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「一角獣と精霊」
成蹊ということばがあるだろう
つまるところ色彩が面を光らし
あぶくが無縫な音楽を水に能う
幽霊の様にたたずんでいる限礙
わたくしのすみやかな神経さえ
壱ミリメートルも動けはしない
李のあかるいピンクのはだから
揮発してくる降魔のさわやぎを
一角獣と精霊とが嗅ぎとるから
わたくしの血の香りはなるべく
わたくしの血の紅さはなるべく
わたくしは血をせめて烟らそう
奇芬は奇芬でたやさぬふうにと
真果の気配をわたくしは破口に
それに瑕にわすれない傍に愛を
LOVE
其れだけのはなし
其れだけのはなし