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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
2章

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第34話 繋がりは増える


 本日は大満足。

 というかこれまでに無い経験をしてしまって、思わずニコニコ。

 フレンドリスト、一気に増えた!

 それに最後まで皆と一緒にプレイして、終盤は私もちゃんと会話に参加出来た!

 もうこれだけでもずっと口元がニヤケっぱなし。

 だったのだが。


「シックス……? えぇと、どうした? 何か、不満があるのなら口に出した方が良いぞ?」


 戦闘術のレクチャーをしてもらっている4cardから、不思議そうな顔を向けられてしまった。


「ご、ごめんなさい! ニヤニヤしてましたか!?」


「あ、いや。表情は相変らず無表情なのだが……口元が、ピクピク動いている感じだったから。何か思う所でもあったのかと」


 喋る為に口の動きだけはトレースしている影響で、おかしな事になっていたらしい。

 変な行動を取ってしまった様なので、彼に対してペコペコと頭を下げてから。


「すみません……今日、サブキャラで皆と一緒にガンサバ出来て……凄く、楽しかったので。気持ち悪くニヤニヤしちゃいました……」


「あぁ、なるほど。笑っていたのか、なら問題はないさ。というかサブキャラか……俺が言いだしたのに、こうして練習ステージを用意してもらえたら、こちらばかりになってしまったな」


「フォーさんもサブキャラ作るんですよね! 楽しみです!」


 何と言うか、未だに対人でビクビクしている私だが。

 この人に関しては、意外と早く慣れた。

 やはり落ち着いている上に、大人って雰囲気が強いのがお兄ちゃんとイメージ的に近いのだろう。

 頼りになるって感じるし、コミュニケーション取らなきゃ! って焦る前に、相手が会話の流れをゆっくりと整えてくれるのだ。

 凄い、フォーさん大人。

 もはや戦闘だけじゃなくて、色んな事を教えてくれる学校の先生みたいに感じているし。


「それじゃ、期待に応えないとだな? 俺も近々時間を作ってログインしよう。最初からになってしまうが……付き合ってくれるか? シックス」


「もちろんです! サブキャラだと、どういうキャラにしようって決まってないので……私もまだ弱いままのステータスですし。フォーさんにも、相談乗って貰えたら心強いです!」


「ハハッ、それは楽しみだ。それじゃサブキャラの様子を見て、そっちでも何かオススメしよう」


 やっぱり4cardは頼りになる、というのと。

 私の事を完全に“子供”として見ているのが分かる態度を取ってくれているので、そこに私が甘えている状態なのだろうけど。


「セブンの方とはもう早速会ったらしいな、彼女の配信に乗ったと聞いたぞ」


「うっ……それは、ちょっと恥ずかしいですけど」


「まぁ、サブキャラなのだから好きにやれば良いさ。俺も今回ばかりは、少しロマンを求めてみようと考えているからな」


 ロマン、ロマンですか。

 そう言われてもあまりパッと想像出来ずに、思わず首を傾げてしまうが。

 私の場合は、それこそ“教えられた事”をとりあえずやって来ただけなので。

 ここの能力がもう少しあったら動きやすいかも、ステージをクリアするにはこっちのステータスを上げたら有利かも……みたいな。

 結果として出来たのが、今の6keyというキャラクター。

 ハンドガンのみで戦っていたからこそ、ハンドガンで状況を打破出来る為のステータスに仕上がったというだけ。

 だからこそ、彼の言っている様な“ロマン”とはかけ離れた存在と言えるだろう。

 でも確かに……ゲームというのは、楽しむモノだ。

 だとすれば“なりたい自分”というモノを、プレイヤーは誰しも持っているのかもしれない。

 現実ではソレになれないからこそ、ヴァーチャルの世界でソレになろうとする……みたいな。

 多分今日一緒にプレイした、出っ歯さんみたいな人が分かりやすいのかもしれない。

 そう考えると……私、あんまりそういうの考えた事無かったな。


「まぁ、そっちの話は追々としよう。今日はもういい時間だから、これで終わりだ」


「あ、ありがとうございました! 凄く、勉強になります!」


「あぁ、それじゃまた。次回までにサブキャラを作っておくから、そちらでもよろしく頼む」


 なんて、随分と落ち着いた雰囲気のままログアウトしていく4card。

 この練習ステージでは、ずっと彼からの教育を受けている状態になっているので、本当に時間を頂いているって表現がピッタリ。

 けど一緒に遊ぶとなると、どういう態度で接すれば良いのかと色々焦っていたのだが。

 本日の経験により、何だかちょっとだけ成長したらしい私は。

 次回は4cardのサブキャラとご一緒するのかと、純粋に楽しみになっているのであった。

 とはいえ。


「フォーさん別のお仕事もしてるって言ってたから、基本時間キッチリだよね……サブでやる時も、あんまり無駄な時間は使わせない様にしないと」


 などと気合いを入れ直し、此方もまたログアウト。

 ふへぇ……と情けない息を零しつつ、VRゴーグルを外してみたところで。


「夢月~? 時間だが、ログアウトしたかー?」


 ここ最近の特訓時間がキチンと決まっている為、私の行動が分かりやすいのか。

 ゲームを終わらせた瞬間に、扉からは兄の声が聞えて来た。


「はいはーい、終わったよー? どうぞー?」


 声を返してみると、静かに扉を開けた兄がヒョコッと顔を出してから。

 こちらに向かって、タブレットの画面を向けて来た。


「こんなメールが来てるんだが……お前、9Kと何かあったのか?」


「……うん? 9Kさん? 前のイベントの時、助けてくれてありがとうってメールして……本人からは返事も来てないけど。向こうの担当さんからは、今後ともよろしくお願いしますって言われたよ?」


 急に出て来た名前に、私としてはキョトンとする他無かった。

 もっと言うのなら、本日皆と一緒にゲームしていた時。

 黒沢君の狙撃を見て、思わず9Kさんと組んだ時の事を思い出したのも覚えている。

 その為、戦闘終了後にちょっとだけ本人に話を聞いてみたのだが。


「リアルの知り合いで、こういうの凄く上手い人が居るから。その人に教わってるだけだよ。俺なんかじゃ、まだまだ全然って感じなんだけどね?」


 なんて笑っていたので、私の勘違いかーって事で幕を下ろしたのだが。

 そもそも他の狙撃手を知らないしね。

 スナイパーが後ろに付いてくれると、基本的にあんな感じなのかもしれない。

 などと思いつつ、兄に差し出されたタブレットを受け取ってみると。


「……う、ぅん? え? どういう事?」


 そこに書かれていたのは、“顔合わせしたい”という内容の文章。

 間には担当さんが入るし、オンライン通話でも構わないみたいな事が書いてあるのだが……え、本当にどういう事?

 だって前の会議にも参加して無かったし、お礼のメールを送る時でさえ。


「ウチの賞金首は基本顔出しNGって言われているので、私の方から内容は伝えておきますね」


 なんて、相手の担当さんから言われてしまったくらいだ。

 つまり私と一緒で、可能なら他の人と顔を合わせたくない人物なのかなぁって思っていたんだけど。

 他の皆みたいに、一緒にサブキャラやろうという訳でも無さそうだし、相談があるみたいな雰囲気でもない。

 とりあえず、“顔合わせ”を目的としている様な……そんな雰囲気。

 しかも賞金首全員とかではなく、私個人と。

 どうして?


「よく分からんけど……どうする? お前が嫌なら、俺の方からお断わりを入れておくぞ?」


「ど、どうすれば良いんだろう……今回は、お兄ちゃんの仕事が~とか、そういうのじゃないもんね?」


「だな、完全に9K個人の用事って雰囲気だ。向こうの担当に関しては、お前が高校生の女の子って話も知ってるから、無理にとは言って来ないし。そもそも仕事として関わりを持とうとしてるから、変な意味じゃないとは思うんだけど……」


 とか何とか、兄の方でもあまり事情が分かっていない様子。

 向こうの担当さんにもう一回お伺いして、どういう意図なのか教えてもらってからの方が安心なのは確かだけど……。

 とはいえ、ガンサバで同じ賞金首として働いている人だしなぁ。

 私としては、出来る事なら仲良くしたい。

 けど自分の性格は理解しているので、そこが一番難易度も高い。

 ハッキリ言うと、初対面の人とまともに喋れる気がしないのだ。

 ここ最近のバタバタで、sevenや4cardともやっとまともに話が出来る様になった程度なのだ。

 本日の会合だって、間にナナさんとクロさんが入ってくれたから上手く行っている様なもの。

 つまり、私のコミュ力自体は多分ほとんどレベルアップしていない。


「全然喋れる自信ないというか……相手に気まずい思いをさせちゃいそうというか……」


「んじゃ、断わっちゃうか?」


「でもなぁ……前のイベントの時凄く助けられたから、ちゃんとお礼も言いたいしなぁ……」


「そういう所は律儀だな、ホント」


 結局のところ、答えは出ず。

 とりあえずは、向こうの担当さんに事情を聞く……みたいな雰囲気で終わってしまった。

 なんかそれも、相手にとっては疑われている様な不信感を覚えさせるんじゃ……とか心配になったが。

 そこは兄が「ウチの妹未成年なんで、もう少し事前情報を頂けないと此方としても――」という感じに、壁になってくれるそうだ。

 毎度毎度、お世話になってばかりで申し訳ないけども……私のお兄ちゃんは、本当に頼りになるお方でございました。


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