第九話 「城塞都市サンドリオ」01
デス・キャニオンでの報酬は中に入った冒険者たちは歩合だが、封鎖への参加は日当だった。
つまり最終日に封鎖が破られた時のレアクリスタルは全てギルドが回収した。
ただし、上位以上のポイントが加算されるベヒモスの討伐は、ランキングに反映され報酬も支払われる。
シュンが最後に倒した、蟻の六本足を持つミルメコレオ。
普通級、体長五メートル程度のフェルテと一つ目のカトブレパスの三体のベヒモスだ。
怪我をした冒険者たちにはギルドから見舞金が支払われた。
ランツィアが持ち込んだ一部の盾と槍は、かなりの損害を受けたが、修理費はギルドが持つとの事で、指定の工房に出されている。
封鎖は計三カ所が破られていた。
他でも死者も出たらしいがギルドからの正式発表は、いつもと同じようにない。
結局、シュンたちは観覧場所での戦いもなかった。ずいぶんなおとり任務だった訳だ。
昨日と今日は休み、そして明日は調子の良い者だけ出勤とした。
封鎖部隊は消耗していて寝込むメンバーが続出していた。
ベヒモスの大群に追われ、彼らは持てるスキルを全て絞り出して戦っていたのだ。
トータルとしてランツィアの収支は、そこそこの稼ぎになっていた。
シュンは一人自室でデス・キャニオンでの出来事、これからのことなどを考えていた。
夕刻、扉がノックされアルバーが顔を出す。
「どうしたんだ?」
「いえ……、外に住んでいるメンバーの所を回ってきました」
「そうか、悪かったな。様子はどうだった?」
この建物の宿舎に住んでいるのは入りたての新人で、それ以外は外に宿を借りている。
「だいたい回復しています。ただ明日はどれほど出てこれるか……。怪我をした連中は打身や捻挫程度ですがもう少しかかります」
スカーレッドの怪我人も幸いに、その程度で済んでいた。
「仕方ないな。俺だってスケラーノを殺った後は三日休んだ」
「カノーアの所にも見舞いに行ったのですが……」
「そうか、もう意識はしっかりしているようだがなあ。レイキュアが言ってたよ」
「会わせてもらえませんでしたよ。彼女も負傷していますから。打撲ですけど」
アルバーは少し残念そうに言う。
カノーアは三階の宿舎に寝かされているのだ。
「あそこの二階から上は男子禁制の女の園だからなあ……」
「あちらもずいぶん寝込んでいるようですね」
「そうか……、フィオーレに飲みに行くか。付き合えよ?」
「はい」
シュンは椅子に掛けていた上着を掴んで立ち上がる。
店を手伝っているスカーレッドの隊員に状況を聞いてみようと思った。




