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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
2章

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第32話 現場と裏方


「いやぁぁ~ゴメンね? リア友見つけたから、ついドッキリ仕掛けてやろ~みたいなテンションで絡んじゃって。え、えへへ……いやホント、すみませんでした。そっちの彼氏もゴメンね~……」


「あ、いえ、その……」


「か、彼氏じゃないですよ!? 俺なんかじゃ、全然! シロさんには、一緒にゲームしてもらっているだけです!」


 とりあえず、その場は収まった。

 事情を話すと、クロさんとナナさんがひたすらペコペコ。

 一時はどうなるかと焦ったけど……なんとかなった。

 というのと、コソッとフレンドリストを見てみると。

 やはり、間違いじゃない。

 二人目の名前が、ちゃんとリストに追加されているではないか。

 これに対して、一人でニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていると。


「シロちゃんどしたー? なんか嬉しそうだけど」


「うひゃぁっ!? べ、別に何でもないデスヨ!?」


 急に抱き付くみたいにして、うしろからナナさんがくっ付いて来て変な声が上がってしまったけど。

 そんでもって、私が今表示されているメニューはバッチリ見られてしまったらしく。


「え、あれ!? もしかして私フレンド二人目!? おっしぃぃ! もう少し早かったら、一番目だったのにぃぃ!」


「は、恥ずかしいので……あんまり、言わないで下さい。全然友達居ないって、バレちゃうじゃないですか……」


 すぐさまメニューを閉じて、ボソボソと言い放ってみれば。

 彼女は此方の肩に身を寄せて来て、構えているスマホの画面を見せて来る。

 そこには、ナナさんの配信を見ているリスナー? のコメントが流れており。


「俺が名乗り出るー! とか。お友達から始めましょう! ってコメントで溢れちゃったねぇ。やったじゃんシロちゃん、友達百人今日で達成しそう」


「そ、そういうのは……ちょっと、違うのでは? 皆さん本気では無いでしょうし……」


 よく分からないけど、皆様熱いコメントを投げ掛けている御様子。

 あんまりネットの動画配信とか見た事無いけど、盛り上がり凄いなぁ……。

 これも彼女のコミュ力あってこそ、の話なんだろうけど。

 などと呆気に取られながらも、次々流れて来るコメント読んでいると。


「クロ~? 来たけど……えぇと? おやおや?」


「俺、参上――あれ? 二人居るけど……あ、こっちがしらか……じゃないじゃない。どもっす! クロの友人二人が来たぜ!」


 更に、人が増えた。

 ちょっと不思議な格好をしている二人組の、男性プレイヤー。

 一人はやけにごつくて、物凄く防御力高そう。

 もう一人は……何というか、派手。

 防弾なのかな? よく分からないけど、真っ赤なコート羽織ってるし。

 そして本人達が言っている様に、多分黒沢君のお友達。

 だからこそ、ペコペコと必死で頭を下げてから。


「は、初めまして! しらか……じゃない! ムッツ……でもない! “46leather(シロレザー)”です!」


 色々間違えながら、とりあえず名刺を差し出してみた。

 私が考えた、初対面の人との対応第一弾。

 とりあえず、名刺交換してしまえ作戦。

 断られない限りは、相手からアクションを起こしてくれるはずだし。

 とりあえずフレンドリストに追加されれば名前は分かる上、いつ申し出れば良いのかって不安も無くなる筈。

 という事で、深く深く頭を下げつつ名刺を差し出してみたのだが。


「お、おぉ~意外とアグレッシブ……えと、こっちこそよろしく。気軽に“グレー”って呼んじゃって下さいな」


 そんな事を言いながら、一人目と名刺交換。

 えぇと、何々? 本人はグレーって呼べって言ってたけど……。


「“灰色の空”……さん?」


「特に意味は無いんだよぉぉ!? いやホント! 隣に居る頭のおかしいコイツと一緒にキャラ作ってて、変なテンションのまま設定して、何かもう面倒臭いから良いやーってそのままなだけで! だからグレーとか灰色とかって、適当に呼んでくれると嬉しいかなぁ!?」


 何やら凄く早口で説明されてしまった。

 そ、そうなのか。

 灰色の空って、何か詩的だなぁって思ったけど。

 何故か本人は凄く恥ずかしそうな御様子だ。

 プレイヤーネームなんて、基本適当だってクロさんも言っていたし。

 結構適当な名前を付ける人も多いと聞いていたので、格好良い名前だなぁって思ったが。

 でも、グレーって呼んだ方が良いみたいだ。

 よく分からないけども。


「続いてぇぇ……俺だぁぁ!」


 もう一人の、テンション高い方の人が向こうから名刺を差し出してくれた。

 凄く身体が辛そうなポージングをしながら差し出しているので、慌ててこっちも二枚目を取り出して交換してみると。


「えぇと……“|death bulletデス・バレット”さん……?」


 なんか、凄い名前の人が来たぞ?

 思わず名刺を覗き込んでしまったが、フレンドリストに追加された事により、相手の頭の上にはそのまま件のプレイヤーネームが表示される。


「是非、“出っ歯”と呼んでくれ! シロさん!」


「で、でっぱ? でも、デス・バレットなら……せめて、デッ“バ”なんじゃ――」


「細かい事は気にするな! 中二病は馬鹿にされてこそ真の意味を発揮するモノなんだ! 女子には分からんのです!」


「あ、はい……出っ歯、さん?」


 という事らしく、グレーさんと出っ歯さんとフレンド登録を終えてみると。

 隣に居たクロさんは思い切りため息を零し、ナナさんに関してはお腹を抱えて大爆笑していた。

 今回の二人も、凄い。

 初対面の筈のナナさんから、これだけウケが取れている。

 よく分からないけど、これもまたコミュ能力の一つなのだろう。

 いや本当に分からないけど。


「ヒー、ヒィィ……オモロ、シロちゃんの友達オモロ……中二病の陰の者と陽の者が揃ってる……ふー、ふぅぅ。いやぁ、笑わせて頂きました。あ、私はオマケみたいな者でして。皆さん“ついで”に私の名刺もどうぞどうぞ」


「「どうもどうも」」


「あ、はい……どもです」


 そんな訳で、この場に居る全員がフレンド登録を終えた訳だが。

 えぇと、これは……この後、どうすれば良いんだろう?


 ◆


「ちょっとぉぉぉぉ!? あんの馬鹿……早速やってくれてるし……」


「早乙女さーん? 俺等運営スタッフが賞金首に対して、馬鹿呼ばわりは流石に不味いっすよー」


 近くの席で、ウチの上司が悲鳴を上げていた。

 まぁ、気持ちは分かる。

 というか、俺も叫びそうになったので。

 賞金首“seven”、彼女は元々ネットアイドルというか。

 所謂、有名なゲーム配信者だったのだ。

 そんな彼女が、配信OKの状態でガンサバイブオンラインを始めた結果……初日から、ぶっ飛ばしてくれてやがりますと。

 初心者でーす、みたいな事を言いながらサラッと配信を始めたかと思えば。

 狙ったかのようにウチの妹を見つけて突撃。

 アポなし、そしてその場で撮影許可を得る様な真似をしてから……なんと、夢月の方はアッサリOKしてしまったではないか。

 お兄ちゃんは、本当に心配です。

 今お前、ほとんどリアルと変わらないアバターが全国ネットに乗ってるぞ。

 とかメールを送ったりしたら、絶叫してそのままログアウトして来そうだけど。

 彼女の配信を見る限り、妹も友達が増えてチラチラと嬉しそうな表情を浮かべているのが映っていた。

 やっぱこうだよ、フルダイブゲームなら、ちゃんと妹が笑ってる所が見たいよ。

 6keyの方だと、いつ見ても渋いおっさんが渋い声上げてるだけだもんな。

 とか何とか思ってしまうからこそ、会社でもシスコン呼ばわりされてしまうのだろうが。

 しかしながら……早乙女さんが悲鳴を上げたのも分かる。

 よりによって、前回のイベントで目立った賞金首の6と7が揃ってしまったのだから。

 アバターもテンションも全然違うから、察する人は少ないとは思うけど。

 ついでに言うと、二人共リアルと見た目が近い。

 有名配信者《問題児》の方は普段から顔出ししているみたいだが、夢月は一般人なのだ。

 そこら辺は注意してほしいと思ってしまうが……まぁ今の時代、ゲーム内の外見がどうとか騒ぐヤツの方が少ないからな。

 もしも問題になるとすれば、全くの別人に似せてアバターを作る行為。

 そっちの場合は色々と問題になったりするけど、本人と同一なのはそこまで問題にはならない。

 それを配信に乗せちゃうのはどうなの? という話にはなるが、これを言い始めると街中でカメラ回しているテレビ局はどうなんだよって方向に話が向かいやすいのだ。

 詰まる話、フルダイブが流行り始めてからというもの。

 ゲーム内で素顔を晒すのは、街中を出歩くのと同じような感覚に近い。

 嫌なら変えろ、もしくは顔を隠せ、以上。みたいな。

 その辺も緩くなったなぁとは思うけど、妹が晒されていると兄としては心配になる訳で。


「今度から、サブキャラでは顔を隠せって言っておくかな……」


 ブツブツと呟きながらも、モニターの片隅に映っているsevenの配信をチラ見しつつ、本日のお仕事を進めていたのだが。

 ピポンッと音を立てて、俺のパソコンにメールが届いた。

 頼むから今から仕事を増やす内容じゃありませんように……早めに帰らないと、妹と一緒に飯食えないんだから。

 なんて事を考えつつ、更には祈りながら、今しがた届いたメールを開いてみると。


「……うん? 今度は9K(ナイン・ケー)?」


 彼を担当しているサポーターからの、顔合わせの連絡が来たではありませんか。

 おや? おやおやおや?

 以前の顔合わせにも参加しなかった“9K”というプレイヤー。

 そしてイベント時には、夢月に協力する様な姿勢を見せたスナイパー。

 これはまた、どんな巡り合わせだ?

 しかも、こんなタイミングで。


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