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第六話 「デス・キャニオン」01

 シュンは新たなスポンサーからの申し出などの打合せで、夕刻はギルドに通っていた。


 チーム・スカーレッドのように直接交渉する方法もあるが、ランツィアは全てギルドの代理人(エージェント)経由にしている。


 ギルドの応接室で、エージェントは今回契約を申し出たスポンサーの書類を机に並べる。


「以上だね。さて、どうするかな?」


 シュンの目の前に座るジュリーザは嬉しそうに言う。

 まだ駆け出しの頃、君さえよければ私がスポンサーを集めてみるよ、と声を掛けて来たのがこのジュリーザだった。


「あなたさえ良ければかまいません」

「そうか、分かった」


 当時はジュリーザも駆け出しだったが、チーム・ランツィアの活躍で彼も名を上げているようだ。


「ところでチーム・ランツィアはデス・キャニオンには行くのかな?」


 またその話かと思いシュンは苦笑いする。


 この一件は中に入る精鋭と封鎖の人員を募集する、などの情報がすでに公然の秘密となっていた。


「スポンサーは参加しろって言ってますか?」

「いやいや、どうするのか? なんて聞いてくるんでね」


 ジュリーザは手を左右に振りながら言う。


「ただ、あまりに頻繁に聞かれるものだから……、更新も今回の新規の案件も条件には入ってないよ」

「そうですか、チーム・スカーレッドと共同で封鎖に参加する予定です。精鋭四人で中の掃討に行こうかと……」

「それで充分だよ! 十分にアピールできる」


 要はランツィアのスポンサーも考えは同じなのだ。

 他は参加するのに自分が応援しているチームが参加しないのは不満なのだろう。


「そう言えばスカーレッドとは友好チームなのに、今まで合同クエストってなかったよね」

「これからは考えようかと思っています」

「うん、あそこは見ての通り華がある。ランツィアとはいいコンビだと思うよ」


 シュンは笑うしかないが昔、散々世話になっていたのに合同クエストなどまるで考えなかった自分は、少しスカーレッドに冷たかったと反省した。

 頭ごなしにバカではレイキュアも怒る訳だ。



 打合せが終わったシュンがギルドの受付に戻るとリスティの姿が見えた。


「どうだ、稼ぎは?」


 シュンはいつものように気さくに声を掛ける。


「あっ、シュンさん、見て下さい」


 リスティがポケットから手を出と、キラキラと光る小振りのレアクリスタルが五つ乗っかっていた。


「ほう……」


 シュンはホッとした。声を掛けるたびにダメでしたでは決まりが悪い。


「今日は稼げました。チェシャ猫を一匹とキルケニー猫が四匹です」

「凄いじゃないか」


 二種共に獰猛な猫形のベヒモスだ。

 チェシャ猫は人の言葉を喋り冒険者を惑わせ、キルケニー猫を従属させている。


 五匹程度ならたいした敵ではないが、時には百匹の群れで人に襲い掛かる場合があるので、侮りは禁物だった。


「【拘束】のスキルで五匹共、動きを止める事ができました」

「良かったな。たいした稼ぎだ」


 売れば子供二人が一日で手にした金額としては破格だ。


「はい、僕らはまだコンテナが小さいのでスキルとしては使えません。本当は取っておきたいけど……、食べなきゃいけないし……」

「その頃になればいくらでもいくらでも稼げるさ」


 リスティは将来の自分のスキルにする為に取っておきたいようだが、食う為には金に替えなければいけなかった。


「そうだ、デスキャンオンの仕事。ウチと合同でやらないか?」

「デスキャンオンなんて僕たちにはとても無理です……」

「俺は精鋭と中に入るが、チームはスカーレッドと合同で封鎖にも参加するんだ。そこに加わればいいよ」

「いいんですか?」

「もちろんさ」

「助かります。キャニアとスレーラは仕事だし、ジェリルと二人だけじゃ何もできないし」

「今度、事務所に顔を出せ。アルバーに言っておくよ」

「ありがとうございます」


 リスティたちはペコリと頭を下げた。


 封鎖部隊とは言え、大勢の冒険者たちに混ざって仕事をするのは良い経験になるだろう。


 一応、リストを作成してギルドに提出してからの決定になるが、彼らが認められないならランツィアも降りると言ってごり押しすればなんとかなるだろう。



 翌日、遂にギルドから正式にデス・キャニオン進行クエストが発表された。

 参加メンバーのリストと書類をギルドに提出して審査を受ける。


「最初は行かないなんて言ってたそうね」


 受付嬢のミレリアがそう言いながらシュンの顔を見る。

 ガスケスあたりから聞いたのだろう。


「まあね。ウチのチームは慎重に安全に、だからね」

「その他二名……、子供じゃないの!」


 ミレリアは少し難しい顔をする。


「チェシャ猫やキルケニー猫を二人で狩っている立派な冒険者だよ。問題?」

「まあ、いいでしょう。封鎖部隊だしね」

「助かるよ」


 シュンはホッとした。ごねるのは本意ではない。


「スカーレッドと合同で出てくれるのは助かるわ。同じ封鎖口に敵対チームを配置できないし、組み合わせに気を使うのよ。こことは絶対に一緒にできない、なんてチームはある?」

「……いや、特にないよ」


 シュンは一瞬、ジェンヌのチーム・バウザーナが思い浮かんだが何も言わなかった。

 あそこは絶対に封鎖などの地味な仕事はやらないだろう。



 後日、デス・キャニオンの地図と封鎖のマニュアルが配られた。地図にはシュンたちの担当場所が示されていた。

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