第十二話 「西での最強同志」01
二日の休暇が終わり、シュンたちは再び出撃する。
今回は初日に様子を見つつ、二日目で西城塞に取り付く作戦だった。
【飛翔】のスキル持ちだけが空を飛んで西城壁に行っても意味はあまりない。
このクエストの目的はベヒモスの掃討だ。
「シュン、あれを!」
ブレイソンに促され西の先を見ると、先からベヒモスの一部が帯のように後方に向かい始めた。
「後ろに回られるな。行って来るっ! ここは任せるぞ!」
「はっ!」
ブレイソンの答えを聞き終わるや否や、シュンはその帯の先頭へ向かって飛ぶ。
拠点から数名が突出してベヒモスの群れに向かい、既に戦いが始まっていた。
サービス部隊と護衛の冒険者、ランツィアとスカーレッドの隊員が共に剣を取り戦っている。
「なかなかやるじゃないか……」
サービス部隊の人員は超が付くベテラン冒険者、大先輩たちとも言える。
彼らは昔を思い出したのか、果敢にベヒモスに挑んでいた。
シュンはつむじを三つ作り出しベヒモスの後続へと放った。
群れの中心に降り立ち剣を振るい、つむじと自身でベヒモスを挟み撃ちにして掃討する。
あらかたの敵を倒したシュンは皆の戦いぶりから、もう大丈夫だと判断して再び飛行してレイキュアたちの元へと戻る。
今日の戦いも夕刻近くまで続き終わりとなった。
ベヒモスの軍勢は確実に減少してきていた。
二日目、朝からシュンたちは西城塞の北門へ向け、強引とも言える戦いを繰り広げ突き進んでいた。
「くそっ! 西は何をやっているんだ!」
セバスティは硬く閉ざされている西門に向かってそう毒づくが、この距離ではまだ微妙だった。
城壁上からは、なけなしと思われる矢が放たれ援護が続けられている。
「もう少しだ。あと少し進むんだっ!」
シュンは自分を鼓舞するように叫ぶ。
恐らく門の内側では西の冒険者たちが、満を持して待機しているはずだ。
肉薄するシュンたちを迎えるように、ついに門が開かれた。
雄叫びを上げながら盾を持つ西の冒険者たちが続々と飛び出し、槍隊が続いた。
ベヒモスを蹴散らしながらこちらに接近して来る。
「よしっ! 門に向かうんだ!」
シュンは殿に付き、仲間たちを援護しつつ盾部隊の内側へと入る。
ベヒモスを倒しながら全ての部隊は城壁の内側へと入り、再び門は閉ざされた。
北も西の冒険者も、皆が大汗を垂らして肩で息をしている。
シュンも人心地ついた。
「皆無事か? 怪我はないか?」
「ええ……、スカーレッドは全員……無事よ……」
レイキュアは息も絶え絶えに、周りを確認しながら答える。
「ウチも……同じです。だいぶ……消耗しましたが……」
アルバーも同様だった。
シュンたちは待機していた、こちらのギルドの職員に案内されて城塞に上がった。
北側はまだベヒモスの数は少ない方だった。
一行が城壁上の通路を正面の西門へ進むと、ベヒモスの数も増え密集と言える程になってきた。
遙か先に北と東の別の軍団が戦っている砂塵が見える。
すでに太陽は傾きかかり、撤退の時間が迫っていた。




