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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
2章

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43/51

第43話 チーム


「ふっ!」


「おぉっ、お見事。んじゃ続くよ~ん」


 本日のチーム練習。

 囮として車両を飛び出した私とsevenが、脇道で敵NPCと遭遇した際。

 相手を見た瞬間に、正面に向かってショットガンを二連射。

 此方の攻撃で先頭に居た人物は負傷し、敵チームは間違いなく進行が止まった。

 その隙にsevenが滑るような動きで接近して行き、負傷した相手を盾にしながらマシンガンを連射。

 これによって、数名程度なら本当に瞬く間に制圧出来てしまうという。

 とはいえ、今回は正面だけ見ていれば良いだけではない為。


「うわっ、私のデータ取られてるじゃん!?」


「交代!」


 戦闘に入ったsevenのデータが奪われたが、彼女が戦っている間に今度は私が追い越して前へ。

 すると物陰から逃亡しようとしている影が見えた為、迷うことなくハンドガンを向けた。

 駆け込んだと同時に連射して、逃げようとしていた相手を殲滅。

 すると。


「シックス、ナ~イス! データ返って来た!」


「このまま合流ポイントまで走ります!」


 まだまだショットガンは付け焼刃も良い所ではあるのだが、他の人と一緒ならこれでも牽制としては十分。

 そしてこのイベントの事が、段々分かって来たと言っても良いだろう。

 とにかく、動き続けないと不味い。

 敵に遭遇したからって、足を止めればその間に“お宝”を奪取されてしまう。

 だからこそ可能な限りペア以上で動き、片方が戦っている間はもう片方が“その後”に備えて動き続けないと駄目なんだ。

 かなりシビアで、かなり忙しいけど。

 けどコレが自然と出来る様にならないと、とてもじゃないけどクリア出来そうにない。

 そんな訳で、再び路地を走りながらショットガンの弾の補充。

 未だ慣れておらず、手間取ってしまう事も多いが……今回に関しては、“仕方ない”とは言っていられない。

 全力ダッシュしながら、しかも視線を向けずにリロード出来るくらいにしないと駄目だ。

 こればっかりは慣れ、になるのだろうけど……この程度なら、普段から他の物で代用して練習出来そう。

 何より、射撃を上手くなるっていう“非日常”ではなく。

 物理的に、手癖の様に感覚を身に着けるのなら……なんとか、なる気がする。

 実際モデルガンを弄り回して、ハンドガンならリロードが見なくても出来る様になったし。

 コッチに関しては……ラップの芯と、調味料の小瓶とかがコレくらいのサイズかな?

 お手製ショットガンモドキでも作れば、他の事をしながらでも練習できるかも。

 などと余計な事を考えつつも走り抜けてみると。


「シックス! セブン! 乗れ!」


 丁度良いタイミングで555の車が飛び出して来て、4cardが中から扉を開けて叫んだ。

 これに二人揃って飛び乗れば、どうやらこっちはこっちでバイクに乗った集団に追われているらしく。


「ファイブ! 二人を回収した、GOGOGO! セブンは俺と一緒に迎撃!」


「「了解ッ!」」


 連射出来る武器を持った二人が窓から銃を出して、背後に向かって撃ちまくっていく。

 こうなってしまえば、私に出来る事は……。


「ファイブ! この車って天井の窓も開きますか!?」


「開くっすよ! 無理やり加工して窓作ってあるから、レバーを回して上へ押し上げて!」


 運転手の指示に従いながら天井の窓をオープン。

 そこから身を乗り出し、車の後ろから追いかけて来るバイクに向けてショットガンを構えた。

 とりあえず相手の方へ向けて、ズドンズドンと二発。

 撃ち終わったらすぐさま車に引っ込み、ショットシェルを急いで交換。

 などとやっていれば……凄い、車に乗った状態での発砲なのに、ちゃんと当たってる!

 というか、相手だって乗り物に乗っているのだ。

 ましてやバイクに乗った相手なら、キルは取れなくても多少の負傷を与えればバランスを崩す。

 ふぉぉ! 凄い凄い! ちゃんと当たってるぞぉ!?

 とはいえ私は二発撃って一人やっつけて、しかもリロードにはしばらく掛かる。

 その間にも4cardとsevenは、かなりの人数を制圧していくのだが。

 相変らず、良く当たるなぁ……なんて、思わず感心してしまう光景だけども。

 当たると言えば、もう一人。


『ファイブ、次の交差点で追手の車両が来るぞ』


「了解っす! ナイン、相手は何台ですか!?」


 運転手と狙撃手が会話したと同時に、9Kの言っていた通り今度は車が二台追って来た。

 バイクより厄介なのが来たぁ!? と、悲鳴を上げそうになってしまったが。


『一台だ』


 無線から聞えて来る彼の言葉に、え? 二台居るけど……とか思った次の瞬間。

 追ってくる車の運転席付近に弾痕が発生。

 そっちの車はすぐにおかしな挙動を取り始め、そのまま派手にクラッシュ。

 ほ、本当に一台になった……。

 こういう光景を見ると、賞金首はとんでもない人達の集まりなんだなって改めて思ってしまうが。


「皆掴まって下さいっす! もう一台は派手に行きますよぉぉ!?」


 555の叫び声が聞こえたところで、皆揃って車両に戻ってそこら辺に掴まり。

 グッと座席に身体を押し付けてから、身体を固定してみれば。


「悪い子のカーチェイスってのは、速いだけじゃ勝てないんすよぉ!?」


 迫って来た車が隣に並んだ瞬間、此方の車がほんの少しだけ減速。

 相手の方がちょっとだけ前に出たかと思えば、向こうの後輪目掛けて思いっ切りハンドルを切った555。

 事故起こしたぁ! とか叫びそうになってしまったが。

 後輪を滑らせた相手の車が、まるでこっちの車両に巻き付くみたい……真正面で、横向きになってしまったではないか。

 え、え、え?

 向こうの車が横向いちゃって、こっちの車が相手のサイド部分をグイグイ押したまま進んでいくんだけど。

 ぶつけられた状態で押されていく車の中で、乗っている人達が物凄く慌てているのが見える。

 これに構う事無く、555はアクセルを踏み抜いて更にグイグイとやってから。

 その後。


「ここでブレーキを少々」


 キュッと音を立てて、こっちの車が減速したかと思うと。

 今まで横向きに押されていたお相手はそのまま吹っ飛んで行き、盛大にゴロンゴロンと横転してしまったではないか。

 しかもそのタイミングで、目の前の交差点を通過しようとしていた大型トラックが相手車両へと突っ込んでしまい。


「だ、大事故だぁ……」


 もはや映画でしか見た事のない様な、ド派手なカーアクション。

 現実で発生したら、とんでもないニュースになるであろう交通事後が発生してしまったではないか。

 これに対し、私以外はフゥ……と息を零してから。


「さ、行こうか」


「了解っす~」


「煽り運転は止めようねぇ~? 事故るよー?」


 皆揃って、物凄くシレッとしているんですけど。

 最後に相手の車に向かって、sevenがおかしな事を言い放っていたが。

 さっきのは煽り運転……なのだろうか?

 ちょっと良く分からないけど、やっぱり賞金首って凄い。

 色んな意味で。


『俺も場所を移す。ファイブ、バイクを借りるぞ』


「どぞっす。本番までにはもっと良いのを用意しておきますから、お楽しみに~」


 皆、凄いなぁ……なんかもう、私にはそれしか言えないよ。


 ◆


「おっつおっつで~す。さっすが実戦経験ある人が指揮すると違いますねぇ~? 今回大活躍どころか、完全に指揮官じゃないですかぁ。キャー、フォーのファンになっちゃいそう~」


『セブン、君が夢中になっているのはシックスだけだろう? そちらは若い女性なんだ、冗談でも止めてくれ。俺みたいなおっさんには、少々刺激が強い』


「あらら、これは失礼。でも尊敬しちゃうくらいに凄いってのは本当ですよぉ? というか、戦闘中の賞金首は皆格好良いですよねぇ。直接見ると、マァジでそこらのプレイヤーとは“本気度”が違うっていうか」


 本日の練習を終えた後、4cardと連絡を取っていた。

 向こうは未だに個人通話だと緊張するのか、戦闘中以外はちょっと余所余所しいけど。

 シックスには個人レッスンしてるくせにー、いいないいなー、私もシックスと一緒に練習したーい。

 などと、思ったままを口にしてみると。


『その事なんだがな……ちょっと、失敗したなぁと反省していて』


「え、何かやらかしたんですか? 止めて下さいね? まだフォーのサブキャラさえ見てないのに、シックスから“フォーさんと一緒だと、ちょっと……私は御遠慮します……”なんて言われたら、マジで反応に困っちゃいますよ?」


『シックスの声真似をするんじゃない、喋り方が妙に似ていてグサッと来たぞ』


 とか何とか、いつも通りふざけていたのだが。

 どうやら相手が悩んでいるのは、そういうコミュニケーション関係ではないらしく。


『今回のイベントを、もう少し早く知っていればな……俺が教えられる時間を、全て射撃訓練に使ったんだが。これまで教えていたのが、全て超近接戦闘用の戦い方……CQCと、CAR……なんだ』


「あ、ぁ~……えーと? 聞いた事ある様な、無い様な……あっ! もしかしてアレですか!? 関節技みたいな、柔道とはちょっと違うヤツ! なんかのゲームで聞いた事あります、シーキューシー。あともう一個は、ハンドガン斜めに構えるヤツ? CAR……システム? でしたっけ? そっちは銃の扱い方、みたいな」


『そう、それだ。俺達は基本ソロだと思っていたし、シックスは特に単独行動に特化した賞金首だ。だからこそ、彼……あ、いや彼女か。とにかく、更に単独の近距離戦闘で戦いやすくなる手段を増やす~という意味合いだったんだが……失敗した。これなら、他の武器を教えてやった方がシックスの為だっただろう』


「本人も気にしてましたもんねぇ~。実際、今回から短いショットガン持ち込みましたし」


『だったら今度からは、そっちの練習に付き合ってやるべきなのだろうが……』


 こればっかりは仕方ないというか、運営側だってそこまで細々とした所まで面倒を見てくれる訳じゃない。

 だからこそ、普段から戦略を増やしておくのは個人のお仕事でもあるのだが……。

 まさか、いきなりチーム戦が来るとはねぇ。

 これもユーザーの求める声が多かったという証なのだろう。

 戦いたい、倒したいってのとは別に。

 私達が共闘している所が見たい~的な?

 初期設定どこ行ったーとか聞きたくなるけど、賞金首は単純にヤバイ奴等って話で。

 別に敵対してますって事はどこにも書いてなかったしねぇ~。

 今回は仕事が被りましたって事で、まぁ普通に説明出来ちゃうんだろうけど。

 そんでもって、今回問題に上がっているシックスに関しては。


「練習云々、私達が付き合うどうのこうのも色々あるけど……」


『そもそも俺達にもそこまで時間がある訳では無い、というのと……』


『「あの子、高校生だもんなぁ……」』


 やはり、そこ。

 そもそも社会人の私達と、空いている時間が異なる。

 どうにか予定を合わせて、8~11時くらいがセーフ?

 学校もあるだろうから、あんまり夜更かしはさせられないし。

 でもその時間だって、全部をキッチリ使える訳じゃない。

 私達全員が集まってから、可能な限りチームの練習に時間を割くとなると……どうしても。


「私からすると、そこからが夜の本番でしょう! って時間帯なんですけどねぇ」


『君は配信者だからな。まぁ、そうなのだろうが。此方は普通に昼間仕事、シックスは学校だ。少年少女なら余計に、あまり無茶な夜更かしを強制させる訳にはいくまい』


「でっすよねぇ……イベントまで毎日夜更かしとかしてたら、そっちは私生活ガタガタですよねぇ……」


 という事で、やはり二人揃ってため息を零してしまうのであった。

 う~む、シックスはあの見た目だけど中身は結構繊細そうだしなぁ……。

 変に気負ってなければ良いけど。

 誰にだって不得意な所はあるんだから、気にしても仕方ないよーなんて言っても。


「で、でも! 足を引っ張らない様に、頑張ります!」


 なんて言って拳を握っていたから、変な事を言っても逆効果なのだろう。

 こればっかりは、どうしたものかねぇ~。



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