第四話 「スカーレッド」01
翌朝の早い時間、チーム・ランツィアとチーム・スカーレッドの総勢が北の森の前の荒野に集合した。
スカーレッドの隊員は全員直立不動で五列に並ぶ。
正面には腕を組んだレイキュアが仁王立ちになり、背中まであるウエーブのかかったブルネットが風に揺れている。その横にはカノーアが並び立っていた。
皆揃いの露出度が高い戦闘服に身を包み、小ぶりのマントが風になびいている。
一方、ランツィアはと言うと一応、上着だけは揃っているが皆、無秩序にだらしなく立ち、にやけ顔でスカーレッドの、ヘソと太ももが露わになった衣装を眺めていた。
ウチはスポンサーからビジュアルは求められていないから、とシュンは自分を慰める。
「今日はトップスリーのランツィアが、ウチらと一緒に戦ってくれる事になった。皆、気合を入れなっ!」
「「「はいっ!」」」
ランツィアの、のんびりとした雰囲気とはあまりにも気合に差がある。
ヘソを出しているチーム・スカーレッドの面々だが、いざ戦闘に入る場合は更に特注の上着を羽織り、腿の露出も隠れるような革の簡易装甲を付ける。
城塞に帰る時にはアピールの為、それらを外すのだ。
今日のランツィアは下のベヒモスを相手にするので防具類は付けていなかった。
アルバーが両チーム混成の組み割りを発表し、いくつかのグループに分かれた。
男女三対三のグループ交際のようになってしまうのは仕方がなかった。
「ブレイソン、悪いけど頼むぞ」
「はっ! 分かっています」
今日は中の下くらいまでのレベルを相手にするようにと厳命していた。
ブレイソンが各グループを回りながら、皆が無理をしないようにと注意を払う。
ブレイソンは軍人の家系に反発して家を出てこの街にやって来た。
風貌は赤茶の短髪で一見しても冒険者であるが、その仕種や物言いからは軍人の匂いを感じさせた。
やはり血は争えないのだ。
戦いに関しては天才的なセンスを持ち、スキルに執着し強くなりたいと願っている。
シュンのもう一人の片腕だった。
皆が森の中に散り、シュン、アルバー、レイキュア、カノーアが残された。
「お前の所はいつからあんなビシッとなったんだ?」
「何言ってるの、前からよ」
レイキュアは髪を後ろでまとめて、カノーアは青いショートヘアーの額に防御を兼ねたバンダナを巻く。
「私たちはどこまで行くの?」
今日は初めての合同戦闘なので、危険地帯は避けてるよう皆に言い含めていた。
「俺たちは少し奥まで行こうか」
「そうこなくっちゃ!」
「少しだぞ、す・こ・し・だ!」
四人で森の中を進む。
仮にレイキュアとカノーアをデス・キャニオンに連れて行くとしたら、現在の二人の力を計らなければならない。
「チーム・スカーレッドの連中、スキルはどうなんだ?」
「ウチらの器は皆、いっぱいよ」
例えるなら冒険者になるような人間には、体の中に色々な種類のスキルを入れる器がある。
体内に取り込まれたスキルはそれぞれのコンテナに入り力を発揮できるのだ。
あるスキルのコンテナがあるにも関わらず、中がスキルで満たされていない場合をシュンは聞いたのだ。
そのスキルのコンテナがなければ、レアクリスタルの力は取り込めない。
コンテナの種類や大きさは経験や精神、肉体の成長によって変化する。
「例外はいるけどね」
「例外?」
「言いなさいよ……」
レイキュアがカノーアの顔を見て促した。
「実は私、【雷撃】のコンテナがあるんです……」
「えーーっ! 凄いじゃないか!」
「ああ、本当だぜ。たいしたもんだ」
アルバーとシュンは驚いた。
カノーアは少し困ったような、寂しそうな顔をする。
「まあ、そうなんだけどね。でも【雷撃】のレアクリスタルなんて、なかなか手に入らないし」
「そりゃそうだ」
レイキュアの言う通りだ。
それはレア中のレアで貴重なレアクリスタルだった。
国全体でも数個しか存在していないはずだ。
【雷撃】はSクラスを超える、フェニックスなどのベヒモスが持っていると言われていた。




