議な事に、今の40が6key以上の近接戦をかましているのに全然キルを取られない。

 や、やっぱり賞金首って皆凄いんだ……。

 思わずポカンとしてしまう様な戦場を眺めながらも、こうして私達三人のサブキャラでのお遊びは始まったのであった。

 いやうん、コレ色々おかしいよね!?


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