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第十話 「日々の仕事」01

 数日はのんびりとした仕事の日々が続いた。


 クエストが終わり、ギルドに顔を出しランキングボードを見ると、シュンはまだ一位で頑張っていた。

 二位はチーム・ディボガルドのフェルナンド、ジェンヌが三位についている。


 クエストの掲示板には討伐されたベヒモスを回収する作業の護衛や、薬草等の植物採取など今となっては懐かしい 依頼が貼られている。駆け出しの頃シュンもよくやっていた。


 南城塞カプラータが行なう一般の街へと続く街道の警備もある。

 南の城塞はベヒモス討伐よりも、この街の補給路でもある街道の警備の為にあるような存在だ。


 冒険者の数も少なく、他の城塞からも長期の出張契約などで冒険者が赴く。

 ランキングの制度や最強の称号などもなかった。


「ん?」


 シュンは普段、見かけないクエストに気が付いた。


「ジズの討伐だと?」

「シュン、何を見ているんですか?」


 受付で手続きを終えたアルバーがシュンに歩み寄る。


「ああ、このクエストどう思う?」


 シュンはそのクエストカードを指さす。


「変ですね、ジズが人間を攻撃するなんてないのに、わざわざ指定して」

「だよなあ……」

「もしかしてあの噂ですかね?」

「噂?」

「はい、ジズは【飛翔】のレアクリスタルを持っている確率が高いとか……」


 確かにベヒモスは自身の持つレアクリスタルのスキルを発揮する場合がある。

 しかし空を飛んでいるからといって【飛翔】を持っている、などとは乱暴な気がする。

 今までそんな話は聞いたことがなかった。


「やってみるか……」

「はい、十分に狙える獲物です」


 【飛翔】は希少性のあるスキルではあったが、どのベヒモスがどれくらい持っていなどの法則性を感じた事はない。噂が本当かは分からないが試してみようかとシュンは思った。


 シュンたちはそのクエストカードを取り受付に向かった。


「ミレリア、このクエストは何なんだ?」

「ああ、ジズの討伐ね。それが最近、南の街道にやって来て馬車や人を威嚇するのよ」

「珍しいね。特定の個体なの?」

「ええ、鳥の二本足のペリュトンが四羽ね。南城塞からもクエストに出ているけど、毎日、北を飛んで南の街道に向かっているのよ」


 ペリュトンは緑の胴体と翼、オス鹿の頭を持つベヒモス、ジズだ。

 鹿の四本足なら上の中クラスで鳥の二本足は中の上程度の脅威だ。


「俺たちは北で狙う訳か、その程度の敵じゃあ割に合わない仕事だな……」

「だから割増のボーナスを出すのよ。それに低いけどポイントも付くわ」

「うん」


 それならばやってみようかと、シュンは思った。

 【飛翔】のレアクリスタルの噂について話す。


「それはないわ、ジズだから【飛翔】を持っているなんてないのよ」

「そうだよな……。アルバー、どうすればいいと思う?」

「ロングボウ数丁と、【飛行】、【衝撃】のスキル持ちを何人かで編成すれば――」


 アルバーは考え巡らせる。


「――報酬から逆算して三丁に人員は九名で二日仕事ならば」

「よし、やってみようか。ロングボウは貸してもらえるの?」

「もちろんよ」


 この場合のロングボウは大型のクロスボウのことを指す。

 何事も経験だ。

 これからは多彩な戦い方を試してメンバーたちの力を底上げしたかった。


 毎日、森に入って同じような小物狩りでは若い奴らの不満が溜まるかもしれないし、ガス抜きの意味もある。


 あと、シュンはこのあいだサンドリオの公園で見上げた空のことを少し思い出した。

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