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第十話 「日々の仕事」03

 ある日の帰り道、荒野を歩きながらシュンは空を見上げた。

 黒く厚い雲が低く垂れ込めている。

 様子に気が付いたアルバーが並び寄った。


「明日は出ますか?」

「雨だなあ……、やるか」

「分かりました。準備します」


 ベヒモスと対を成す、もう一つの怪物、魍魎(リヴァイアサン)


 リヴァイアサンは水生のベヒモスと言える。

 川や湖、沼などに住み、雨の日は陸に上がり付近の森を徘徊する。

 珍しいレアクリスタルを持っている場合が多い。


 雨の日は休みとする冒険者も多いから、稼ぎ時でもあった。

 ただし水の中に入ってリヴァイアサンと対決するのは自殺行為だ。


 川から海に出て巨大化し猛威を振るうリヴァイアサンもいた。

 全員は連れて行けないので人選はアルバーに任せる。


「明日は雨でもやるぞ!」


 アルバーは後ろに続くメンバーたちに向かって叫んだ。



 夕刻、事務所にカノーアがやって来た。

 明日出るのならスカーレッドの何人かが参加できないか? との直談判だ。

 あそこが雨の日は休業なのは昔からでシュンも知っている。

 レイキュアも承知の上とのことだ。


「ああ、構わないよ」

「助かります。スカーレッドにはリヴァイアサンを見た事もない隊員が大勢いるんですよ」


 レイキュアも若い隊員の意見を聞いて折れているらしい。

 そこをカノーアがうまく汲み取って動いているようだった。


「ポンチョは人数分ある?」

「うん、大丈夫。揃えてあるから」


 アルバーは気遣いするがカノーアの準備は万端のようだ。

 事前に揃えていたのだろう。



 翌朝、カノーア以下、スカーレッドの隊員数名がランツィアの詰め所を訪れる。

 ランツィアも新人は危険なので休みとしていた。


 弓矢は滑って使えないので全員、剣の装備だ。柄に滑り止めの布をきつく巻く。


 ポンチョを羽織って雨の中、全員徒歩で水場に向かった。


 川に着き周囲を窺うと川縁(かわべり)の草が動いている。

 確認するとヒュドラー、海蛇のリヴァイアサンが蠢いていた。シュンは剣を突き刺して首を刎ねる。


「ヒュドラーがいるな。咬みつかれないように注意しろ」


 雨の中、小型の哺乳類を捕食する為に陸地に上がって来ているのだ。

 足元に注意しながら全員で上流へと歩く。


 突然、目の前に一頭のスキュラが現れる。

 水を飲む為に川や湖にやって来る野犬の頭を喰らい、その頭部に寄生して乗っ取る巨大魚のリヴァイアサンだ。


「全員かたまれ! 来るぞ」


 スキュラは一頭では行動しない。

 案の定、犬の体に魚の頭部を持った異様な姿が次々に現れる。

 普段は水中にいるが雨の日は犬の本能なのか、陸上を徘徊して獲物を探す。力は中の下といったところだ。


「いつものでやるぞ! スカーレッドは最後尾に付け!」


 飛び出したシュンの左右後方にアルバーとブレイソンが続き、他のメンバーが更に後方に付く(やじり)の陣形だ。

 意図を察したカノーアたちも二手に分かれて付き従う。


 人の頭を丸飲みできるほど大口を開けた魚の頭が、犬の跳躍で襲い掛かる。

 シュンは落ち着いて剣を振り下ろし、兜割に料理した。


 アルバーとブレイソンも同様に頭部に攻撃を加え、他のメンバーも善戦している。

 基本的には犬の動きなのでスカーレッドも上手く対応していた。


 スキュラは相手の力が上だと分かれば諦めるのも早く、自分たちより弱い獲物を群れで襲う習性がある。

 その為に最初の一撃を群れの先頭にぶつける必要があった。


 スキュラたちは飛び退いてこちらと距離をとり、少し様子を窺ってからあっさりと引き返す。


「よし、半数は周囲を警戒! 他はレアクリスタルを取り出せ」


 ランカー上位が倒されたスキュラの近くに立ち周辺に睨みを利かせ、他のメンバーは頭部を割りに掛かった。


「大丈夫だったか? カノーア」

「はい、あれはスキュラですか。初めて見ました」

「うん、人より足が速いから群れの追跡は厳禁だ。沼地に誘い込まれて逆に取り囲まれる」


 経験を積むために来ているので、シュンは積極的に説明をした。


 それから更に上流へと進み数匹のヒュドラーを狩る。

 天候は小雨に変わりつつあった。

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